大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

遺留分と養育費の相殺【Q&A №501】


【質問の要旨】
別居中の妻が死亡したが、婚姻費用と遺留分はどうなるか

記載内容  婚姻費用 養育費 相殺

【ご質問内容】
家内と中二の子供と別居3年後に家内死亡。
審判(算定表)による婚姻費用を死亡前月(高二)まで支払。

遺言により、遺産(5千万)は全額子供が相続。
私(家内死亡前から病気で失業し借金生活)は、遺留分(1/4=1250万円)を求めて本人訴訟を起こすも、子供(義母と同居し私立大学卒業)側は、高二から大学卒業までの生活費や学費である養育費の実費(1600万円)と遺留分の相殺を要求。

(1)遺言書の内容(子供の生活費や大学進学費用に使え)は、母子の約束で扶養料を先渡しする義務(相続債務)とみなされるのか。
(2)私は無収入で数千万円の借金があり扶養能力はないが、借金より少ない遺留分をもらえば、多額の遺産のある子どもに対して養育費支払い義務があるのか。(子供の生活水準の方が高い)
(3)もし養育費の支払いが必要な場合は、
(ⅰ)月10万円の未払婚姻費用を基に、19歳までの生活費(大学費用含む?)を遺留分から控除するのか。
(ⅱ)20歳以上も、上記金額を大学卒業歳まで適用?
又は子供の主張する実費を遺留分又は遺産?から控除するのか。
十分な資産がある20歳以上の子供に、養育費の支払いが必要か。
(ⅲ)養育費が相続債務とみなされる場合は、養育費の半分が家内の債務で遺産から控除され、私の半分は扶養能力があれば遺留分から控除されるという考えか。
(ⅳ)上記に限らず、どのように考えるが正しいですか。

(オーくん)


【婚姻費用は妻の死亡により消滅する】
あなたは別居中の奥さんに対して婚姻費用を支払う義務を負っておられるようですが、この義務は奥さんが死亡した時点で消滅します
なぜなら、婚姻費用は婚姻があることを前提とするものですが、奥さんの死亡により婚姻そのものがなくなるからです
ただ、奥さんが死亡するまでに未払いの婚姻費用があれば、それは既に生前の婚姻期間中に発生した請求債権(未払い婚姻費用請求債権)として相続の対象になります。

【養育費の支払いについて】
婚姻費用の中には、実質上、未成年の子供の養育費分も含まれています。
奥さんの死亡により、死亡後の婚姻費用の支払いは不要になりますが、今度はあなたと子供さんとの養育費問題が現実化します
子供さんから請求されれば、親であるあなたに養育費の支払義務が生じる場合があります

【本件の場合の養育費支払いの要否について】
では、子供さんの言うような養育費の支払いが必要なのでしょうか。
収入及び時期と言う2つの面で支払い義務の履行を拒む理由が考えられます。
まず、収入の点からは次のように考えるといいでしょう。
養育費の支払いは支払い義務者である親に収入があることを前提にしていますが、あなたに収入がないというのであれば支払い義務は発生しないということになります。
次に時期的に言えば、養育費の支払いなどについて調停が申立される場合、支払いの開始時期はその調停申立のあった時期だとされています。
養育費の発生時期については、請求のあった時点以降であるという考えも強く、この考えに従えば請求前の過去に遡っての請求はできないということになります。
又、月毎に支払われる定期給付債権であるとして、民法169条の短期消滅時効の適用を受けるとして過去5年間の分だけの請求を認める考えもありえます。
これらの点の詳しいことを知りたければ、別途、養育費についての文献やネット検索をされるといいでしょう。
なお、子供に財産があるということだけで、養育費の支払い義務が免除されるということはないと思われますが、この点も別途調査されることをお勧めします。
又、成年に達した後の大学終了時点までの養育費の支払いの要否や学費分まで支払いの要否についても別途調査されるといいでしょう。

【遺留分減殺請求により得た利益をどう考えるか】
あなたとしては、今回遺留分減殺請求により収入を得ることになります。
しかし、あなたとしては養育費の算定の基礎となる収入は給料等の継続的な収入であり、遺留分のような一時的な収入とは言えないと主張することも可能です。
養育費算定表には給料年額あるいは自営業者の年収入額を前提として算定グラフが作られているからです。
ただ、このような主張に対しては、給料や自営での収入ではなくとも、親であるあなたが収入を得ているのであれば、給料等の収入に準じるものとして、算定される可能性もありえます。
その場合には、その収入のあった年度については、遺留分減殺請求額を前提にして計算された養育費を支払い、その翌年以降は無収入として養育費の支払いを拒むということを主張されえるといいでしょう
なお、無収入であっても《潜在的稼働能力があり、就労が困難といえないような事情がある場合には、ある程度の収入があるものとして、養育費が算定される可能性がありえますので、この点も併せご留意ください。

