大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

相続トラブル【Q&A №584】


【質問の要旨】
不正出金をした兄弟の告訴は可能か?

記載内容  預金 使い込み 告訴 

【ご質問内容】
 パチンコ依存症兄弟が、亡き母の預金勝手におろし800万円あったのが、わずかしか残ってない!  今度は、認知症4の父の大金使い込み!後見人弁護士調査中ですが、ずるい兄弟を告訴して処罰して必ずしてもらうには、どうすればいいのでしょうか?お願いします。疲れ果てております。

(和無)


【(犯罪は成立するが・・)告訴をしても警察は捜査をしない】
 兄弟の方が、無断でお母さん、お父さんの預金を引き出したというのであれば、詐欺罪や有印私文書偽造、同行使等の犯罪に該当する可能性があります
 どのような方法で使い込みをしたのかは明らかではありませんが、ご両親がするべき委任状の署名欄に兄弟の方が無断でサインをすれば、それは有印私文書偽造罪に当たる行為です。
 また、その委任状を銀行に提示してご両親の預金を引き出せば、銀行に対する詐欺罪が成立しうる行為です。
 キャッシュカードでの引き出しについては預金を窃盗したということで、窃盗罪になり得ます。

【告訴をしても警察は捜査をしない】
 以上のように刑法に規定された各種の犯罪が成立しますが、刑法には《親族相盗例》という条文があります。
 その内容は、親族間で上記のような詐欺や窃盗があっても、処罰はしないというものです(刑法251条、同244条準用)。
 このような規定が定められたのは、親族間で窃盗などは警察などの公権力は立ち入らない、そのような問題は親族間で解決しなさいという考え方があるからです。
 そのため、詐欺や窃盗で刑事告訴しても、処罰をすることができないので、警察が捜査を開始することはほぼないと考えた方がよいでしょう。

【民事上の争いで解決するしかない】
 刑事告訴をして処罰されることはないので、使い込んだ人の責任追及をするためには、民事上で解決するしかありません。

①お父さんの口座からの出金は後見人が返還請求
 お父さんには、成年後見人がついており、現在、調査をしているとのことですので、取り込んでいることがわかれば、家庭裁判所と協議の上で、後見人が返還を求めることもありえます。
 ただ、後見人によっては、選任された以降の財産管理をしっかりとするものの、選任前の預貯金の引き出しには積極的に動かない方もおられるようです。
 なお、お父さんが生きておられる段階ではあなたとしては、たとえお父さんの口座から不正出金があったとしても、なんらの請求もできないことも記憶されておくといいでしょう。

②お母さんの口座からの不正出金の返還請求
 お母さんの生前に、無断で預貯金を引き出し、使用した人がいるのであれば、お母さんはその人に対して返還請求をする権利があります。
 お母さんの死亡により、相続人であるあなたは法定相続分の限度で、使い込んだ人に返還請求をすることが可能です。
 ただ、無断出金された方がパチンコ等でお金を使い果たてしまえば、返済の資力がないということで、返還を受けられない可能性があります。
 いずれにせよ、民事上の請求をするのであれば、不正出金の調査も含めて、相続に詳しい弁護士に依頼することをお勧めします。

(弁護士 岡井理紗)

