大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

誰も相続手続きしていない亡父の土地、家の扱い【Q&A №628】

【質問の要旨】

遺言による登記を放置した父の家

記載内容   遺言 登記  放棄

【ご質問内容】

20年前に父が亡くなり、現金は母と3人の子供で分けましたが、母の住む家土地は父名義のままです。

10年程前母がこの土地と家(1600万程)を可愛がっている地元に居る私の二男に相続させると遺言状を書いて私に渡されました。

私は母2分の1、子供が残り2分の1を3人で分けて6分の1ずつになる。と思っており、母が亡くなった場合、他の2人の兄弟には6分の1ずつの代金を支払えば済むかと思っておりました。

しかし、母が亡くなった場合、相続の手続き放置したままの父の土地家は母を飛び越えて3人で3分の1ずつで相続する事になると聴きました。

そうなら、母が私の二男にこの土地、家を相続させると書いた遺言状は意味が無いのでしょうか?

折角、母が可愛い孫に書いてくれた遺言状ですが、私が勝手に放棄すると罪になる様ですし、開示するには他の相続人も集めて家庭裁判所で開封と聞き、他の兄弟は不満に思うでしょうから、面倒な事になったなと思っております。

母が亡くなった場合、この遺言状に書かれている事は有効でしょうか?無効でしょうか?

追記

母は5年程前より認知症になり、今は相談出来る状態では有りません。

5年前より、ホームへ入り、家は空き家になっております。 よろしくお願い申し上げます。

 

(悩ましいです)

 

 ※敬称略とさせていただきます

【父の名義の不動産の所有関係】

父は20年前に亡くなっていますが、その遺産分割がされていません。 そのため、父名義の不動産は   

  母・・・2分の1   

  3人の兄弟・・・それぞれ6分の1

で所有(共有)していることになります。

登記が変更されていなくとも、相続が発生した段階で当然に上記のような相続分に応じて、所有権が移転されていることになります。

【相続登記していなかった不動産はどうなるか】

父の死亡後、相続登記がされていなくとも、相続が発生した段階で当然に上記のような相続分に応じて、所有権が移転されていることになります。

そのため、母が亡くなったときには、母の持つ共有持ち分は(遺言書がなければ)母の相続人である子3人に3分の1ずつ相続されます(正確にいうと、母の持ち分が2分の1ですので、子3人は母からは不動産のそれぞれ6分の1ずつ相続することになります)。

【遺言書がある場合の母の死亡時の所有権】

母が、孫(あなたの二男)に不動産を相続させるという遺言書を書いたということですが、母は不動産全部を持っていません。

そのため、遺言書は母が現在、持っている2分の1の共有持ち分の限度で有効になります。

もし、母の相続が開始した段階では、不動産の所有関係は   

  3人の兄弟・・・それぞれ6分の1   

  孫(あなたの二男)・・・2分の1

ということになります。

【遺留分減殺請求も考えられる】

母の相続人はあなたを含めて子3人です。 子には遺留分減殺請求が可能ですので、もし、それを行使すると、あなた以外の他の子は、母の遺産につき6分の1の遺留分権を有していることになります。

減殺請求後の不動産の所有関係は次のとおりとなります。

  あなた・・・父からの相続6分の1(遺留分を行使しない前提です)

  他の2人の兄弟

    ・・・父からの相続分それぞれ6分の1+母の遺留分減殺相当分12分の1(=6分の1×2分の1)

  孫(あなたの二男)・・・12分の4

【まとめると次の結論になる】

遺言書は有効ですが、もともと母は2分の1の持ち分しかなかったので、孫分しか孫(あなたの二男)に行きませんし、その分も他の2人の母の子が遺留分減殺すると、その分、持ち分が減るということになります。

生前の高額医療費支給申請について【Q&A №627】

【質問の要旨】

高額療養費の還付と単純承認

記載内容   生命保険 受取人  変更

【ご質問内容】

2月から父(71歳)が入院しており、3月末に転院をしました。

現在も同じ病院で入院しています。

先日、健康保険組合から「高額医療費支給申請書のお知らせ」が届き、組合に聞いたところ、現在の入院先は今でも入院をしているところ+訪問歯科にかかっていることから対象ときき、4月~9月までの申請書をだしてしまいましたが、病院からそろそろだろうと連絡がありました。(支給は3か月後)