【遺留分と養育費の相殺との関係】
結局、前項の後段の前提(遺留分の支払いのあった年度にのみ、それを前提として養育費を支払う)というのであれば、その年度の養育費額のみが相殺の対象なり、その分が遺留分から減額されるという結論になるでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

養育費は遺留分から控除できるか【Q&A №314】


主人は再婚です、子供一人いて離婚し、私と結婚しました。
 私たち夫婦には、子供はいません。
 別れた子供が、高校卒業後、専門学校へ行く学費を2年間 毎月6万送金しました。
 この度、遺言書を作成しました。
 遺留分で、その分差し引いて貰えますか。

記載内容  養育費 学費 未成年 特別受益 専門学校

(あさちゃん)


【扶養義務の履行は特別受益に当たらない】
 父親は子に対して養育義務がありますので、養育費として相当な金額の支払いは、特別受益にはなりません。
 養育費としてどの程度が相当かは、家庭裁判所で用いる次のような養育費算定表がありますので、ご主人の収入を前提にこの表で判断されるといいでしょう。(養育費・婚姻費用算定表
 本件で問題となる専門学校の学費は、養育費としての送金だと思われます。
 そうすると、未成年者に対する父親としての扶養義務の範囲内での送金として扱われる可能性が高く、扶養を超える特別受益となることは少ないです。

【遺留分でも考慮されない】
 養育費が特別受益になった場合には、遺留分の算定の際にその受益分が遺産に持ち戻され、遺留分として受け取ったという扱いになります。
 しかし、前記のとおり、毎月送金した金額を特別受益とするのは難しいので、子どもの遺留分を減らすことはできないでしょう。
 参考までにいえば、学費で特別受益に該当するには、私立の医科大学・医学部のように多額の入学金や高額な学費を支払った場合などのかなり特別な事情が必要でしょう。

★相続放棄と引き換えに養育費を請求【Q&A №259】


 離婚した父がなくなり、退職金等2000万弱は生計を共にしていた祖母がもらえるようです。私は養育費3万(月)だったので、対象から外れたそうです。そこで、法定相続人は私1人なのですが、祖母が住んでいるマンション(売却したら1400万くら い)の相続を放棄する代わりに、生前もらうべき養育費を祖母に請求しようと考えています。カードローンなど負債もあり、実質そのマイナスをカバーする余裕もなく、あとから消費者金融からとりたてられても困ります。(大学生で奨学金を月12万借りています。)そのようなことは可能でしょうか。よろしくお願いします。(マンションは団信でローンはなくなるそうです。)

記載内容  養育費 団信 住宅ローン

(ノラ黒)

【養育費支払義務は相続されない】
 お父さんはあなたに対して養育費の支払義務を負っておられましたが、それはお父さんの死亡で消滅します。
 相続人がこの義務を承継することはありません。

【本来は売買が望ましいが・・・】
 あなたは唯一の相続人であるとすれば、お父さんの遺産は全てあなたのものになります。
 お祖母さんの住んでいるマンションもあなたのものになります。
 そのため、あなたとしてはマンションの所有者として、そこに居住しているお祖母さんに居住の対価として家賃を請求したり、立ち退きを求めたりすることも不可能ではありません。
 ただ、現実にそこに居住しているお祖母さんを追いだすのも酷なことですので、金銭的に解決することも可能です。
 その方法としてお祖母さんに、お金を支払わせるという方法もあるでしょう。
 つまり、そのマンションはお祖母さんに譲渡し、その対価として譲渡代金を貰うということも可能です。
 又、お祖母さんと交渉して、賃料を支払ってもらうことも可能でしょう。

【相続放棄を利用するのも一方法かもしれない】
 さて、あなたとしては、相続放棄をしてお祖母さんにマンションを相続してもらう替わりに、お祖母さんから、あなたがお父さんからもらうはずであった養育費を支払ってもらおうとお考えのようです。
 お祖母さんがその支払いを納得するのであれば、ユニークな解決方法です。
 相続放棄を条件として、金銭をもらうということになりますので、若干問題がないわけではありません(相続放棄なら遺産から何ももらえないのに、実質的には金銭を貰っているのは違法ではないか、このような合意は公序良俗違反ではないか、ということが問題となります)。
 お祖母さんとしては売買ではなく、相続ということでマンションの所有権を取得し、あるいは居住を継続できるというメリットがあります。
 お祖母さんが問題なく支払ってくれるなら、特に法的なトラブルもなく終了する話ですので、がんばって交渉されるといいでしょう。
 なお、相続放棄の期間は原則として死亡を知ったとき(通常は死亡時)から3ケ月間ですので、お祖母さんとは早期に交渉するといいでしょう。
 もし、交渉に期間がかかるというのであれば、相続放棄期間の延長(伸長)願いを裁判所に提出しましょう。

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