兄の使い込みと居直りへの対応【Q&A №561】


【質問の要旨】
不正出金を取り戻せるか

記載内容 凍結 預金 不正出金

【ご質問内容】
父親が昨年秋に死去しました。
私の兄は、管理していた父親名義の預金通帳からの使い込みが判りました
現在兄は遺産分割協議に協力しないばかりで困っています。
父は預貯金や株を所有していました。
父が10年前に脳梗塞発症後、半身不随になった後、24時間完全介護の老人ホームへ入所しました。入所時から、兄が、父親の全財産の管理を兄が預かっておりました
当時から兄はATMで現金を引き出しており、毎回限度額上限いっぱいの50万円や100万円の金額で、ホームの兵庫から遠く離れた東京の兄自宅近くのATM引き出してました
その金額が、10年間6000万円を超。父の同意が、有ったのか分からない一括保険金払い3000万円一括保険金払年金型生命保険にも入っています。
この保険からの年金の入金は、父の口座入金でしたが、保険金払い受取人が兄。
この年金の振り込み口座からも、兄は引き出しておりました。
父親の死後になって、心当たりの銀行証券会社に問い合わせたところ、わかりました。
兄は、死亡届を金融機関に未提出
父の死後の翌日や翌々日もATMから50万円や100万円単位で引き出していたのが判明しています。
私が金融機関に、死亡届を取引明細取り寄せと同時にしたことにより、父親の預貯金口座から、現金の引き出しが出来なくなった兄は激怒してます。
兄からは連日の暴言メールで、私は仕事も手につきません。
夜も眠れません。
兄は「お前はいらぬ事はせんでいい。お前の下らん策で迷惑きわまりない。」と、激しく私をなじる一方です。
遺言状も存在しないようです。
私はどうすればよいでしょう。
父の遺産を私が一部でも引き継ぐ事は諦めて、凍結した銀行口座を解除して兄に任せるべきなのでしょうか?
せめて、今ある預貯金のみの50%の分割で我慢すべきなんでしょうか?

(はなこ)


【あなたはお兄さんと同じ割合の遺産をもらう権利があります】
遺言書がないケースでは、あなたはお兄さんと同じ割合でお父さんの遺産をもらうことができます。
又、生前にお兄さんがお父さんの口座から無断で出金していたのであれば、お父さんはお兄さんに損害賠償請求ができることになりますが、その損害賠償請求する権利はあなたにも相続されますので、生前の引き出し分についてもあなたはお兄さんに請求することが可能です。

【わかっているすべての金融機関にも連絡をしておく】
お兄さんが、お父さんの死亡後もお父さんの遺産を引き出しているようであれば、わかっている金融機関の全てにお父さんが死亡したとの通知を出す必要があります
死亡の連絡があれば、金融機関は口座を閉鎖しますので、ATMでの出金を停止します。
利用しているかどうかわからなくても、その可能性があれば、死亡通知をし、遺産からの出金を停止させる必要があります。

【生前の引き出し分の調査】
前記のとおり、お兄さんの生前引出分は損害賠償請求権として遺産になります。
ただ、いつ、どの程度の額の金銭を引き出されたのか、その引出をお兄さんがしたのかをあなたの方で証明する必要があります
そのため、金融機関に対して入出金の取引履歴の調査をするとともに、大口の出金については誰がその手続きをしたのかを確認するために預貯金の払戻票などを取り寄せし、お兄さんが引き出したということをはっきりさせておくといいでしょう。
ATMの場合には、筆跡などは残りませんが、取引履歴を見るとどこで出金したのかがわかりますので、その取引履歴を証拠として準備しておくとよいでしょう。

【カルテの取り寄せも考える】
お父さんは脳梗塞であったということですが、もし、判断能力がないような状態であれば、お兄さんが出金した金銭の返還請求がしやすくなりますので、入通院された病院のカルテを取り寄せしておくといいでしょう
カルテにはお父さんの判断能力がわかる資料が多数、記載されていることが多いです。
お兄さんはお父さんの依頼で出金したという反論をすることもありえますので、そのような場合に備えて準備をしておくといいでしょう。

【保険契約及びその一括払い金の出金の調査も必要】
保険金の契約書にはお父さんの署名があるはずですので、保険会社から契約書の写しをもらって本当にお父さんの筆跡かどうかを確認するといいでしょう。
又、保険金の支払いが併せて一括支払いだとすると、預貯金から引き出して支払っていると考えられますので、預貯金を確認するとともに、その払戻票の筆跡を確認し、お父さんに無断でお兄さんが手続きをしたという証拠を集めておくといいでしょう。