お恥ずかしながら父には借金はあれど、保険もかけておらず、貯蓄もありません。

自分の洋服や靴、鞄、祖母の使っていたタンスくらいなもので、財産になるようなものはほぼありません。

どう考えてもマイナス財産しかないため家族全員放棄手続きをするつもりでしたが、高額医療費支給申請を行い、還付されると相続とみなされるという記載を見つけました。

父が被保険者であり世帯主です。

また、母のみ、扶養に入っています。

受取は母宛てにしています。

保険の割合は2割負担で、同一入院先である場合、4か月目以降は57600円の負担から44000円になると聞いていたのですが、病院からわからないといわれ、ずっと毎月57600円を払い続けています。

せめて4か月目以降の過剰支払い分は返してほしいのですが、生前に既に申請している高額医療費の支給を受けてしまった場合、相続放棄はできないのでしょうか。

また、区の助成金(紙おむつ代)の申請もしているのでそちらも心配です。

 

(まめ)

 

 ※敬称略とさせていただきます

【高額療養費の還付金も、被相続人の財産】 

高額の療養費を支払った場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻されます。

このような金銭を高額療養費還付金と言います。

ご質問では、父の医療費ですので、その高額療養費の還付請求権は父のものになります。

そのため、還付金請求をした場合に、その請求に基づき支払われる金銭は父のものであり、遺産の一部となります。

そのため、相続開始後に還付金を取得すると、相続放棄の手続きをしていても、遺産を取得したものとして、相続放棄の効果がなくなります。

なお、生前に還付金請求に基づく支払いがあり、それを父から相続開始前にもらったというのなら、相続放棄にはなんら影響しません。

【あなたが医療費を支出しているのなら、債権者になる】

現在、父の財産から医療費を支出しているのなら、上記に記載したとおりですが、あなたがご自身の財産から父の医療費を出しているのなら、あなたは、父の医療費分を立替えている債権者ということになります。

そのような債権者としての立場で、父の死後に支払いされた還付金を受け取ったので、相続人として受け取ったのではないという主張も考えられます。

しかし、その場合、父の遺産から医療費立替分を支払う手続きをあなたがすることになります。

そうすると、その支払うという立場ではやはり遺産の処分に関与したことになり、単純承認とみなされ、相続放棄が認められないということになります。

連帯債務の住宅ローン支払い【Q&A №626】

【質問の要旨】

子が支払った父の住宅ローン

記載内容   住宅ローン 立て替え 

【ご質問内容】

【ご質問内容】 (亡)父親を主債務者、連帯債務者、息子(相談者)で住宅ローンをくんでおりました。

ローンの支払いは私がずっとしていたのですが、父親名義の通帳に現金で入金しておりました。

私の記載はありません。

今回、遺産分割協議となり、立て替えたお金の返還請求をしたいのですが、どう立証すればよいのでしょうか。

生活費の入金10万ローンの支払い4万を同日入金しております。 年金暮らしの父親には、財産はなく、14万の入金は絶対に無理なのですが。

 

(コマッタ)

 

 ※敬称略とさせていただきます

【貸金の場合、何が問題となるか】
父名義の不動産だが、相談者がそのローンの支払いをしているという事案です。
父親に対する貸金の返還請求をしたいとのことですが、あなたが父親にお金を貸したという点の証明ができるかが問題になります。
あなたから父に銀行送金でされている場合には、金銭の移動は父の通帳の履歴で簡単に証明できます。
この場合は、その送金が返還を前提とした貸付けか、それとも贈与かという点だけが問題になります。
しかし、今回のように父に現金で渡して、父口座に入金され、そこから住宅ローンの引き落としがされているという場合には、その現金の入金は履歴でわかりますが、あなたがその原資を出しているということを他の相続人に納得してもらう必要があります。

【具体的に証明する必要があるのは・・】
他の相続人を納得させるには次のような事情を説明、証明する必要がありそうです。
① 父への現金入金が毎月されていること
 ・・この点は父の預金履歴で証明できるでしょう。
② あなたの口座から、父への入金の前(直前が望ましい)に、父への入金相当額が引き落としされていること
 ・・この点は、あなたの口座の履歴で証明できるでしょう。
③ 父は、住宅ローンの原資に該当するような毎月の収入がないこと
 ・・この点の証明はできるのか、検討が必要です。
④ あなた以外に父に住宅ローンの原資を渡す人はいないこと
 ・・この点もどのように証明するのか、難しいところです。
⑤ 父への金銭の交付は貸金である(返還を前提として渡している)こと
 ・・父が死亡している現在、その点の証明がどの程度できるかも難しい点でしょう。

