大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

母の預金は夫婦の共有か【Q&A №441】


 家族は父、母、兄弟3人です。
 母の面倒を父と三男で行っていましたが、 母の余命が分かった時に長男が母が父との老後のために貯蓄していた母名義の定期などを解約、また年金の一部を引出し全て持っていきました。
  一部は持っていかれる前に母から三男に贈与されていて手元にあります。
 ただし口頭での贈与です。
 お金までならともかく、面倒をみていた父と三男の嘘を言って母を不安にさせ、支配し父のもとから連れ去ってしまい、一ヶ月後に亡くなりました。
 その後遺言書がでてきて、全財産は長男に渡すとの内容でした。
 長男が書かせたものだと思います。
 母は生前全く仕事をしたことが無く、父の給与で生活をしていました。
 年金以外の収入はありません。
 もちろん父は母が貯金をしていたことはわかっていましたが、任せていたという気持ちもあり、正確な金額は分かっていなかったようです。
 母の貯めていたお金は、父との共有財産なのではないですか?

 とりあえず遺留分の意思を伝えたら、遺言書を元に三男が押さえていたお金の返却を求めて長男から提訴されています。
 なぜか父と次男もいっしょに提訴されています。
 逆に父がそのお金は相続以前に共有財産で遺産ではないのだから、返却を求める裁判を起こすことはおかしい事でしょうか?

 またこちらから提訴して、今訴えられている裁判の差止めを行うことはできますか?

記載内容  夫婦 共有財産 遺留分減殺請求 持ち分
 

(りんりんちん)


【遺産の範囲について】
 被相続人名義の遺産は原則、被相続人の遺産になります。
 したがって、被相続人であるお母さん名義の預金があれば、それはお母さんの遺産になります。
 今回の質問では、お母さんは専業主婦だったので、そのような預金をする金額を持っていたはずがないということですが、そのような主張をするのなら、お母さんの名義であるが、お父さんのものであるという点の証明が必要になります。
 過去に経験したケースでは、お母さんが専業主婦であったが、お父さんの会社の役員になっており、会社から役員報酬が出ていたケースがありました。
 このようなケースがあったことも考えると、お父さんの口座からお母さんの口座に金銭が移ったというような、お父さんの財産が移動したことの裏付け資料が必要になることも考慮に入れておくべきでしょう。

【夫婦の共有財産ではない】
 お母さん名義の預金を夫婦の共有財産と考えて、半分はお父さんのものであるということができないかという質問ですが、答えはノーです。
 離婚する場合には、夫婦のいずれかの名義であっても、婚姻期間中に夫婦が共同で作ったものとして、夫婦それぞれの名義の全財産を折半することになります。
 しかし、今回は離婚ではなく、相続ですので、折半という考え方はできません。
(もし、そのような考え方をするなら、お父さん名義の財産の半分はお母さんの遺産となるという結論になり、遺産の範囲が不明確になり、収拾がつかなくなります)

【生前のお母さん名義の預金の解約について】
 長男が、お母さんの生前に無断で預金の引き出しをしたというのであれば、お母さんは長男に対して不法行為による損害賠償あるいは不当利得返還請求をすることができます。
 しかし、すべてを長男にという内容のお母さんの遺言書が存在しているのなら、お母さんの請求権もすべて長男のものになりますので、他の法定相続人が返還請求をすることはできません。

【他の法定相続人がとるべき手段は・・】
 他の法定相続人がとるべき手段としては、まず、お母さんの遺言書の効力を争うという方法があります。
 お母さんが遺言書を書いた当時、十分な判断能力があったのかどうかを検討されるといいでしょう(相続ブログQ&A №423Q&A №301【コラム】意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介》をご参照ください)
 次に、仮に遺言書が有効だとしても、他の法定相続人としては遺留分減殺請求をすることも考えていいでしょう。
 現在、長男は三男に対して生前贈与分の返還訴訟を提起したということですので、三男も弁護士に依頼することになるでしょう。
 他の相続人の方としても、相続に詳しい弁護士と相談され、遺言の有効性を争うメリットがあるのか、また、遺留分減殺請求をするのがいいのかを相談されることをお勧めします。
 なお、弁護士には長男との関係だけではなく、生前贈与を受けた金額次第では三男に対する法的処置の可能性もお聞きになるといいでしょう。
 最後に、あなたが長男に訴訟を起こしても、長男の訴訟が差し止めされることはありません。
 ただ、あなたが提訴したことによる裁判所の関与により、全体としての遺産問題が和解で終了することはよくありますし、事案によれば、そのような解決が一番望ましいこともありうることも申し添えておきます。