【急いで手続きする必要があるのなら、弁護士に早期に相談を】
お父さんの遺産をお兄さんが勝手に動かしているように思われます。
お兄さんが預貯金から引き出した金銭をどのように使っているか、あるいは保管しているのかは明らかではありませんが、既にかなりの部分が消費されている可能性がありそうですし、出金分を隠している可能性もありそうです。
裁判に勝ってもお兄さんがお金を持っていないとお金を回収できません。
そのため、できるだけ早く、弁護士と相談され、お兄さんの財産を押さえる手続き(例えば仮差押手続き)などを考えられるといいでしょう
お兄さんの金融機関の口座がわかっているとすれば、それを差し押さえる方法はないのかどうか、また、これからの遺産分割協議を円滑に進めていくためにも、弁護士に相談され、必要に応じて早期に依頼をして、対処方策を講じることをお勧めします。

(弁護士 大澤龍司)

★預貯金の目減りが心配【Q&A №555】


【質問の要旨】
母の通帳などを妹が管理している

記載内容 不正出金 預金

【ご質問内容】
父が亡くなり四年が経ち、母・長女(私)・妹・弟(八年前他界)がおり、両親の面倒を見ていた妹夫婦が今回建物のみ母への名義変更を言ってきました。
弟存命中は、いずれ両親と同居する前提でマンション代を出してもらっており、しかし弟亡き後は、それが叶わないので妹から、父へマンション代を返すよう弟の嫁に言い、嫁は返済しました。
以前、私は、妹から両親の面倒を見てほしいと言われましたが、その当時は両親も元気で二人で生活できていたし、私の家の状況等の理由もあり、それを断った経緯があります。
その後は一切を取り仕切り、財産を聞いても教えてもらえず、生前父から何となく聞いていた預貯金額より遥かに少ないぼんやりした額をのらりくらり言うだけです。
嫁も同じことを言っています。通帳と実印は妹が全て持っていますし、母は強い妹には何も言えません。母名義にさせたマンション代他の預貯金の目減りを防ぐ手立てはないのでしょうか
また、今後どのようにして対処していけば良いのでしょうか

(piano)


【お母さんの財産の管理を決定するのはお母さんです】
お母さんの預貯金を、現在は妹さんが管理されているようですが、もし、お母さんが自分の財産の管理を妹に任せているのであれば、それはお母さんの意志に基づくものであり、何ら違法なことではありません
あなたはお母さんが死亡した場合には、その遺産を相続できる立場です。
しかし、現段階では、お母さんの財産に関与するなんらの権利も権限もありません。
そのため、もし、現在の状況を変えたいのであれば、あなたではなく、お母さんがその意志で行動する必要があります。
あなたとしてできることがあるとすれば、それは、お母さんが《預貯金通帳や印鑑を返してほしい》と決断するように働きかけることだけでしょう。
お母さんがそのような決断をするのであれば、お母さんの意向に従い、あなたがお母さんの代理人として妹さんと返還や管理について交渉するということも法的には可能ですし、又、必要に応じてお母さんが弁護士に依頼するということを考えてもいいでしょう。

【成年後見人をつけることも考える】
現時点ではお母さんの判断能力があるようですが、もし、将来、お母さんの判断能力がなくなるようなことがあれば、親族であるあなたは家庭裁判所にお母さんの成年後見申立をすることができます。
家庭裁判所で選任された成年後見人はお母さんの全財産を管理します。
今回のような将来の法定相続人の間でお母さんをめぐって紛争が生じるおそれのある場合には、家庭裁判所は、お子さんではなく、司法書士や弁護士などの第三者を成年後見人に選任しますので、選任された以降はお母さんの財産の保全を図ることが可能です。