【他の相続人が納得するかどうか・・】
もし、裁判であれば、前項の①から⑤を証明して、裁判所が納得してくれるように証明していくことが必要です。
今回の案件では、他の相続人が納得するような証拠を出す必要があります。
具体的な事実関係が不明ですが、証明に困難を感じる案件のように思います。
お近くの相続に詳しい弁護士に事実を詳しく説明をし、どのような方策があるかを聞き、交渉の参考にされるといいでしょう。

【連帯債務ということについて】
質問には、あなたが《連帯債務》と記載されています。
もし、あなたが《連帯債務》を負っているのなら、あなた自身が自分の名義で返済できたのではないかという疑問があります。
父が主債務者とあるので、おそらく《連帯保証》の間違いだと思われます。
また、仮に《連帯債務》であったとしたら、不動産名義は共有になっているのではないかという疑問も出てきます。
いずれにせよ、法律問題もありますので、弁護士に早急に相談される必要がありそうです。

遺留分対象のマンション売却について【Q&A №625】

【質問の要旨】

遺留分減殺請求後の不動産売却

記載内容   遺留分 不動産売却  同意書

【ご質問内容】

遺留分対象の中古マンション売却についてご質問がありメールしました。宜しくお 願い致します。

父が他界し、相続が発生。

相続人は先妻の子(4名)と後妻の計5名です。

公正証書遺言 があり預金は後妻と先妻の子らで折半、中古マンション(1部屋)は後妻相続(名義は後 妻変更済)となっています。

現在、相手方代理人とFAXを使い話し合っています。

マンション売却について相続終 了まで売却代金を相手方代理人口座で預かる事を条件にマンション売却に同意しまし た。

相手方代理人より不動産売却について署名捺印の同意書(売却予定金額2000万円 と瑕疵担保責任免責が記載)の提出を求められています。

売却には同意したのです が、同意書の提出は同意したつもりはありません。

相手方代理人は、同意書がないと相続人5名のうちの誰かが途中で売却を中止してくださいと言った場合、買い手から5名に対して損害賠償請求される可能性があるから 同意書がないと売却できないと主張しています。

現在、相手方にマンション売却の一 時中止をお願いしていますが、相手方はマンションを売却中です。

ご質問

①こちらは相手方作成の同意書を提出しないと損害賠償を請求されるのでしょうか。

②相手方代理人が辞任や解任された時は、売却代金が後妻に行ってしまう可能性が分 かったので、売却中止を求めると相手方より損害賠償等の請求をされる事はあるので しょうか。

(雪男)


 

 ※敬称略とさせていただきます

【後妻はマンションを単独で売れる】

父の死亡後、遺言書でマンションは後妻の単独名義になっています。

後妻以外の相続人(あなたを含む)は、売却代金を後妻の弁護士が預かることを条件に、後妻がマンションの売却をすることに同意しました。

以上の前提で考えると、後妻としては単独でマンションを売却するについては、何ら法的な障害はありません。

そのため、後妻としては、サッサと単独で契約し、その代金を弁護士が預かり、その後、これを他の相続人に分配するということで問題が解決するということになります。

【なぜ、同意書が必要なのか】

法的には同意書を出す必要はありません。

ただ、売買に関連する仲介業者としては、後妻以外の他の相続人が売買の邪魔をしない保証が欲しいのでしょう。

質問にははっきりとは記載されてはいませんが、おそらく、他の相続人としては遺留分減殺請求権を行使できる(あるいはした)立場にあります。

そのため、業者としては、売買契約締結の途中でそのような権利主張がでてきたら、契約が中途でストップする、そのようなことがないように同意書が欲しいと言ってきたのでしょう。

【法的には原則、同意書を出す必要はない】

あなたが同意書を出さなければならない法的な理由はありません。

ただ、気になるのは、弁護士が売却代金を預かることを条件にマンションの売却をすることに同意したようですが、その際、私なら、合意内容を文書化しておきますし、その中で《後妻以外の相続人は売買に協力する》という内容に加えて《売却に必要な書類の作成に協力する》との一文をいれておきます。

