大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

親子間で裁判中に亡くなった親の相続【Q&A №10】 0010


私には兄弟3人あり母死亡により遺言書通り相続する(二男、長女は4分の1,3男は4分の2)のですが生前中より長男との財産訴訟が有りその途中に死亡してしまいこれを3人で継承しました。
この訴訟の権利義務も遺言書どうりですか?ちなみに遺言書には訴訟に対する遺言はなく、母の所有する財産全部と書かれています。
訴訟中の分は未解決により所有には当たらないのでは。私は継承した訴訟の分の権利は平等であると思いますが。

記載内容  遺言 相続分 訴訟承継

(カテネツ)


【訴訟の地位と相続との問題】
相続人は、被相続人の財産に関する一切の権利義務を承継(受け継ぎ)します。
この承継する権利義務の中には、訴訟におけるお母さんの地位も含まれます。
本件の場合は、亡くなられたお母さんの相続人は、長男、二男、三男、長女の4名ですので、遺言書がなければ、この4名がお母さんの財産に関する一切の権利義務を4分の1ずつ承継します。
その結果、お母さんと長男さんとの訴訟(仮に原告がお母さん、被告が長男としますと)では長男はお母さんから相続する4分の1の限度で原告になるということになります。

簡単な例で説明しましょう。
お母さんが長男に貸した200万円のお金を返せというような場合、原告の請求のうち、長男が50万円を相続しますので、その分を原告請求から減少(訴訟を取り下げる等)し、請求額を150万円に減少することになります。

【遺言書がある場合】
本件では、お母さんの遺言書があり、遺産は長男以外の3人に相続させることになっています(なお、遺言書では「母の所有する財産全部」とありますが、これは「母の有する財産全部」という趣旨だと理解されます)。
そうすると、前記の訴訟の例で言えば、お母さんの有していた原告の地位は長男以外の3人で承継することになり、訴訟が勝訴したばあい、遺言書で記載された割合で分割するということになります。

【相談者の見解に対する回答】
なお、相談者の方は「訴訟中の分は未解決により所有にあたらないのでは。私は継承した訴訟の分は平等であると思いますが」と述べられていますが、法律上は、未解決であろうとなかろうと、既に述べたとおり訴訟上の地位も相続の対象になります。
仮に遺言書で記載されていないという立場では、長男は4分の1の法定相続をすることになり、結局、あなたの取り分は4分の1となり、結論は変わらないことになります。

☆ワンポイントアドバイス☆
お母さんが訴訟をされていたのであれば、弁護士に訴訟を委任されているはずです。
相続があったため、その弁護士はあなたの代理人になります。
遺留分問題も発生することもあるため、その弁護士に相談されることをお勧めします。


相続放棄について【Q&A №9】 0009


今回、私(長女)の両親と二世帯住宅をたて、私の家族と私の両親で同居することになりました(両親の今後の老後の介護もするという条件で)。
私の父名義の土地に二世帯住宅をたてたのですが、土地の相続は私がうけることになり、妹には土地の相続放棄をしてもらう予定です。
そこで相続放棄をしてもらった場合は放棄してもらった人に対して、一般的には代償金を支払うことになると思うのですが、必ず支払わなければならないのでしょうか?
また、必ず支払わなければならない場合はどのくらいの割合の金額を支払うべきなのでしょうか?

記載内容  相続放棄 代償金 遺産分割協議 遺言書

(えりたん)


【相続の放棄の意味は・・】
 法律で「相続の放棄」というは、お父さんの死亡した後に、家庭裁判所に「相続をしません」と申し述べる手続きを意味します。妹さんが、この意味の「相続放棄」をするというなら、それは遺産は一切いらないということですので、代償金の支払いは不要です。
 もし、あなたが土地を相続するけれども、妹さんは他の財産を受け継ぐというのなら、「相続の放棄」ではなく、遺産の分配方法の問題です。この場合には話し合いで、財産分け(遺産分割協議といいます)をします。
 もし、妹さんのもらう財産額よりもあなたのもらう土地の価値の方が大きい場合には、妹さんが要求すれば、その差額を調節するために代償金を支払う必要がある場合もあります。

