大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

★遺産分割協議書の無効の判断材料【Q&A №564】


【質問の要旨】
遺産分割協議書は無効になるか

記載内容  遺産分割協議書 無効

【ご質問内容】
姉2名対私1名で亡父の遺産分割について双方弁護士を立てています。
調停に行く前の段階で、相手方が弁護士を解任し違う弁護士を立て日が浅い中、今度は遺産分割は姉2人で折半となっており終了したと、新しい相手方弁護士から自分の署名捺印がある遺産分割協議書が当方弁護士宛に送られてきたのです(電話で聞かされたので、まだその文書は見ていません)。
父が亡くなった直後(まだ争いの無き時期)に入院費などの支払いが早急に必要だと口座の解約を迫られ、あと亡父と同居の下姉も不動産の登記を変えないと問題だと急かし、その為の手続きに必要だといくつか捺印や書類を渡してしまったのですが、それが遺産分割協議書だったのだろうと当方弁護士に無責任だと叱られました。
登記も解約も済んでいて、確認しなかった自分の落ち度と反省しています。
相手方と妻との(自分が言うと感情的になるので、妻が代わってと前置きしています)携帯メールの送受信(協議書が書かれたと推定される日付の後日に送信された相手方からの相続放棄するかどうかの伺い、相手方が少しはこちらに遺産を分けてやるつもりだといった文面で残してあります)、前任の弁護士さんは協議書に一切触れずこちらへの分割案があった(不平等で金額に争いはありますが)ことなどで相手方にはじめから協議書の認識があったか怪しく思えるのですが…。
そんなことで無効などを争える材料になりそうでしょうか。

(niko)


【登記が完了しているということから推測できること】
既に登記が完了しているということから見て、遺産分割協議書が作成されていること、それにあなたの実印が捺印されていること、更にあなたが印鑑証明書を渡しているものと思われそれらの書類により相続登記がなされたものと思われます。

遺産分割協議書をまず確認する必要がある】
あなたの依頼された弁護士は遺産分割協議書を入手されているということですので、その遺産分割協議書を見せてもらって、あなたがその書類に署名・捺印(署名がない場合でも有効です)をしたのかどうかを確認しておきましょう。
もし、署名があってもあなたの筆跡でなければ、分割協議書は無効になる可能性が高いです。

【遺産分割協議書と知って捺印した場合】
具体的な例で考えましょう。
あなたが捺印したときには、遺産分割協議書と題名があり、遺産内容も記載されていた場合は原則としてその協議書は有効です。
あなたの側としては、内容を見ていないので、有効なものではないと主張することになるでしょう。
しかし、遺産分割協議書というのは重要な文書とされていますので、相手方から《重要な文書だから、内容を見なかったはずはない!そんな逃げ口上を言うな!》という反論が出てくるのは必至であり、遺産分割協議書が有効とされる可能性が高いと思われます。

【内容が記載されていなかった場合】
あなたが捺印した書類には、表題の《遺産分割協議書》の記載(印刷)はあったが、その時点では内容は全く記載されていなかったような場合は、遺産分割協議は無効になる可能性が高いです。
しかし、内容は書かれていなかったのだということは、あなたの側で証明する必要があります。
題名だけで、内容がなかったという証明は、なかなかむずかしいと思われます。

【遺産分割協議書というものには捺印をしたことがない場合】
今回のケースは、白紙にあなたが捺印(あるいは署名も)した後で、遺産分割の内容を印刷されたものかもしれません。
このような場合でも、遺産分割協議書という文書にあなたの実印を押捺されているという外形がありますので、あなたが内容をわかって捺印した有効な文書だという推測がされます。
この推測を破るためには、質問に記載されていたような従来の経過(相手方の前の弁護士が遺産分割協議に触れていないこと)やメール等の内容も主張していく必要もあります。
ただ、私は、このような場合には、いつも、その遺産分割協議書を何度も、何度も確認し、その書面自体でおかしな点がないかどうかを確認しています。
印鑑と本文が重なっているかどうかとか、印鑑と本文との間に不自然な空白がないか等、その遺産分割協議書自体でおかしいと思われる点を探します。誰が言った、言わないということも必要でしょうが、なによりも分割協議書自体もおかしい点があれば、それを強く主張されるとあなたの有利に話が展開されることもあることを記憶されておくといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

★認知症の母に代わり遺産分割協議書を代筆したい【Q&A No.472】


父を亡くし、相続人は私と認知症の母二人です。
母に後見人を立てずに、代筆で遺産分割を行うことはできるででしょうか?