もし、これがあれば、あなたは同意書を作成する義務があります。

以上の前提で買主からあなたへの損害賠償を考えてみると次のような結論になります。

① あなたが、協力義務があるにもかかわらず、同意書を提出しないというのなら、後妻から債務不履行だということで損害賠償ということもありえます。

② もし、相手方弁護士が辞任あるいは解任された場合には、売買代金をその弁護士が預かれなくなった場合なら、代金の確保ができません。

そのため、売却に協力しないことが可能であり、その場合には損害賠償を受けることはないでしょう。

参考までに言えば、買主が損害賠償を請求するのは、売主である後妻に対してであり、あなたに損害賠償を請求することは考えにくいです。

【文書化されていなければ、この際、文書化をする】

今回のような売却代金を預かるという形で遺産を売却する場合に、一番、リスクが高いのは、後妻が代金全部を使うことでしょう。

そのリスクを避けるため、代金を弁護士が預かるということにした、弁護士の信用を担保にしたということでしょう。

ただ、弁護士が預かるということが売買契約を認める前提条件であるとの点は明確に証明できている必要があります。

もし、まだ、文書化されていないのなら、この際、同意書の提出と引き換えに弁護士預かりが条件だと明確に文書化するといいでしょう。

【リスクを回避するなら、処分禁止の仮処分】

次に、その弁護士が信頼できる人でないと将来の分配が心配になります。

仮にその弁護士が信頼できるとしても、後妻がその弁護士を解任した場合、弁護士は後妻に金を引き渡すのではないかという不安は消えません。

現在の業者は同意書を要求しているのでしょうが、そのような同意書なしで売却する業者も多いです。

もし、あなたが、後妻も弁護士も信頼できないというのであれば遺留分減殺を理由として、遺留分の限度で売買できないという内容の裁判(処分禁止の仮処分の申立)をされるといいでしょう。

この裁判が出ると、遺留分の限度であなたの登記が付き、あなたへの支払いが確保できます。

ただ、裁判が出るためにはいろいろな要件がありますので、是非、相続に強い弁護士と相談されるといいでしょう。

死亡保険金を叔母に横取りされた【Q&A №624】

【質問の要旨】

死亡直前に書き換えられた保険金

記載内容   生命保険 受取人  変更

【ご質問内容】

今から2年前に母から遺言書作った話は聞いていました。

内容は聞いてませんが、死亡保険金の受取人は私にしてあると聞いていました。

ところが、亡くなる2日前に叔母から呼ばれていくと、公正遺言書を見せられ、これがあなたの分よ。と通帳など 渡されましたが、その中には生命保険の証書がなく、解約したのかな?くらいに思っていましたが、税理士に全体表を見せられたとき、何で叔母に生命保険金が全部行ってるのだろうと、保険会社に問い合わせたところ、一社から亡くなる直前に受取人の変更があったことがわかりました。

受取人変更請求が、あったとされる日は、母は入院中であったため、本人がやったのではないと思います。

叔母に横取りされた保険金は取り戻すことは可能ですか? 出来るならその方法が、知りたいです。

 

(ルル)

 

 ※敬称略とさせていただきます

【生命保険金は遺産に含まれない】

今回は母の公正証書遺言があったにもかかわらず、生命保険が財産の中に含まれていなかったということで疑問を感じておられるようです。

しかし、一般に死亡保険金は法律上、遺産には含まれておりませんので、遺言に記載されることはまずありません。

特に今回は公証人が関与している公正証書遺言ですので、仮に母が間違って生命保険を遺言に記載したいと述べたとしても、公証人が訂正するでしょう。

つまり、生命保険が遺言書に載っていないこと自体は特におかしなことではありません。

【入院中でも受取人変更が可能なことがある】

ところが、あなたが税理士から見せられた全体表(おそらくは相続税申告用の遺産目録)には生命保険の記載があり、しかもそのうち一社の保険については受取人が死亡直前に叔母宛に変更されたようです。

この受取人変更の時期に母は入院中だったとのことですので、あなたとしては「母に無断で変更された無効な受取人変更である」と争いたいところでしょう。

しかし、入院には様々な理由がある(意識不明の重体もあれば、意識はしっかりした病気やケガもある)ため、単に入院中だからということで、受取人変更がすべて無効になるとは限りません。

実際の訴訟では、入院先の病院から医療記録や看護記録を取り寄せ、入院の理由や入院時の判断能力や意識状態を細かく検討していくことが必要となります。

その上で、やはり母には生命保険の話を理解し、受取人変更の手続きを取る(=書類にサインをする)ことができない状態であったということをあなたが証明して、初めて、叔母に変更された生命保険の受取人変更が無効であったと認められ、変更前の受取人が(あなたであれば)保険金を取り戻すことができるでしょう。