【代償金はいくらか?】
 ご相談のような、あなたと妹さんとお母さんの3人が相続人の場合では、妹さんの相続分は法律で遺産総額の4分の1(25%)とされています。
 そのため、遺産が土地だけであり、それをあなたが全部相続するというのであれば、妹さんがもらえるはずであった相続分(土地の4分の1)に相当する金銭の支払いが必要となる場合もあります(参考までに言えば、土地の価額は税務署が決める路線価で算定することが多いです)。
 ただ、あなたとしては、「お父さんの面倒を見たのだから、その分、介護費用等の支払いが少なくなった。」(これを特別寄与といいます)、あるいは、「残されたお母さんの面倒を見るという負担をするのだから」ということで、妹さんに支払う代償金を少なくして欲しいと主張することも考えられます。

【代償金を支払わなくてもいいのは遺言書の作成です】
 土地を単独で相続するための一番よい方法は、お父さんに「土地はあなたに相続させる」という内容の遺言書を作成してもらうことです。
 このような遺言がある場合には、妹さんが何も不服を言わなければ、妹さんに代償金を支払う必要はありません。万一、妹さんが「私にも遺産を分けて欲しい」といった場合でも、遺産総額の8分の1(12.5%)の代償金の支払いですみます(⇒遺留分減殺請求について)。

☆ワンポイントアドバイス☆
 お父さんが生存しているときに「私は遺産はいりません、放棄します」と言い、そんな書面を作成していても、放棄の効果はなく、そのような人でも相続することが認められます。
 悲しいことですが、遺産をどうするかという話になると、「遺産は要らない」と言っていた人でも、当然のように遺産の分け前を要求することが多いものです(*「私は要らないのだけれど、夫が貰えというから」という話もよく聞きます。)従って、お父さんに遺言書を作成してもらうことを是非、ご検討下さい。
 また、妹さんに、遺留分を事前に放棄してもらうという制度もあります。これを遺言と併用すれば、お父さんの死後、相続で法律的な争いになることはほぼ防げるでしょう。

詳しいやり方は弁護士にご相談下さい。


【コラム】遺贈とは? 受遺者とは?

【遺贈とは? 遺贈とは?】
遺言で遺産を与えることを「遺贈」といい、このような譲渡を受けた人を「受遺者」といいます。
受遺者は相続人である場合もあれば、それ以外の人の場合もあります。
なお、受遺者は遺贈を拒否することも可能です。

【「遺贈」と「相続させる」の違い】
 遺言で「遺贈」であった場合と「相続させる」であった場合とでは後の手続や費用が異なってきます。
例えば、「遺贈」なら不動産の登記には他の相続人の同意が必要ですが、「相続させる」なら不要です。又、「遺贈」の場合の登録免許税は、「相続させる」場合の5倍です。
 なお、法定相続人に対するものは「遺贈」と明記されているものは別として、「相続させる」という意味とするのが実務の扱いです。但し、相続人でない方に「相続させる」と明記しても「遺贈」となります。

【遺留分減殺請求】
長男が会社の株を全部引き継ぐなど、相続人の一人が被相続人から遺贈を受ける場合、法定相続分とは違った遺産の分け方になることが多々あります。
遺贈の結果、相続人の譲り受ける財産が遺留分以下になる場合、相続人は遺留分減殺請求をすることができます。(詳しくは遺留分減殺請求をご参照下さい。)

【遺贈は贈与税? 相続税?】
法定相続人以外の人が遺贈を受けた場合でも、贈与税ではなく相続税が課税されます。
税率などについては、通常の場合の2割増しになるなど、法定相続人の分と計算方法が異なりますので、ご注意下さい。


★【コラム】相続人になれない人

相続権を奪われることもあります

【相続権を失う場合】
遺言がない場合、民法に規定された順序にしたがって、配偶者(夫又は妻)、子供、親(尊属)、兄妹、孫などの親戚に遺産が相続されます(法定相続)。
しかし、被相続人(なくなられた方)にとって非道いことをした人には財産を与える理由はありません。
民法では、一定の行動を取った人に当然に相続権を認めない「欠格」、関係者からの申立を受けて相続権を失わせる「廃除」の2つの規定を設けています。