記載内容  認知症 遺産分割協議書 偽造

【ご質問内容】
 父が亡くなりました。
 相続人は、息子の私と、認知症の母の二人です。
 私と母は、相続上、争う関係にあるので、後見人をたてなければならないといわれました。
 しかし、息子は私1人なので、母の財産もいずれは息子が引き継ぐことになるし、ましてや母に不利なことは一切する気もありません。
 できれば後見人ナシで(代筆で)1次相続、2次相続合計で最も相続税が少なくなるような相続分割をしたいと考えています。
 これは、犯罪になるのでしょうか。
 誰も、損害を受けないので、見逃されるのでしょうか。
 証券会社からの通報で、訴えられるのではないか心配です。
 母は、ただいま、病院の療養病棟にて入院中。
 身体を動かすこと、意思表示はもちろん、飲み込むことも出来ず、点滴のみにて栄養を得ている状態が半年続いています。
 話を理解しているかも不明です。
 成年後見人が決まる前に、亡くなってしまう心配もあり、できれば、後見人ナシで相続を済ませたいと考えています。

(くんくん)


【成年後見人の選任が必要です】
 認知症にも程度がありますが、お母さんが意思表示できないというのであれば、お母さんは遺産分割協議することができません
 本件ご質問のような場合、代筆して作成された遺産分割協議書には、効力はありません。
 あなたとしてはお母さんの成年後見人選任の申立をし、家庭裁判所が選任した成年後見人との間で遺産分割協議をする必要があります。

【節税目的でも犯罪が成立してしまう】
 本件ご質問のような場合に、あなたがお母さんの署名捺印を代行することは認められません。
 もし、お母さんの代筆をした場合、有印私文書偽造等の犯罪末尾記載の刑法第159条、161条参照)になる場合もありえます。
 なお、節税という理由があっても犯罪が成立することに違いはありません。
 節税をはかる必要があるのなら、成年後見人の選任申立をし、その後見人との間で遺産分割協議し、その際、節税の必要性を説明して、成年後見人の了解を取りつける必要があります

【特別代理人が選任される場合】
 被後見人がお母さんの場合、息子さんが成年後見人になることもあります。
 しかし、今回のように遺産問題があり、利害対立するような場合には、裁判所は遺産とは関係のない第三者を後見人に選任することが多いです。
 もし、仮にあなたが後見人に選任された場合でも、遺産分割に関する限り、あなたはお母さんと利害が対立しますので、裁判所に特別代理人を選任申立をする必要があります
 この場合、あなたは裁判所が選任した特別代理人との間で遺産分割協議をすることになります

(弁護士 大澤龍司)

〔参照条文〕
刑法
159条1項(有印私文書偽造罪)
 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
161条1項(偽造私文書行使罪)
 前二条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。

故人が相続人になれるのか。【Q&A №309】


 私の父は3人兄弟で、長男は死亡、妻は健在ですが、子供がいません。次男とその妻の2人とも死亡し、子供が一人います。三男が私の父で健在です。

 長男の名義になったままの土地があり、次男の子供から土地の名義変更のため遺産分割協議書を作成したので、私の父に署名捺印の依頼がありました。長男の遺言書はなく、また子供がいないため、兄弟にも相続権が発生するからです。

 送付されてきた遺産分割協議書によると、この土地の相続人は亡くなってる次男となっており、署名・捺印の欄は長男の妻と三男である私の父の2人だけの名前が記載されてます。相続を受ける次男の署名・捺印の欄はありません(既に死亡してるわけですから、当然署名・捺印は不可能ですが)。