外国で作った遺言書の効力(遺留分減殺は認められるか)【Q&A №363】


 私の親友Aさん(日本在住の日本人。50歳代)はNZ(ニュージーランド)に不動産などを持っており、近くまたNZに行って新たな不動産を購入予定です。

 Aさんは、家業の関係もあり、将来遺産の全てを長男Bさん(日本在住の日本人)に相続させたいと考えていますが、他にも相続権者の子どもCさん(日本在住の日本人)がいます。

 ある人が「NZには遺留分の制度はないはずだ」とAさんに教えたので、Aさんは今度NZに行くときに、「NZにある遺産は全てBさんにつがせる」という内容の(英文の)遺言状をNZで作ろうかと考えています。(AさんのNZでの資産は、その全ての資産の大部分をしめています。)

 しかし、将来Aさんが亡くなった時、NZで作ったそういう内容の有効な遺言書が存在したとして、Cさんが日本の裁判所に遺留分減殺請求をした場合、裁判所はCさんの減殺請求を認めるのではないかと私は思うのですが、正解でしょうか? 正解ではないのでしょうか? どうぞご教示下さい。

記載内容  外国 遺留分減殺請求

(Cajun Chicken)


【はじめに・・・】
 この点は《渉外を扱う法律事務所》という分野ですので、詳しくはそれらを得意としている事務所にお聞きください。
 ただ、当事務所で理解できる限度で回答をします。

【外国で作成した遺言書の有効性について】
 外国で遺言書を作成した場合、その作成した国(今回の質問ではニュージーランド)で有効な遺言書であれば、日本でも有効な遺言書と認められます。
 又、その作成した国では遺言書としては有効な方式とは認められない場合であっても、日本の民法で有効な方式で作成されているのであれば、それも有効な遺言書になります。
 これらの遺言書の方式の有効性については、末尾の参考条文①を参照ください。

【遺留分減殺請求は認められます】
 次に、有効な遺言書がある場合、その遺産分割などはどこの国の法律が適用されるのかという問題があります。
 結論から言えば、相続については、被相続人の本国法が適用されます。
 これについては、末尾の参考条文②をご参照ください。
 そのため、日本人が外国(今回の質問ではニュージーランド)で作った遺言書が有効な場合、その相続関係については日本の民法が適用されます。
 従って、遺言書の内容が、他の相続人(質問ではCさん)の遺留分を侵害する場合には、侵害された者(Cさん)は遺留分減殺請求をすることが可能になります。

【日本の判決をニュージーランドで執行できるか・・】
 質問では、遺産としてニュージーランドの不動産が含まれていそうです。
 そうすると、日本の裁判所で遺留分減殺請求を認める判決が確定した場合、その判決をもってニュージーランドで強制執行できるかという問題が出てきます(日本の裁判所でとった判決がニュージーランドで承認されるのか、あるいは別途手続きを取る必要があるのかということです)。
 この点については、当事務所では正確な回答はできません。
 このような問題については、渉外事件を扱う法律事務所がありますので、そこに法律相談され、正確な回答を得られることをお勧めします。

参考条文①

【遺言の方式の準拠法に関する法律】
第二条 遺言は、その方式が次に掲げる法のいずれかに適合するときは、方式に関し有効とする。
一 行為地法
二 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法
(以下略)

