大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

遺産の内容を調べたい【Q&A №417】


 父の死後、遺言状(正式なもの)には『全財産を長男に相続する』とあり、遺産内容の記載は無く、もう決まった事と兄から一方的に言われました。私は相続人のひとりとして遺産内容を知った上で遺留分減殺請求をするかどうかを決めたいのですが、兄は強引な性格なので内容を聞いたり、請求すると兄弟関係がますます険悪な状態になるのではないかと不安です。請求をしなかったとしても親が築いてきた財産がどれだけ残っているか、また負債が何れだけあるか相続人の一人として知っておきたいのですがそれは難しいのでしょうか。

記載内容  遺言執行者 遺産目録

(ヨシ)


【相続人なら、他の相続人の同意がなくとも、独自に遺産調査ができます】
 平成21年以前は、相続人が遺産調査をする場合、金融機関が他の相続人の同意を得てくださいという対応をしておりました。
 今回の質問のケースであれば、長男さんの同意がないと遺産調査ができませんでした。
 しかし、平成21年1月22日に最高裁が、他の相続人の同意がなくとも遺産調査が可能になるとの裁判(「【相続判例散策】履歴照会に全員の同意不要」参照)をし、それ以降、ほとんどの金融機関がこの判例に従って、死亡時残高や取引履歴を開示しています。

【開示を求める手続きは金融機関により異なる】
 遺産で最も重要なのは金融機関の預貯金です。
 金融機関により、預貯金開示に必要な手続きは異なります。
 そのため、予め、電話等で金融機関に問い合わせをし、手続の流れや必要な書類を確認されるといいでしょう。

【金融機関で最低限必要な書類は次のとおりです】
 通常の場合、次の①ないし③は最低限必要ですので、予め、取り寄せをしておくといいでしょう。
①被相続人であるお父さんが死んだことの証明(除籍謄本)
②あなたが相続人であることの証明(あなたの戸籍謄本)
③あなたの本人証明(運転免許証、健康保険証等)
 金融機関によっては、以上の他に、更に書類を要求される場合があります。

【被相続人がどこの金融機関の支店で取引したかを確認する】
 注意しなければならないのは、被相続人であるお父さんがどこの金融機関のどの支店を利用していたかを確認する必要があることです。
 利用していた金融機関がわからないと照会もできません。
 又、金融機関がわかっても、照会は支店単位でしかできませんので、どこの支店を利用していたのかまで調査する必要があるということです(但し、ゆうちょ銀行は支店を特定する必要はなく、又、弁護士に依頼するのなら三井住友銀行も支店を特定せずに照会をすることが可能です)。
 他のご兄弟や親せきなどに協力いただき、どこの支店を利用していたかを確認しましょう。
 なお、通常はゆうちょ銀行や地元の農協などに、まず、最初に照会をかけることになるでしょう。

【金融機関の履歴から数珠つなぎに調査をしていく】
 金融機関の取引履歴を見れば、他の金融機関や証券会社との取引がわかる場合があります。
 その場合には、新しく発見された金融機関にも照会をかけ、根気よく、調査を続けるといいでしょう。

【不正出金がないかどうかを確認する】
 履歴が取れた場合、その内容を確認しましょう。
 死亡前後に不自然な動きがないかどうかが一番重要なところです。
 開示されたデータ(取引履歴)から何を読み取るのか、そこが一番肝心なところです。
 がんばりましょう。

【不動産は法務局にいって登記簿を確認する】
 不動産を調査するには、お父さんのご自宅の土地建物の登記簿謄本を法務局に出向いて閲覧、謄写されるといいでしょう。
 抵当権などが設定されている(いた)のであれば、共同抵当がないかどうかを確認し、他にお父さん所有の不動産がないかどうかも確認する必要もあります。
 市町村にお父さん名義の不動産があるかどうかの確認も必要です。

