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遺留分放棄に対価は必要か?【Q&A №237】


 遺留分放棄

 私(既婚女)の実家は代々資産家です。
 独身時に父が亡くなり、私は○千万の預金を相続し、兄と母は土地を相続しました。
 その際母と「(結婚したら)この預金は家を買うのに使う」と口約束をし、通帳と印鑑を預けました。

 その後、私は母の反対の元結婚して家を出ましたが、父の遺産をもらったことや母にも相当な財産がある=お金にかこつけて私達の家庭に干渉し、婚姻生活に支障をきたすので、遺留分放棄をして、実家との金銭的関係を断ち切りたいと思います。

 また、私名義で多額の貯金をし生前贈与しているように母から聞いておりますが、銀行や印鑑、金額などは全く知りません。

 結局、家は私達の自己資金+ローンで買いました。
 母は「家を買うという条件で遺産をわけたのだし、使わないなら名義替えに応じなさい」と言っています。

 遺留分放棄は、相応の対価が履行されている事が条件のようですが、上記のように確かに口座に相応のお金(最低でも○千万の遺産)はあるものの、印鑑や通帳は母が握っており、実質私の管理下にありません。

 遺産+生前贈与の通帳や印鑑を、私が持っていなくても、遺留分放棄は許可されますでしょうか?
 裁判所では、実際に私が管理しているか否かまで調査したり、母親(被相続人)にそれらを私に引き渡すよう命令が出たり、母親に照会などするのでしょうか?

 また、遺産を返せという母に従うべきでしょうか?  ご教示ください。

(まる)

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【遺留分放棄は対価なくとも許可される場合がある】
 ≪遺留分放棄というのは、相続が開始する前に、あらかじめ遺留分を請求しないということを認めてもらう手続きです。今回の質問は遺留分放棄ということですので、現在、生きているお母さんの遺産についての遺留分放棄という前提で記載します。≫  遺留分放棄の許可申立を受けた裁判所が注目するのは、放棄の許可申立が、他の相続人となるべき者から不当な強制でなされたものでないかどうかという点です。
 そのため、裁判所としては、遺留分放棄をする合理的な理由があるのか、遺留分放棄をする必要性があるのか、更に遺留分放棄の代償(対価)を既に得ているのかなどを判断材料として、放棄の許可を判断します。
 裁判所HPの遺留分放棄の許可申立書(記載例)(参照 URL:http://www.courts.go.jp/vcms_lf/7435iryubunhouki.pdf)には対価を要求するかのような記載がありますが、許可判断の重要な要素として対価の有無が考慮されることが多いため、わざわざこのような記載をしているものと思われます。
 ただ、対価を受けていることはとても重要な判断材料ですが、絶対の要件ではありません。
 対価を受けていなくとも、遺留分の放棄に合理性及び必要性があれば、遺留分放棄の許可が出ることもあり得ます。

【通帳の引き渡し命令などはしません】
 遺留分放棄の許可申立の当否は、主として提出された資料に基づき判断され、不足や疑問があれば、裁判所から申立をした人に問い合わせがあったり、資料の提出を求められることはありますが、それ以上にお母さんに対し調査が入ったり、通帳を引き渡すよう命令が出たりすることはありません。

【お父さんの預金は誰のものか・・】
 お父さんの遺産のうち、お兄さんとお母さんは土地を相続し、あなたは預金を相続されました。
 ただ、遺産分割の際に「(結婚したら)この預金は家を買うのに使う」と口約束をし、通帳や印鑑を預けたが、その遺産の預金を使わず、自分達のローンで家を買ったことから「家を買うという条件で遺産をわけたのだし、使わないなら名義書替えに応じなさい」とお母さんが言っておられるようです。
 さて、このような状況の中で、《預金の名義を変える必要があるのか》という問題があります。
 いろんな考え方があるでしょうが、次のような考え方も可能でしょう。
 まず、遺産分割で取得した財産が、お兄さん、お母さんとあなたの3者でほぼ金額的に等しいか、あなたの方が少ないようであれば、預金はあなたが相続したのであり、家を買うに使うというのは、あなたが自分の取得した遺産の使途を言ったに過ぎません。通帳等はそれまで、お母さんに預かってもらっているだけという理解も可能でしょう。
 そのような立場から言えば、あなたの方から通帳と印鑑の引き渡しをお母さんに主張することも可能かもしれません。
 逆に、あなたのもらった金額がお兄さんやお母さんよりもはるかに多いということであれば、預貯金の分割のし直しという解決もありそうです。

【ぜひ、弁護士に相談を!】
 あなたの取得したお父さんの預金が誰のものかについては、いろんな見解がありそうです。
 出来れば、法律の専門家である弁護士に相談されることをお勧めします。
 その上で、弁護士の意見を参考にして、調停などによる柔軟な解決を図られるといいでしょう。

 

遺留分放棄申立に預金の記載は必要か【Q&A №223】


 遺留分放棄について

 遺留分放棄についておたずねします。
 私、妻ですが結婚前の預金等、持家があります。
 この度の再婚を機に子供にすべて残したいため(私の連れ子)現、主人と話し合いをしたところ遺留分放棄を書くとのことですが(遺言書は書いています)家庭裁判所に申し立てをする時の書式に預貯金を書く欄があるのですが、(持家、動産は主人も把握済み)主人は私の預貯金は知りません。知った場合は書かないかもしれません。
 一括での生前贈与は贈与税がかかるので年110万以下をやっておりますが、期間がかかりすぎます。
 預貯金を知られたくない場合で、もし書かなければ、その預貯金は放棄の対象にはならないのでしょうか?
 金額を書かずにすむ方法はないでしょうか?

記載内容  遺留分放棄 財産目録 無効

(rika0405)

【事実を記載する必要がある】
 生前の相続放棄は、法律上、認められませんが、遺留分の放棄は認められています。
 ただ、その放棄については家庭裁判所の許可が必要です。
 家庭裁判所としては、遺留分の放棄をする者(本件ではご主人)が、遺産がどの程度あるのかを知った上で、なおかつ、遺産(遺留分)は要らないという放棄の意思表示するのかを確認するために、遺産の内容を記載させるのです。

【虚偽の記載をした場合の問題点】
 裁判所としては、遺産の内容が少なかったからといって、常に裏づけ資料まで提出を求めるわけではないので、虚偽の遺産内容を記載した遺留分放棄書であっても許可されてしまう可能性はあると思います。
 ただ、あなたが死亡したとき、何らかの形で、放棄許可の遺産内容に虚偽があったことが判明した場合には、遺留分放棄が無効だという主張が出てくる可能性は残るでしょう。
 なお、念のために言えば、子供さんに生前贈与をし続けると、その分、あなたが死亡した時点での遺産内容は大幅に少なくなっていきます。その結果、放棄書記載の遺産内容と現実の遺産の内容がそれほど変わらない状態となってしまう可能性も考えられます。このような場合には、記載された遺産内容が虚偽であるとは断定できなくなるということはあるかもしれません。しかし弁護士としては、やはり、ご主人に事情を説明し、理解を得るしかないと言わざるを得ません。
 本件では、ご主人に正面から事情を説明し、子どものためであることを説得し、理解を求められるべきでしょう。

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