【療養中や入院中でも手続きを行うことがある】

この点に関し、最近では銀行や保険会社(さらには遺言を作成する公証人)は、本人の意思確認のため、入院先の病院や療養中の自宅に出向いて手続きを行うことがあります。

特に、高齢の方で先行きを心配される状況の場合、周囲の方が手配をして遺言作成や入院費捻出のための預金解約手続きなどを行われることがあります。

そのため、入院中であっても受取人変更の手続きが行われた可能性があります。

あなたとしては、前記の通り受取人変更が行われた前後の医療記録を取り寄せ、その当時の判断能力の有無についての判断を医師などの協力を得て、早急にされるといいでしょう。

(弁護士 北野英彦)

遺留分放棄の請求【Q&A №623】

【質問の要旨】

遺留分放棄をするべきか

記載内容   遺留分放棄 家業  撤回

【ご質問内容】

実家が自営業をしています。 長男が家業や家を守っていかないといけないと言う理由で、遺言書には、一切の財産を長男に。

そして公正証書として残しておくと言われました。

それと、今のうちに遺留分放棄をしてくれと求められました。(長男は継ぐ事に前向きではありません)

ある程度の金額を提示されたものの、現時点で資産がいくらあるのかをしらされておりませんので、遺留分相当の額なのかも、不明です。

昔から、父はモラハラでハンコ押さないと今後の付き合いや財産は一切お前に与えないようにすると脅されました。

しかも、父と母の二人分の遺留分放棄と言われ、納得がいきません。

果たして、両親ともの遺留分の放棄は出来るのですか?

また、遺留分放棄を撤回するのは、難しいと書いてありましたが、家庭裁判所で条件がつけられたり、こちらから長男が必ず家業を継続しているという条件や資産が嘘であった場合など、公正証書に残すとか。

有効な手段はありますか?

このままでは、親子関係、兄弟関係が悪くなってしまいます。

 

(トオル)

 

 ※敬称略とさせていただきます

【相続開始前の遺留分の放棄は可能です】

生前の相続分の放棄とは相続が開始する前に、あらかじめ遺留分を請求しないということを認めてもらう手続きです。

生前の相続分の放棄はできませんが、遺留分放棄は可能です。    

自営業の資産が細分化されるのを防ぐなど、相続財産の多くを後継者に残す必要性があるため、このような制度が認められていますが、被相続人やその他の人の不当な圧力で加わるような事態も想定されるため、相続開始前の遺留分の放棄は家庭裁判所の許可が必要です。

裁判所の許可なく、生前に遺留分放棄をした場合、たとえそれが文書などで証明できるようなものであっても、放棄の効力は一切ありません。

【裁判所は、不当な強制を受けていないかを確認する】

生前の遺留分放棄をするには、遺留分を放棄する者が、家庭裁判所に対して、遺留分放棄の許可申立てをすることになります。

遺留分放棄の許可申立を受けた裁判所は、放棄の申立が、被相続人や他の相続人から不当な強制を受けてなされたものでないかという点を審査します。

具体的に言えば、裁判所は、遺留分放棄をする合理的な理由や必要性があるのか、また放棄の申し立てをした人がすでに十分な財産をもらっているのか等が判断材料になります。

許可が出た後は、遺留分を請求することはできません。 但し、法律上は撤回が可能です。

【参考条文:家事事件手続法】

第七十八条 家庭裁判所は、審判をした後、その審判を不当と認めるときは、次に掲げる審判を除き、職権で、これを取り消し、又は変更することができる。  

一 申立てによってのみ審判をすべき場合において申立てを却下した審判  

二 即時抗告をすることができる審判

2 審判が確定した日から五年を経過したときは、家庭裁判所は、前項の規定による取消し又は変更をすることができない。ただし、事情の変更によりその審判を不当と認めるに至ったときは、この限りでない。

3 家庭裁判所は、第一項の規定により審判の取消し又は変更をする場合には、その審判における当事者及びその他の審判を受ける者の陳述を聴かなければならない。

4 第一項の規定による取消し又は変更の審判に対しては、取消し後又は変更後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。

しかし、裁判所の立場から言えば、一旦、決定を出した以上、簡単には生前の遺留分放棄の許可を撤回しません。

撤回のためには、放棄した人が、生前の放棄の許可を撤回するだけの事情の変化があったことを説明し、かつ証明する必要があります。

遺留分放棄の判断の前提になっていた事情が変更になり、遺留分放棄の状態を維持することが客観的に見て不合理・不相当になれば、裁判所が職権で放棄許可審判を取り消すことができることになっています。