【現時点でできることは何か?】
ただ、将来、お母さんが死亡した場合、あなたは相続人となり、遺産をもらう立場になります。
その際、妹さんがお母さんの預貯金を勝手に使っていたのであれば、貴方は相続人として法定相続分に応じてですが、返還請求ができます。
そのため、現在、どの銀行のどの支店にお母さんが預貯金を持っているかは最低限、把握しておくといいでしょう
通帳等が手にはいらなくとも、お母さんの死亡後、その金融機関に連絡すれば、取引履歴の取り寄せが可能です。
履歴照会により、妹さんがお母さんの預貯金をどのように扱っていたかのかが明らかになります。
現時点であなたがするべきことはそのような手配だと思います。

(弁護士 大澤龍司)

亡父の預金引き出しと相続放棄【Q&A №553】

【質問の要旨】
相続放棄したら仕送りしていた金銭はどうなるのか

記載内容 預金 引き出し 承認

【ご質問内容】
父の死亡後、多額の負債の連帯保証人をしていたことがわかり、子である私たちきょうだい三人全員が相続放棄をすることになりました。
遺産は預貯金40万円ほどと軽自動車1台。ほかにはありません。
父は年金と私たちきょうだいからの仕送りで生活していました。
相続を放棄してしまうと預貯金から仕送り分を返してもらうことはできない、という解釈であっていますか

(おがわ)


【仕送りは貸金ではない】
親子間では困っていたら助け合う義務(扶養義務といいます)があると定められています(民法第877条第1項。末記条文を参照ください)。
子が親に仕送りするような場合にはこの扶養義務の履行に該当すると考えられます。
そのため、子から親に対する仕送りは貸金ではなく、返還を要しない贈与となり、親は返還義務を負いません
そのため、お父さんの遺産から返還を受けることができないという結論になります。

【参考説明:子の親に対する貸金と子の相続放棄との関係】
前項で述べたように、親に対する仕送りは貸金ではないと考えられます。
ただ、本件の質問を離れて、仮に子が親に貸金があった場合、相続放棄との関係がどうなるかも説明しておきます。
相続放棄とは遺産の相続をしないということです。
子であるあなた方が相続放棄をした場合、お父さんの遺産である車や預貯金40万円を相続することはできません。
しかし、子が親に対して貸金のような債権を持っていた場合、子が相続放棄しても、その貸金債権はなくなりません。
相続放棄は親からの遺産をもらわないということであって、あなた方が従来から持っている親に対する貸金債権までなくなることはなく、あなた方は親の遺産に対して貸金の請求ができます

【参考説明:相続財産管理人の選任が必要】
問題は、この請求をした場合に、誰が支払いをしてくれるかです。
相続放棄をしない場合、法定相続人が遺産の権利者になりますので、その権利者の権限として遺産を自由に処分でき、債務の支払いもできます。
これに対して、相続放棄をした場合、その放棄した相続人は遺産を自由に処分する権限はなく、債務の支払いをすることができません
相続放棄をしない法定相続人がいれば、その人が遺産と債務を承継しますので、その人に支払い請求をすることになります。
もし、すべての相続人が放棄をした場合で、貸金を有している債権者が債権の支払いを求めたいのなら、その債権者が家庭裁判所に相続財産管理人の選任の申立をする必要があります。
選任された相続財産管理人が遺産を管理・調査し、債権者に支払いをしてくれます。
ただ、財産管理人選任の申立をする場合、原則として、予納金として裁判所に90万円から100万円を納付する必要があります。
今回の質問の場合、遺産が少ないのでそのような手続きはするメリットはないでしょう。
なお、財産管理人が選ばれた場合、この申立をした債権者の債権の弁済が優先されるわけではなく、債権額に応じた平等弁済になることも理解しておかれるといいでしょう。

【勝手に遺産から弁済をうけた場合の扱い】
相続放棄したにもかかわらず、その放棄した方が遺産から勝手に貸金の返済を受けた場合、その相続人は遺産を取り込んだとして、相続放棄の効力がなくなることがあります
相続放棄が無効になった場合、その相続人は、お父さんの債権者から請求があれば債務の支払いをしなければならないこともありうることにご注意ください。