参考条文②

【法の適用に関する通則法】
第三十六条 相続は、被相続人の本国法による。

孫への贈与と遺留分減殺請求【Q&A №353】


 姉が一人おり姉には成人した子供が一人。私は現在海外に住んでいて父の死後、母と姉家族が同居。以前母から手書きで不動産の1~2(同居している家等)を姉に、3,4を私に、5の土地を孫(姉の子)にと書かれたメモを受け取り母の意思ならば従う気持ちでおりました。今回姉の話で私に相続させると書かれてた土地の1つを母の弟がお金が必要で自分の土地と母の土地を合わせないと売れない事を理由に要求して来た結果、印鑑を捺して売った。姉夫婦が面倒な対応を引き受けたと聞き初めて知らない間に売られていた事を知りました。孫の大学の学費は母が全て出したと母がしっかりしている時に母から聞いており、今回ご相談したい気持ちになりました理由は今回の訪問時『孫に不動産の全てを譲る。』と母の直筆で書かれた紙を私に見えるように貼ってあるのを見たからです。このような状況から全ての不動産を姉や姉の子供の名義に私の知らぬ間に(母の捺印済みで)変更されていた場合、私への遺産相続のはどうなるのか?そうなっていた場合私が母の意思であった一部でも相続できる為の手段と裁判になった際の費用等をご教示頂きたく、何卒宜しくお願い致します。
 母や姉に直接この話を問うことは姉の性格上、そして母が老人特有の物忘れもありますので、100%理路整然と話をできない状態にもなって来ております為、不可能だと考えております。

記載内容   贈与 遺言書の有効要件 遺留分減殺請求 自筆のメモ 貼り紙 意思能力

(涙)


【メモは遺言書にはならない】
 遺言書が有効であるためには最低限、①日付があり、②氏名が自書され、③印鑑が押されていることが必要です。
 お母さんが不動産を、法定相続人であるあなたやお姉さん、お孫さんに分けるとの手書きのメモを書いていたようですが、単なるメモでは遺言書にはなりません。
(又、仮に遺言書であっても、該当不動産が売却されているのであれば、遺言書のうちのあなたに不動産を相続させるという部分は効力を持ちません。)

【貼り紙も遺言書にならない】
 《『孫に不動産の全てを譲る。』と母の直筆で書かれた紙》が貼られていたとしても、冒頭に記載した遺言書の有効要件を充たしていない限り、それは単なる《貼り紙》であり、遺言書ではありません。
 そのため、お母さんが死んだ後、お姉さんがこの《貼り紙》を根拠にして、お孫さん(お姉さんの子)に不動産を相続(遺贈)させることはできません。
 あなたとしては、遺言書ではないのだから、そんな貼り紙はなんらの効力がないということで対応されるといいでしょう。

【遺言書が存在する可能性もあるが・・・】
 ただ、お姉さんの動きを見ていると、遺産である不動産を全部、取り込みたいようです。
 このような状勢からいえば、既に要件を充たした自筆の遺言書あるいは公正証書遺言が作成されている可能性も否定できません。
 お母さんの死後、遺言書が出てきて、そこには、遺産の全部をお姉さん側に相続させる(遺贈する)というような内容だった場合でも、あなたには《遺留分減殺請求権》があります。
 この権利は、本来の法定相続分(本件では相続人はお姉さんとあなたの2人なので2分の1)の半分(4分の1)の限度で、遺産をもらえるという制度です(「相続コラム:遺留分とは」参照)。
 ただ、遺留分減殺請求ということになると、専門家である弁護士の助力が必要であると思われますで、遺言書がある事が判明し、その内容があなたに不利ということなら、早めに相談し、必要に応じて委任をされるといいでしょう。
 なお、弁護士費用は、弁護士により異なり、又、あなたが受け取る金額によっても違いますが、総額でいえば、あなたが受け取る金額の10~20%の程度のことが多いでしょう。

【遺言書を無効にする証拠を集める】
 判断能力がないときに書かれた遺言書は無効です。
 現状では、お母さんが《老人特有の物忘れもありますので、100%理路整然と話をできない状態にもなって来ております》ということのようですが、もし、可能であれば、お母さんの判断能力を調べるテスト(「相続コラム:意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介」参照)を受けて頂くことも考えておくといいでしょう。

相続人でない人物が遺産を受け取る場合【Q&A №318】

 
 父の妹(叔母、生涯独身)が現在施設に入所しておるのですが、何かと世話をしてるのが甥である私です。おばも何かと私に頼ってます。
 つい先日叔父夫婦から叔母の事で話をされました。
 叔母とは同じ敷地内で暮らしてましたが別世帯。土地・家の名義は叔母の母親、つまり私の祖母(他界)です。
 その土地、家の名義を叔母の面倒で一番世話をかけてる私にする。叔母の財産である預貯金数千万を私に譲る。と言われました。
 叔母には親父と叔父以外に2人の姉がいて曲者です!笑  叔母にも話し一筆書かせてそれから他の叔母たちを説得してくれてるとは言え簡単には終わりそうにありません。
 スムーズに終わらせる方法ってありますか?
 もし譲り受けた場合、税がかかると聞きました。
 どのくらいかかるのでしょうか?