 既に死亡してる人が相続人になると言う常識では考えられない遺産分割協議書の内容ですが、彼の司法書士は法的に可能とのことです。(彼は自分の父に一旦名義変更したうえで、父から自分にこの土地を相続すべく、更にもう一通の遺産分割協議書を作成してるようです)。それで質問ですが、
①亡くなってる人が、相続人になることは法的に可能?
②一般論として、遺産分割協議書は相続を受ける人がたとえ法定相続人でなくても、その人の署名・捺印も必要ではないのでしょうか?

以上につき、宜しくお願いします。

記載内容  故人 数次相続 死者に相続させる 遺産分割協議書

(Blue)


【死亡した次男も遺産を相続することができる】
 長男が死亡した時点で、次男が生存していたのであれば、次男は相続人になります。
 従って、長男の遺産分割について次男が遺産である土地を相続することは可能です。
 遺産分割協議時点では次男が死亡していても、長男の相続の関係では一旦、次男に相続させ、その後、次男の相続問題を解決するという2段階の処理も可能であり、今回の場合には司法書士はそのような処理を考えているものと思われます。
 なお、参考までにいえば、長男が死亡する前に次男が死亡していたのであれば、次男が相続人になる余地はありません(次男の子供が代襲相続人になります)ので、今回のような次男に土地を相続させることはできないという結論になります。

【遺産分割協議書の署名は相続人全員の署名・捺印が必要】
 遺産分割協議書は相続人の全員の署名・捺印が必要です。
 今回の質問のケースでは、「署名・捺印の欄は長男の妻と三男である私の父の2人だけの名前が記載」されており、署名・捺印欄には次男の欄がなかったということですが、これについては後から次男の署名・捺印の補充をすれば遺産分割協議書は有効になります。
 なお、署名捺印するのは、本来は次男ですが、ご指摘のとおり次男が死亡していて署名・捺印ができませんので、

①次男の相続人(長男が死亡後に次男が死んだ場合。具体的には配偶者である次男の妻及び子供。但し、妻が次男より先に死亡していた場合には子供)
②又は次男の代襲相続人(長男が死亡する前に次男が死亡した場合。具体的には次男の子供)

が署名・捺印すれば協議書は有効になります。

参考までに言えば、遺産分割協議書は1通あれば、それで登記ができます。

虚偽の遺産分割協議書に押印をした場合について【Q&A №192】


 虚偽の遺産分割協議書は有効なのでしょうか…?

 兄と妹の二人です。
(兄には嫁と子供二人・長女と長男がおります)
 父が平成17年、母が平成20年6月17日に亡くなりました。
 その後、遺産相続のことについては、縁を切ると脅されていました。
 平成22年12月4日に、急に、一方的に連絡があり、兄が勝手に作成してきた遺産分割協議書(同二枚)を差し出され、謝らないといけないことがあると、いきなり泣き出し私の相続金を借金の穴埋めに遣い込んでしまい私への遺産金が無くなってしまったと訴えられ、自分の(兄)家も手放さなければならいし…ばれたら、嫁とも別れなくてはならないと泣き脅しされ、泣く泣く、その場では、私が泣いてあげれば全てが丸く納まるのか!?と思ってしまい虚偽の遺産分割協議書(同二枚)の一枚(兄の保管用)のみにサインと捺印(実印)をしてしまいました。
 私の保管用の虚偽の遺産分割協議書には、兄のサイン捺印(実印)はありますが、私は白紙にしています。(納得は出来ていなかった為)それでも?
 一方の虚偽の遺産分割協議書にサイン捺印(実印)をしてしまった以上、無効にはならないのでしょうか。
 私は、結局、遺産金はもらえず仕舞いです。しかし一年前に、私に内緒で、新しい家を購入して引越しもされていました。

記載内容  詐欺 遺産分割協議書

(クマコ)