民法 第877条
(扶養義務者)
1.直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
(以下略)

(弁護士 大澤龍司)

代表相続人が解約した預貯金【Q&A №526】


【質問の要旨】
代表相続人が勝手に手続き

記載内容 代表相続人 無断 預金

【ご質問内容】
経過 :代表相続人が勝手にし処理し、既に完了との連絡が金融機関からありました
代表相続人(配偶者)と他相続人(子供2名)間で協議がまとまらない為にこのような手段を講じたようです。
要は争族中です。
質問1:代表相続人(配偶者)から連絡がない、又は他相続人が分割分を請求しても応じないで放置すると、4800万円以下の遺産が代表相続人に全て使われてもしかたないですか
質問2:相続人代表口座の内容を閲覧するにはどうすればいいですか

(kawaさん)


【代表相続人から請求があれば金融機関は預貯金全部の支払いをする】
遺産の中に預貯金がある場合、金融機関は法定相続人に対して代表相続人の選任を求めます。
あなたが、配偶者を代表相続人とする手続きには協力した(ということは、配偶者を代表相続人に選任する書面に実印を押し、かつ印鑑証明書も渡した)のであれば、金融機関としてはその代表相続人が手続きをすれば預貯金全額を代表相続人に支払います
これは法定相続人間で遺産分割協議が整っていなくても、代表相続人の書類に不備がなければ、金融機関としては支払いを拒否する理由はありません。

【連絡してこない場合には迅速に仮差押え手続きをする】
代表相続人が預貯金を全部解約した場合、その人が全部を使ってしまう、あるいは隠してしまうおそれは十分に考えられます。
連絡してこない、分配請求に応じないというであれば、使われてしまう可能性も極めて高いでしょう。
もし、そのような事態になれば、最悪の場合、あなたは1円の金銭も回収できないことになりかねないため、預金を使われないよう代表相続人の口座を仮差押し、口座を凍結してしまうことが必要です。

【代表相続人の口座内容は確認できない】
代表相続人である配偶者が生きている限り、その同意がない限り、配偶者の預貯金の口座を知ることはできません
親子であっても、金融機関から見れば他人ですので、口座内容を知ることはできません。
もし、前項に記載した仮差押えをするのであれば、一番可能性の高い金融機関を狙うか、リスクを分散する意味で数個の金融機関に分散して仮差押えをするしかないでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

母の采配に任せるという遺言の効力【Q&A №476】


父が亡くなり、母宛の「遺産の分配などは任せる」という内容の手紙があります。
母は全ての財産を好きなようにして良いでしょうか?

【ご質問内容】
遺言書かの確認
父がなくなった後に、正式ではありませんが遺言状のような手紙がみつかりました。
自分の遺した資産の分配などは、母の采配に任せる・・との内容でした。
生命保険
固定資産はなく、全て現金と母が受取人の保険でした。
遺産の公開
最近、母に父の遺産の公開を求めたところ、総額は4000万円と聞いています。(母のメモしか残っていません)
母は父の手紙のとおり自分の采配で、私達(娘2人)には、内訳を公開せず、全て自分名義の口座にいれました。
その後、そこから2000万円を自分の名前で死亡保険をかけ、受取人を娘二人にしています。
それも、最近わかりました。
私達娘は、母が亡くなるのを待つのではなく、できれば今、その保険を解約し、現金をもらいたいと母に頼みました。
母は不本意なようで、私のお金だから、私の好きにすると言います。
父からの手紙に従っている母のこの権利は有効なのでしょうか。質問申し上げます。

記載内容 預金 相続手続 生命保険

(huruhuru-516)


