大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

電柱敷地料の相続【Q&A №543】


【質問の要旨】
登記名義が変更されていない土地にある電柱の敷地料について

記載内容 電柱 名義変更

【ご質問内容】
電柱敷地料を母が電力会社から受け取っていました
母が3月に死亡しました。4月に、結婚して遠方に住んでいる姉が勝手に電柱敷地料の承継届けを電力会社にだしました
6月に電柱敷地料が姉に支払われました
8月に母の遺言状で、すべての財産を私に相続させる、遺言執行者も私でした、との内容でした。(家裁検認済み)
それで、電力会社に電柱敷地料を私に払うよう請求したのですが、姉への支払いは停止する。しかし、電柱敷地料の土地の不動産登記名義が、私に変更されない限り、電柱敷地料の私への承継は認められない、との返事でした。
不動産登記名義は5年前、死んだ父の名義で母の名義ではありません。
しかし、父が死んでから5年間は、不動産登記名義を母に変更することなく、電柱敷地料の承継届けを出すだけで、電力会社は母に電柱敷地料を支払ってきてたのです。

1.電柱敷地料は不動産登記名義が変更されないと、支払われないのでしょうか?支払われないとすれば、父が死んでから5年間母に支払われてきたのと矛盾します。

2.母の遺言ですべての財産を私に相続させる、の中には、当然電柱敷地料も含まれると思うのですが、母に支払われた電柱敷地料は、相続で私にしはらわれなくてはならないのではないですか
私は相続人、遺言執行者として、どう法律的に対応すればいいのでしょうか?

(fhghfg)


【まず、電柱敷地料を受け取る権利(受給権)の内容を考える】
電力会社は、お父さんの所有していた土地について、お父さんとの間で電柱の敷地として使用する契約を結んでいました。
そのため、お父さんは、敷地使用契約の貸主であり、その契約の具体化として各時期に発生する使用料請求権を持っていたことになります。

【お父さんの死亡したときは相続人3人で権利を取得する】
お父さんが死亡したとき、特に遺言が無いのであれば、お父さんの敷地契約の貸主の地位は法定相続人全員が承継します。
次に使用料の支払いですが、敷地利用契約に特段の取り決めがされていない限り、各法定相続人が独自に法定相続分に応じて請求する権利を持つことになります。
今回の質問のケースではお母さんが2分の1、あなたとお姉さんが各4分の1です。
不動産の賃貸の場合、貸主が死亡したときには、その貸主の相続人がその法定相続分に応じて賃料を請求できるという最高裁の判決(参照最判平成17年9月8日民集59巻7号1931頁)がありますが、今回の敷地使用料もこれと同じように扱っていいでしょう。

【お母さんの遺言があっても、使用料全額を取得することはできない】
今回、お母さんが死亡し、遺言書であなたが遺産をもらうことになったというのであれば(遺留分減殺請求の問題はややこしくなるのでふれないこととします)、あなたの権利関係は次のとおりとなります。
まず、貸主の地位ですが、お母さんの持っている、お父さんから相続した2分の1はあなたのものになります。
これに、元々、あなたがお父さんから相続した4分の1を加算して、あなたは貸主の地位の4分の3を持つことになります。
残りの4分の1はお姉さんが持つことになります。
次に使用料についても、お母さんの死亡後は、あなたは使用料の4分の3を電力会社に請求することができますが、残りの4分の1はお姉さんが請求できることになります。

【お姉さんとの関係は生前の分と死後の分とを分けて考える】
なお、お母さんは生前、敷地使用料全額を取得していたようですが、あなたやお姉さんがこのような受け取りに同意していないのであれば、あなたもお姉さんも各4分の1の返還をお母さんに請求することができます
ただ、お母さんが死亡したので、その返還債務がどうなるかですが、今回の遺言ですべての遺産をあなたが相続するというのであれば、このお母さんの債務はあなたが全部引き受けることになります。
そのため、お姉さんのお母さんに対する返還請求があれば、あなたが支払いをする必要があります。
次に、お母さん死亡後にお姉さんが単独で全額を取得したようですので、あなたとしてはお姉さんが無断で受け取っていた分の4分の3に相当する金銭をお姉さんに返還請求することになります。

【電力会社に対して全額支払いを請求するには】
電力会社としては法定相続人であるあなたとお姉さんとの間で、あなたが《単独で使用料を取得する権利がある》ということを明確にする必要があります。
そのためには、お姉さんがお父さんから取得するはずの4分の1の土地名義があなたが取得するような方策を考える必要があり、そのためにお父さんの遺産分割協議等でお姉さんに代償金を支払って、あなたに単独相続にして登記するのが一番望ましいですが、仮にそのような登記ができない場合にはお姉さんとの間で《あなたが単独で使用料を取得してよい》という合意をするしかないでしょう。
なお、お姉さんの同意が得られないということであれば、少なくとも、あなたの取り分である4分の3についての支払いを電力会社に請求することも考えていいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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