【借金の調査もできる】
 お父さんが生前に作った借金などについても、金融機関や信用情報機関に問い合わせることで、ある程度の内容は調査することができます。

【調査には限界があることも理解しておくとよい】
 ただ、調査には限界があります。
 たとえば取引支店名がわからないと照会さえできません。
 そのため、あなたのように遺留分減殺請求や負債の状況を知るための調査をする場合には、調査に限度があります。
 十分な資料が得られればいいのですが、そのような場合はめったになく、少ない資料で遺留減殺をするのか、相続放棄をするのか等の決断が必要になります。
 遺留分減殺なら、遺留分が侵害されていることを知って1年以内で、相続放棄は相続開始から原則3ケ月以内で手続きをする必要があります。
 綿密な調査は必要ですが、一方でこれらの期間を超さないよう、ご注意ください。

情報がなくとも遺産目録をつくることができるか。【Q&A №307】


 伯父が亡くなった際に同居していた方(この方も相続人の1人です)が弁護士を絡めて遺産の情報を集めたらしいのですが、こちらに目録を提示してもらえず遺産分割協議が進まない状況です。

 こちらでわかっているのは、被相続人の住所・氏名の他、家・土地・農地あり JAと郵貯銀行に口座があるという事だけです。

 他の金融機関にも口座があるかもしれませんし、不動産関係でも住所以外の土地については何もわかりません。

 この状況から分割協議用の目録を作るところまでの調査が可能であるかどうかのご相談です。

記載内容  遺産目録 情報 預貯金

(なっく)


【情報がないと目録は作れない】
 現在判明しているのは、金融機関ではJA及びゆうちょ銀行だけ、不動産は住所だけというのであれば、遺産目録を作るのは困難です。
 金融機関に遺産調査をするには、どの金融機関のどの支店というところまで判明している必要があります(但し、ゆうちょ銀行の場合は例外で、各地域を管轄する事務センターの範囲内である貯金の内容が判明します)。
 また、自宅以外の不動産を調査するときにも、最低限、どこの市町村に不動産があるかという程度の情報が必要です。

【それでも何とか努力したいというのなら・・】
 それでも何とかしたいというのなら、以下の方法を考慮されるといいでしょう。

①判明している金融機関の取引履歴から探っていく。
 ゆうちょ銀行やJAがわかっているのであれば、その取引履歴の中に他の金融機関から入金した分がないかどうかを確認するのも一方法です。

②自宅付近の金融機関をのきなみ照会する。
 当事務所が扱った案件で、被相続人の住所の近くの全金融機関(約40社)に照会を出したことがあります。
 その結果、3支店と取引があったことが判明したケースがあります。

③不動産の抵当権から探る。
 また、自宅の登記簿謄本(全部事項証明書)を取り寄せして、金融機関が抵当権を設定しているのなら、その抵当権を設定している金融機関に照会を出すことも考えていいでしょう。

④ライフラインなどから探る。
 水道・光熱費・電話代などは通常、引き落としで支払っています。そのため、これらの料金引き落とし口座がどこかを電力会社はガス会社などから教えてもらうという方法もあります。
 また、年金の受取口座から探るという方法もあります。

【他の相続人から情報を得る方法はないか・・】
 伯父さんと同居していた相続人が、弁護士に依頼して遺産調査をしているのなら、その調査結果を聞くのが一番早いでしょう。
 そのための方策としては、遺産分割調停をし、その中で遺産内容を明らかにしてもらうしかないでしょう。
 ただ、相手方となる(伯父さんと同居していた)相続人が遺産内容を正確に明らかにする義務はありませんので、相手方のいうことを信頼する以外にはないということになります。

名義変更された預金は誰のものか。【Q&A №236】


 遺産分割調停の中身

 両親とも他界、私には、精神疾患のある無職の兄が一人おります。
 ただ今、私と兄、それと4人の叔母で遺産分割調停をすすめております。
 父親死亡時に父名義の口座を兄に名義変更して数年が経ちます。
 内容は祖父名義の土地、建物、それと上記の兄名義の口座です。
 教えて頂きたいのは、兄名義の口座が遺産目録の中にあるのが、納得いかないのです。私はこれはもう遺産ではなく、兄の財産ではないかとおもいます。でも叔母たちは、亡くなった父の名義にしておけないから、私の兄の名義を借りているだけ、実質的にはこの家の共同財産だから、自分たちにも、相続する権利があると主張してきます。祖父の他界時であれば、兄名義の口座があっても叔母たちの主張が分からなくもないですが、名義はすでに、祖父から父へ父から兄へと変更され、数年が経っています。遺産目録に含まれますか?
 ご教示ください。