【遺産分割協議書は1通あればよい】
 遺産分割協議書は1通作成されれば、それで有効です。
 あなたが持っている協議書に印鑑を押していなくとも、お兄さんの持っている分割協議書は無効にはなりません。
 お兄さんの持っている分割協議書に相続人全員の実印が押され、印鑑証明書がついていると金融機関から遺産である預金の払い戻しも受けることができ、登記もできます。
 お兄さんはその1通を使って、遺産を自分のものにしたのでしょう。

【詐欺等で取り消しや損害賠償を求めることも考えられるが・・】
 お兄さんが述べた事情が虚偽であったとすれば、詐欺を理由として分割協議を取り消しできる可能性がありますし、不法行為による損害賠償も可能かもしれません。
 ただ、問題は、お兄さんの詐欺を証明できるかどうかです。
 裁判に勝つためには、詐欺であることをあなたが証明する必要があります。
 具体的に言えば、お兄さんが、質問にあるようなことを言ったことやそれが嘘であったことなどを裁判所にわかってもらう必要がありますが、その点の証明ができるかどうかという問題です。

【今後の手続きは?】
 さて、問題はどのような手続きでお兄さんから遺産を取り戻すかということです。
 もし詐欺を働くようなお兄さんであれば、返還せよと言っても、簡単に返還してくれないでしょう。
 通常は、遺産分割協議書が無効であるとして、遺産分割調停をするのが望ましいです。
 しかし、調停をしても、もし詐欺を働くようなお兄さんであれば、返還せよと言っても、簡単に返還してくれないでしょう。
 当事務所は、質問と似たようのケースを扱うこともよくありますが、残念ながら調停でまとまったケースは一例もありません。
 訴訟になった場合、勝訴の可能性もありますが、敗訴の可能性もあります。
 いずれにせよ、訴訟になる可能性があるケースですので、早期に、相続に詳しい弁護士に相談され、詳しく事情を説明した上で、その意見をお聞きになるといいでしょう。
 その上で、訴訟のリスクもわかった上で、事件を依頼するかどうかを検討されたことをお勧めします。

兵庫県弁護士会 (URL:http://www.hyogoben.or.jp/)

偽造された遺産分割協議書は有効か?【Q&A №131】


 父が亡くなり、兄弟3人が相続しました。現在誰も住んでいない実家ですが、先日登記簿を確認すると、父から兄への相続登記がされ、兄の単独名義になっていました。
 しかも、法務局で閲覧したところ、遺産分割協議書に私たち兄弟の署名と捺印がありました。以前白紙の紙に何も説明されずに署名、捺印した覚えはありますが、説明はされませんでした。
 遺産分割協議などしていませんし、控えもありません。しかも、遺産の実体も不明で、兄が独り占めしています。弟は兄を全面的に信じてしまい実印と印鑑証明書を渡してしまった為に、署名まで他人により偽造されていました。
 このような場合、全てを元に戻すにはどうしたらよいでしょうか? 

記載内容  偽造 遺産分割協議書 登記

(nimoのパパ)


【偽造された遺産分割協議書に基づく登記は無効である】
 合意ができていない遺産分割協議書で登記されたということですので、この登記は無効です。
 あなたは、相続分(3分の1)の限度であなたの登記名義にすることをお兄さんに請求することができます。

【訴訟をする前に仮処分が必要かもしれません】
 合意ができていない遺産分割協議書で登記するようなお兄さんですので、あなたが登記を戻せと言っても簡単には応じないでしょうから、登記を戻すには訴訟が必要になる可能性が高いです。
 又、あなたから登記を戻せとの請求があれば、急いで他人に売却してしまう可能性もありそうですので、他人に売らないように、不動産を処分できないような手続き(不動産処分禁止の仮処分)が必要になるかもしれません。
 いずれにせよ、できるだけ早期に弁護士に相談し、依頼することが必要な事件だと思います。
 なお、相談の際、仮処分の手続きをした方がいいかどうかも是非、確認されるといいでしょう。

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