記載内容  遺留分減殺請求 相続税 贈与税

(のん)


【叔母さんに遺言書を書いてもらうのがベスト】
 叔母さんが施設に入っておられるようですが、意思能力があれば、遺言書を書いてもらうのが一番よい方法です。
 質問から見ると、叔母さんのお母さん(あなたから見ればお祖母さん)が死亡されており、もし、叔母さんのお父さん(あなたから見ればお祖父さん)も死亡されているのであれば、その叔母さんの推定相続人は、叔母さんの兄弟姉妹の計4名(あなたのお父さん、叔父さん及び叔母さん2名)になります。
 普通、遺言書の内容が相続人にとって不利な場合(遺留分を侵害する場合)には、遺言書の内容をその相続人に有利なように変更する権利(遺留分減殺請求権)があります。
 しかし、兄弟姉妹が相続人の場合には遺留分がありませんので、遺言書の内容がどのようなものであっても、叔母さんの兄弟姉妹は遺留分減殺請求をすることができません。

【遺言書作成の際に注意すべき点】
 質問では、叔母さんに「一筆書かせて」とあります。
 しかし、遺言書には有効になるための要件が決まっていますので、その要件を踏まえてきっちりしたものを作成しておく必要があります。
 そのためには次の点にご注意ください。
① 遺言者本人が遺言書を作成したこと及び遺言書が有効である要件を備えていることをはっきりさせるために、公証人の作成する公正証書遺言をお勧めします。
 費用が少しかかりますが、将来の紛争予防のために、ぜひ公正証書遺言をされるといいでしょう。
② 次に、遺言書作成当時に、叔母さんに意思能力があったのかどうかを確認するために、検査をしておくといいでしょう。
 長谷川式認知スケールという簡単なテストがありますので、遺言書作成前に近くの病院などでそのテストしておき、遺言書を作成する能力があったことをはっきりとさせるといいでしょう。

【相続と贈与との税額の相違】
 遺言書ではなく、生前贈与ということで叔母さんから財産をもらうことも考えられますが、一般的には贈与税の税額のほうが多額になります。
 相続税の場合ですが、仮に、叔母さんの遺産総額が8000万円とした場合、本件のように相続人が4人もあるケースでは9000万円までが非課税です《相続税の基礎控除額=5000万円+1000万円×法定相続人の数》。
 (但し、税制の改正により平成27年1月1日以降は5400万円までが非課税と変更されます《相続税の基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数》。)

 一方、贈与税の場合ですが、8000万円を一括で生前贈与した場合には、現在の税制では贈与税は3720万円となります《贈与税額の計算式=(8000万円-110万円)×50%-225万円》。
 このように、贈与より相続の方が節税になります。
 但し、毎年少額の贈与をする方法や、相続時精算課税という方法もありますので、詳しくは税の専門家である税理士と相談されるといいでしょう。

【未分割のお祖母さん名義の不動産については遺産分割協議が必要】
 お祖母さん名義の不動産(土地、家)があるようですが、この不動産については、お祖母さんの相続人は、子供であるあなたのお父さん、叔父さん及び叔母さん(3名)の計5名になります。
 そのため、現在施設に入居している叔母さんの遺産をあなたが全部取得する場合でも、あなたが取得するのは、その叔母さんの共同相続分だけになります。
 そのため、お祖母さんの名義の未分割の不動産については、調停等の遺産分割の手続きが必要になりますので、ご注意ください。

相続紛争中に生じた納税の負担【Q&A №313】


 数年前になくなった叔父は、何十億単位の財産を、妻子ではなく兄弟に等分して遺贈するという遺言を残してなくなりました。(兄弟の一人が私の父です。)
 兄弟達は、叔父が亡くなると同時に、叔父の妻子達から遺留分減殺請求の申し立てを受けました。
 分割協議・調停を行うも話し合いは難航し、未分割のまま数年が過ぎ、今に至ります。
 分割協議が確定するまでは、遺贈を受けた人に納税の義務があるという事で、兄弟達は高額な相続税を課せられた状態が続いています。
 兄弟達には納税する現金がありませんので、叔父の残した土地のみならず元々自分たちの持っていた土地までを担保にいれて、延納をお願いしています。
 相続人達はのらりくらりの対応で、分割を決着させようとする気配がありません。