【遺言書として有効であるかどうかを確認する必要がある】
 質問からいうと、お父さんが残されたのは遺言書ではない可能性が高いように思われますが、念のために遺言書になるかどうかを確認されるといいでしょう。
 遺言書として認められるための要件については【コラム】自筆証書遺言をご参照ください。
 次に遺言書として有効なものであったとしても、《ある特定の人に遺産の処理を任せます》という内容であったときに、その任された人が他の相続人の意見も聞かずに、勝手に遺産分割することができるのかという点も法的に問題なります。
 この点については、その言葉がお母さんに全部相続させるという意味なのか、または、文字通り遺産分割の仕方を任せるという意味なのかという文言の解釈の問題になります。
 仮に後の場合であるとすると、遺産分割は相続人がすることであり、遺言者がそのようなことまで指定できないはずだから、遺言のその部分は無効だと述べていると理解することができる最近の裁判例(本論ではない部分ですが)があることも知っておくといいでしょう(大阪高等裁判所判決平成25年9月5日:末尾参照裁判例をご覧ください)。なお、この裁判例では、亡くなった方の状況等からすると、全部相続させるという意味だと判断しています。
 ただ、質問の趣旨から言えば、遺言書ではないことが前提のようですので、以下においてはそのような前提で回答をしていきます。

【生命保険は遺産分割の対象ではない】
 生命保険は遺産ではありません(この点についてはQ&A №299をご参照ください)。
 従って、生命保険は遺産分割の対象にはならず、原則として保険で受取人として指定された人が単独で取得します

【お父さんの現金は遺産分割しなければならない】
 遺産の中に預貯金があれば、それは法定相続人がその法定相続分に応じて分割取得します。
 ただ、質問では預貯金はなく、現金ということですので、お母さんがその全部を手元に置かれており、それをお母さんの預金口座に入金したのでしょう。
 その現金がお父さんの遺産であることが明らかであれば、お父さんの遺産として分割の対象になります
 あなたとしてはその現金の法定相続分を分割してもらう権利があります。
 そのお金が生命保険の掛け金に使用されているかどうかは別として、あなたとしては法定相続分に該当する現金を支払うようにお母さんに請求されるといいでしょう

【預貯金の調査も必要不可欠です】
 預貯金口座がない人はまずいないでしょう。
 現金で4000万円もあったのなら、当然、お父さんの預貯金口座があったと思われます。
 お母さんが預貯金がなかったと主張されているかもしれませんが、信じがたいことです。
 死亡時の残高が少ないかもしれませんが、生前に無断で引き出された可能性もあります。
 金融機関の履歴照会が必要不可欠でしょう(Q&A №6をご参照ください)。

【弁護士に相談をした方がよい】
 今回の質問では、お父さんの手紙が遺言書として効力があるかどうか、また、仮に遺言書であると判断されたとしても、その内容がどの程度の効力を有するのかという法律問題があります。
 また、今後、お母さんにどのように対応していけばいいのかという問題もあります。
 弁護士としてはその手紙を見た上で法的な判断をするということになります。
 事件を依頼するかどうかは別として、早い段階で相続に詳しい弁護士の意見をお聞きになるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

《参照裁判例》
大阪高等裁判所平成25年9月5日判決から引用
(一般論としてではなく、本件の事情からすると)「全てまかせますよろしくお願いします」という本件遺言は、…遺産分割手続きを委せるという意味であるとは考え難く(本件遺言が遺産分割手続をすることを控訴人に委せる趣旨であるとすると、そもそもそのような遺言は無意味である。)、…遺産全部を控訴人に包括遺贈する趣旨のものであると理解するのが相当である。

父が横取りした祖父の預金と遺留分計算【Q&A №425】


 8年前、母方の祖父が亡くなりましたが、亡くなる迄の10年間、母ひとりで介護をしておりました。祖父には、母を含めて、長男、長女と3人の子どもがいます(祖母は20年前に他界)。祖父が存命中(軽度の認知症があり施設に入所中)、父が祖父の預金に目を付け、自宅の新築に600万をつぎ込み、さらに、700万円の預金も母ではなく父名義に変更してしまいました。母の姉、弟との協議もなく母に詰め寄り、新居の建築費に流用・預金の名義変更をしてしまいました(結果として、母がそれを許してしまった)。叔母、叔父はこのことを知りません。祖父の死亡時には、残りの預金(祖父の入所費用預金)で母の姉、弟に200万円ずつ分け与えた次第です(少しでも姉弟に分けてやりたいという思いですが、母の取り分は100万円程度)。