そのため、仮に放棄の申立をする倍、その前提としてどれほど財産の開示を受けていたのか、わかる資料を裁判所にも提出し、また、自分自身も保存しておく必要があります。

いずれにせよ、遺留分放棄も許可が出た後はそれを撤回するかどうかは裁判所の判断ということになり、前もって合意をしていたからといって認められるわけではありません。

家族関係のこともあるようですので、法律的なことだけで結論を出すことはできませんが、可能であれば、生前の遺留分の放棄はできるだけしない方がいいでしょう。

【納得してから遺留分放棄の許可申立をすべき】

現段階では、あなたは、資産もわからないままに対価を示され、放棄を一方的に求められているようです。

ただ、上記に述べたとおり、一度遺留分放棄の判断をしてしまうと、それを取り消すためには、事情が変更になったとして裁判所の判断が必要になり、簡単ではありません。

そのため、遺留分放棄をする前に、資産の内容の開示を受けた上で、長男が家業を継ぐために、対価をもらって遺留分放棄をすることが妥当かを検討し、納得できる内容であれば、遺留分放棄の許可申立てをするということにすべきです。

なお、申し立てに際して、父と母の分は別々に申し立てる必要がありますが、別々に申し立てれば、双方について遺留分放棄をすることは可能です。

(弁護士 岡井理紗)

土地の売買【№622】

【質問の要旨】

売却した実家不動産の代金は誰が受け取るか

記載内容   実家 不動産 

【ご質問内容】

先日父が亡くなり、亡くなる前に不動産屋さんと、土地の売買を進めていました。 これは、母も兄姉も承知していたことで、父が亡くなり手続きが一時ストップしてきましたが、兄が不動産屋さんに相手が家を建てたいので手続きを進めて欲しいとの事に。

そこも問題ないのですが、売却のお金を、兄は自分の口座を新しく作ってそこに取り敢えず入金して貰い、後で皆に分割すると言ってます。

遺産相続の一環で行うから問題ないと言いますが、この場合、兄はそのお金を相続した扱いになり、分割したら兄からの贈与になる気がします。

この場合、その売却金はどのように扱うのが正確ですか?

土地売却は進めてあげたいのですが…

 

(ハル)

 

 ※敬称略とさせていただきます

【相続した財産の売却方法】

相続した財産を売却して、経費を差し引いた代金を相続人に分割することは、よくある話です。

その際、売買の方法として、次の2つの方法が考えられます。

それぞれについて、税金面と代金の支払い確保の面からプラスとマイナスを記載しておきますので、ご参照ください。

【お兄さんの単独名義にする方法】

相続人が多数いる場合、売買手続きを簡単にするために、お兄さんの単独名義にすることがあります。

この場合は、遺産分割協議書で兄が売買物件を単独で相続取得すると記載する必要があります。

兄が単独取得したことから、他の相続人は不動産からの取り分がなくなるので、その兄に単独取得させた代償として、金銭をもらうということをはっきりと記載しておく必要があります。

これをしないで、兄の単独名義にして、その後、売買代金の一部をもらった場合、税務署から贈与ではないかという疑惑を持たれかねません。

是非、《代償金》としてもらうのだという点を明記しておくことを忘れないようにしてください。

なお、この兄単独名義にする点は、売り主が兄一人になりますので、売買の手続きがスムーズにいくという利点があります。

しかし、兄が売買代金全額を受け取りますので、もし、兄がサラ金の借金がある、あるいは他に信頼できないような点があれば、お金が兄のところで消えてしまい、あなたにはまわらないというリスクがあります。

【3人が売り主になって、売却する方法】

代金の支払いの確保という点から言えば、相続人全員が売り主になるという方法もあります。

この場合、契約書には相続人全員が署名・捺印をし、また売買代金受領の場合には原則として、全員が立ち会うことになります。

私(弁護士大澤)が父からの遺産の不動産を売買した場合には、手続きは姉に売買の交渉をしてもらいましたが、決済のときには相続人全員が立ち会い、その場で経費を除いた売買代金全額を受け取りました。

別に姉を疑っていたわけではありませんが、皆がそれを希望したので、そのような形にしました。

売却代金の支払い確保にはこれが一番良いやり方ですが、反面、全員が売買の当事者になるので、手続きが面倒になるという欠点があります。

【どちらを選ぶかは兄が信頼できる人かどうかで決める】

結局、兄が信頼できるのであれば、兄の単独名義にし、兄から代償金として売却代金の一部をもらうというのが、手続きがスムーズでよい方法でしょう。

支払いで、若干でも不安があるのなら、法定相続人全員で売却するという、手続き的には煩雑な方法を採用するということになります。

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