(質問1)本税以外に延滞金のような金額が発生しておりますが、この金額は、相続が確定して払いすぎた分が返還される時に返してもらえるのでしょうか。また、その延滞金を分割協議を長引かせている妻子達に請求出来るのでしょうか。
(質問2)このまま時間が過ぎて、減殺請求自体が無効になることはあるのでしょうか。
(質問3)減殺請求をする時点で、請求者に納税の責任を移行するべきではないかと思いますが、それは無理な事なのでしょうか。

この説明だけでは不十分かと思いますが、出来る範囲でかまいませんので、ご返答を頂きたく、よろしくお願いいたします。

記載内容  相続税 延滞税 長期化 遺留分減殺請求 更正請求

(困った一族)


【税金の相談は念のために税理士へ確認する】
 今回のご相談のうち、質問1及び3は、相続税という税金に関する相談です。
 可能な範囲で回答いたしますが、不正確な点もあるかもしれません。
 正確なところは、税金の専門家である税理士等にご確認いただきますようお願いします。

【請求を受けた時点で遺留分減殺の効果は発生する】
 まず、法律問題について回答します。
 遺留分減殺請求は、遺留分が侵害されたことを知って1年以内に行使する必要がありますが、その期間内に遺留分減殺の意思表示がなされた場合、その効果が発生します。
 減殺請求をした後に、請求した人が調停や訴訟をせずに長年放置しても、既に遺留分減殺の効果が発生しているため、減殺請求自体が無効になることはありません。
 なお、長期間放置されていることに不満があるのであれば、減殺請求を受けたあなたのお父さんの側から遺留分を確定する訴訟をすることも可能です。
 この点については、法律の専門家である弁護士と相談されるといいでしょう。

【減殺請求の時点でも、請求者に納税責任は移転しない】
 遺贈を受けた人物(受遺者といいます)に課税された相続税は、たとえ遺留分減殺請求を受けた場合でも、請求権利者に移転することはありません。
 この根拠は、相続税法の改正経過です。
 以前は遺留分による減殺請求があった時点で相続税の更正請求ができるということになっていました。
 しかし、平成15年の相続税改正により、請求した時点ではなく、遺留分による請求に基づく返還または弁償するべき額が確定した時に更正請求ができるということに変更されました。
 このような税法の規定の変更経過から見て、請求時点で更正請求ができず、その結果としての請求者の相続税の移転がないことになります。

【確定した場合には更正請求で請求者が納税義務を負う】
 前項で述べたように、遺留分減殺請求で返還するべき財産が調停や判決で確定した時には、お父さん側としては遺留分請求者に渡した財産分を減額した内容での更正請求が可能です。
 なお、この更正請求はすることが可能ということですので、しなくともなんら問題はありません。
 更正請求をした場合、払いすぎた分の相続税は当然還付されますし、その分にかかる延滞税も支払っていたのなら還付されます(なお、延滞税は還付されるのですから、分割協議を長引かせている妻子に返還請求はできません)。
 更正請求がなされた場合、その減額された分につき、請求者に相続税の支払い義務が発生します。

★遺留分をもらうための遺産調査【Q&A №185】


 既に分割されてしまった財産の遺留分請求

 去年の年末に母が他界しました。5人の子供(そのうち私だけが前夫の子供)がいますが、遺言が(見せてくれませんが)があるらしく、私以外の4人に相続させると書いてあるそうで、既に私抜きで4人で印鑑をついて財産を分割してしまったようです。

 なんの財産があったのか全く私には絶対教えてくれません。
 調査会社に依頼して銀行等の財産を調査したのですが、もう既に4人で分けてしまった後なので預金はありませんでした。

 私の分の遺留分を請求したいのですが、このように既に分割されてしまった財産を知るにはもう相続税申告書を開示するように調停で言うしかないのでしょうか。

記載内容  相続税申告書の調査 連絡なき遺言執行 公正証書遺言 遺留分減殺請求 

(はなたれ)