 母はこのことで壮絶な苦しみを感じておりましたが、現在、意識がない状態で入院中です。この1300万円は、本来、母を含めた姉弟のものではないのでしょうか?また、母が私に生前分与としてこの100万円をもらいましたが、この100万円について、父が「祖父の墓じまいのための金額であり、すぐに返却しろ。お前のせいで墓じまいができない。」と返却を迫ってきますが、祖父の墓じまいの費用は、父が横取りした700万円の中でまかなうことになっていると母から聞かされていました。父に返却すると、自分のものにしてしまう可能性がありますが、この100万円は返却しないといけないのでしょうか?
 また、父が横取りした1300万円を母のものにしてやることはできないでしょうか?

記載内容  横取り 祖父 預金

(キノコ狩り)


【お祖父さんの意志を無視したのであれば返還請求ができる】
 お父さんが1300万円の預金の引き出しを、被相続人であるお祖父さんに無断でしたのであれば、お祖父さんの法定相続人であるお母さんとしては法定相続分が3分の1ですので、不当利得または不法行為に基づき433万円の返還請求ができます。

【お祖父さんが認めたのであれが、返還請求はできない】
 いろいろな事情があるにしても、お祖父さんが最終的に贈与を了解したのであれば、贈与は有効であり、お祖父さんとしては返還請求できる余地はありません。
 お祖父さんが返還請求できないのですから、相続人であるお母さんとしても、お父さんに返還請求ができないことになります。

【遺留分減殺請求ができるかもしれない】
 ただ、民法には、法定相続人に、最低限度の取り分の遺産(遺留分)を渡そうという制度があります。
 これを使うと、本来の法定相続分の半分(お母さんの場合には6分の1)の限度で遺産を取り戻すことができます。
 ただ、遺留分減殺請求が認められるためには

①お父さんに対する生前贈与によりお母さんの遺留分が侵害されていること
②相続開始から1年を超える場合には、生前贈与の双方の当事者が「遺留分権利者に損害を加えることを知って」いたこと

が必要です(末記の民法の条文を参照ください)。
 上記①の要件については、質問からは、被相続人の預金としてはお父さんが使用した1300万円の他にどのような遺産があったのかがわかりませんが、仮に、他の預金が500万円だけであり、それ以外には遺産がなかったのであれば、次の通りの計算でお母さんの遺留分は300万円となります。
   計算式:(みなし)遺産総額・・1800万円(=1300万円+500万円)÷6=300万円
   ※注:生前贈与分は遺産に組み入れて遺留分計算をします。
 お母さんが100万円もらっているとすると、遺留分は差額の200万円になり、この分の限度で。お母さんの遺留分が侵害されていることになり、お父さんから返還してもらえる権利があるということになります。
 上記②の要件については、お父さんが贈与を受けたのは1年より前のようですので、その贈与の時点で遺留分権利者に損害を加えることを知っていたという事実が必要になります。
 当時、被相続人の遺産として、前記1800万円しかなかったということを、お父さんらが知っていたのであれば遺留分減殺請求が認められることになります。

【お母さんからあなたへの100万円の贈与の返還は必要ない】
 お母さんから受け取った生前贈与の100万円ですが、お母さんからの贈与ですので、あなたがお父さんに返還する必要はありません。
 お父さんが墓じまいのために必要だと主張しても、それはあなたに言うべきことではなく、お母さんにいうべきことです。お母さんとしては既に支払った1300万円で処理するようにお父さんに反論するとよいでしょう。

《参考条文》
民法 第1030条 (遺留分の算定)
 贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。

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