記載内容  遺産目録 他人名義の預金 預金名義の変更

(こまったちゃん)


【名義ではなく、誰が預金をしたのかが重要】
 被相続人であったお祖父さんの預金口座がお父さんに名義変更され、その後、お兄さんに名義変更されたのだが、この預金は誰のものかという質問です。
 預金名義が最近では本人確認が厳しくなったため少なくなりましたが、従前にはご相談のような借名預金がよくあり、裁判で誰のものかが問題となりました。
 借名預金が誰のものかについてはいろんな考え方がありますが、一般的には、当該預金のお金を誰が預け入れたのかという基準で判断されます。
 もともとはお祖父さんが預金し、それをお父さん名義からお兄さん名義に変更された場合でも、もともとのお金をお祖父さんが預け入れたのであれば、それはお祖父さんの預金と理解し、お祖父さんの遺産とするべきでしょう。
 質問だけからは詳しい事情がわかりませんが、いずれにせよ、お父さんの預金であったものが、名義変更して数年経てば、お兄さんの預金に変わるということはありません。

【どうして名義変更したのか・・】
 預金名義がお祖父さんからお父さんに名義変更されたのはどうしてでしょうか?
 お祖父さんがお父さんに、その預金を生前贈与したと理解できる可能性があれば、特別受益の問題となります。
 特別受益については過去の回答を、ご参照ください( 参考カテゴリ:「特別受益」 )。

 

★遺言執行者は必ず相続人に連絡しなければならない【Q&A №35】


第3順位法定相続人(兄弟姉妹)3名と受遺者1名で、被相続人は独身なので遺留分の考慮は不要です。
 全財産を受遺者に遺贈する旨の「全部的包括遺贈」の公正証書遺言があります。

【遺産目録の法定相続人への通知義務】
 受遺者はよいとして、法定相続人への遺産目録の通知は必ず行わなければならない義務ですか?
 登記や名義変更等について処理した日付と行為を示した遺贈の完了通知で代用できないでしょうか?
 法定相続人の方々の感情を刺激したくありません。

記載内容  遺言執行者 遺産目録 遺留分減殺請求

(たか)


【目録の交付は必ず行わなければならない法律上の義務です】
 遺言執行者は、就任後、財産目録を作成し、作成した目録を各相続人に交付する義務があり、この義務は法律で定められています。
 この遺産目録交付義務に違反しても直ちに刑事罰があるわけではなく、又、執行が無効になるというようなことはありませんが、遺言執行者の解任事由になることがあります。

【法定相続人がなんらの権利を有しない場合にも・・】
 質問のケースでは、法定相続人は兄弟姉妹ですので、遺留分減殺請求ができません。
 遺言で全遺産が特定の者に遺贈されても、兄弟はこれに対してなんら対抗措置を講じることができませんし、遺産目録をもらっても、なんら法的な手続きも取ることもできません。
 そのため、遺産目録を交付する意味や実益がないというという意見もあるとは思いますが、法律の規定から見る限り、兄弟が法定相続人であった場合には遺産目録の交付が不要との記載はありませんので、やはり交付が必要だということになります。

【交付しないと、相続人の感情を刺激する場合も】
 質問では、「法定相続人の方々の感情を刺激したくありません」と記載されています。
 しかし、本来なすべき遺産目録交付をしなかった場合、執行後に通知をしたとしても、「法律も守らずに執行した」とかえって相続人の感情を刺激する可能性があります。
 又、目録を交付しなかったことが、執行の正当性に疑問を抱かせて、いらぬ疑惑や不信感を募らせる原因ともなることも考えられます。
 波風を立てたくないという気持ちはわからなくはないですが、やはり、法律に従い、遺産目録は交付するべきでしょう。

☆ワンポイントアドバイス☆
 なお、遺産の目録も交付する際に、法定相続人全員に遺言書の内容を明らかにすることも必要でしょう。

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