【遺言書の内容を確認する】
 遺言書には被相続人が自分で作成する《自筆証書遺言》と公証人に作成してもらう《公正証書遺言》があります。
 自筆の遺言書の執行をするには、家庭裁判所で相続人全員を集めて遺言書を見せる《検認》という手続きが必要です。
 今回の質問ではそのような手続きがなされていないようですので、公正証書遺言に基づき執行されたのでしょう。
 公正証書遺言であれば、公証役場で内容を閲覧謄写することが可能です。
 遺言書の中には、遺産の内容を記載している場合もありますので、まず遺言書を確認されることをお勧めします。

【相続税の申告がされている場合の調査】
 相続税の申告がなされている場合、共同相続人であれば、調停で他の相続人に提出を求めるまでもなく、税務署で相続税申告書のコピーをもらえます。
 ただ、今回の質問の場合は、あなた以外の人が相続した(ということは、相続税申告書にあなたの記名押印がない)という場合ですが、その場合でも相続税の申告書を見せてもらえる可能性がありますので、是非、税務署に行き、戸籍謄本等の相続人であることがわかる書面や免許証等の本人確認のための書面を示して、コピーを貰えるように交渉するといいでしょう。

【過去の取引履歴の調査も必要】
 遺産調査をされたようですが、死亡時点で預金がなくなっていたとしても、死亡前に多額の預金が出金されていることもよくあります。
 遺留分減殺として、過去の出金分も対象にすることができることもありますので、是非、取引のあった金融機関支店でのお母さんの入出金状況を確認しましょう。

【減殺請求は一年以内に】
 遺留分減殺請求は、遺留分の侵害を知ったとき(通常は遺言の内容を知ったとき)から1年以内に請求する必要があります。
 遺言書の内容が判明し、あなたに遺産が相続されない内容であるのが間違いないのであれば、できるだけ早く遺留分減殺請求をしましょう。

 

大学費用は特別受益になるのか?【Q&A №137】


 母親は弁護士執行の遺言書を作成しており、葬儀が終わり、ほっとした3日後に届きました。内容にはほんと驚きでした。
 全ての財産は妹にとの事…。理由は長男には多額の贈与をしていると。確かに妹は大学には行っていませんが…。自分は長男で妹が1人おり、父親は30年前に他界しました。
 大学卒業した数ヶ月後に亡くなっています。となると父親の生計の基に大学費用は捻出されています。
 それなのに遺言状に書かれている事、納得できません  この費用が特別受益の相当となれば遺留分請求も諦めるしかありません。
 教えてください。 (尚 大学は私立で30年前の卒業です)

記載内容  特別受益 遺留分減殺請求 大学費用

 (こつこつ)


【大学の学費等の教育費は特別受益か?】
 現在であれば大学進学率が上がり、大学に行く教育費を親にだしてもらったからといってもそれを特別受益といわないという考え方もあるでしょう。
 しかし、30年前で、国公立の大学よりも学費の高い私立大学に行っていたというのであれば、特別受益になる可能性があります。

【学費は誰が出したのか?】
現在、問題となっているのはお母さんの相続です。
もし、学費をお父さんが出したというのであれば、その特別受益はお父さんの遺産分割のときに考慮されるべきものです。
現在は、お母さんの遺産分割ですので、お母さんがそのあなたの大学に行く学資を出したというのでない限り、お母さんの遺産の特別受益として持ち戻しはできないことになります。
遺言書に特別受益と記載されていたからといって、特別受益になるものではありません。

【妹さんにどう対応するのか?】
妹さんに対しては、その大学の学資をお母さんが出したことを証明するよう言いましょう。
お母さんがあなたの大学の学資を出せるだけの収入があったと言えないのなら、お母さんの遺産分割で特別受益として主張することはできません。
この点を争点にして、頑張るといいでしょう。

【遺留分減殺請求はしましょう】
遺留分減殺請求は、原則として相続発生から1年間以内にする必要があります。
特別受益になるかどうかははっきりしない場合でも、遺留分減殺請求はきちんとしておきましょう。
減殺請求は内容証明郵便で通知をするだけでできます。
その後に、妹さんと交渉するなり、あるいは必要に応じて弁護士に相談するといいでしょう。

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