【相続人の「欠格」について】
以下の行為を行った人については法律上当然に相続権がなくなります。
・被相続人や相続について先順位もしくは同順位にある人を故意に殺した人、あるいは殺そうとした人(殺人・殺人未遂罪)で、刑に処せられた人 ・詐欺又は強迫で遺言書を書かせようとしたり、遺言書を捨てる、隠す、書換え等した人 ・遺言書の作成を妨害した人

【相続人の「廃除」について】
相続人となるべき人に、被相続人に対する虐待、被相続人への重大な侮辱行為、著しい非行などがあった場合、家庭裁判所は、被相続人の請求を受けて当該事実を判断し、相続人となるべき人の相続権を「廃除」によって奪うことが出来ます。
また、遺言によっても奪うことが出来ますが、この場合には遺言執行者が家庭裁判所に排除の申し立てを行うことになります。
ただ、当然ながら、被相続人が亡くなった後に請求することは出来ません。

【欠格・廃除の子供たちは相続できる?】
被相続人の死亡時に、本来相続人となるべき人が既に死亡しており、その子供が生存している場合、その子供は、本来相続人となるべき人に代わって相続ができます。これを代襲相続と言います。
欠格・廃除によって、本来相続人となるべき人が相続権を失っても、その子らは代襲相続することが出来ます。


【コラム】実例で見る相続問題:遺産は不動産でもらいますか?現預金でもらいますか?

遺産は不動産でもらいますか?
現預金でもらいますか?

遺産の分割協議をしていると、ある相続人は現預金で欲しいといい、他の相続人は不動産が欲しいといいます。
さて、あなたならどちらでもらいますか?

【現預金が一番】
弁護士としては、原則として、その遺産の家屋に居住しているような場合は別として、現金か預金でもらいなさいというアドバイスをします。
その一番の理由は、不動産は簡単に売れないということです。

例えば広大な土地をもらった場合でも(遺産額が多い場合には)相続税の支払が必要です。
遺産分割で、現預金をもらった場合は、それですぐに相続税の支払ができます。
しかし、不動産でもらった場合には相続税の支払い原資として、別途、お金を用意する必要があります。

【不動産を売り急げば買い叩かれる】
もし、そのお金がないというのであれば、不動産を売却するしかありません。
その場合、何事もそうですが、売り急げば不動産の価額は恐ろしく安くなります(足元を見て買い叩かれるということです)。

【税金もかかります】
その不動産があなたが居住している不動産なら別として、不動産を売却する時には通常はかなりの不動産譲渡税もかかります。
また、売るまでの期間、当然のことながら固定資産税等も支払う必要があります。

【過去にこんなケース】
 過去に、当方の依頼者で不動産の取得を選択した方がおりましたが、相続税として支払うお金がありませんでした。
 そのため、税務署と協議の上、長期で分割払い(延納)という手続をしましたが、もらった不動産は売れず、しかも不動産価額は下落を続け、依頼者の相続人は四苦八苦しておりました。

 次回の記事でも記載しますが、遺産分割の前提となる不動産価額は、相場よりかなり安くなります。相続税の支払や不動産の利用価値、売却の可能性等、しっかりと考えて対処する必要がありますのでご注意下さい。


★【コラム】寄与分とは?

 寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加に、特別の貢献(寄与行為)をした相続人に、法定相続分以上の財産を取得させる制度です。
 これは、親元(被相続人)を離れて何もしなかった子(相続人)と親と共に事業を行って、財産の維持や増加に貢献した子(相続人)との間で、取得する遺産に差をつけることによって、相続人間の実質的な公平を図るものです。

 寄与分が認められるための寄与行為とは、特別なものでなければなりません。
 例えば、妻が専業主婦として長年、夫のために家事労働を頑張っていたというだけでは、特別な寄与行為とはいえず、寄与分は認められません。
 なぜなら、夫婦間では、双方とも協力して助け合う義務が法律で定められているため(協力扶助義務)、家事労働を頑張ったというだけでは、この協力扶助義務の範囲内のもので、特別の寄与行為とまではいえないからです。

特別な寄与行為の例としては、
①被相続人と共に事業を行って被相続人の財産の増加に貢献した
②被相続人に土地を贈与した
③被相続人の借金を返済してあげた
④被相続人の生活費を負担して財産を維持させた
⑤被相続人の介護を行い医療費や介護費用の支出を抑えて財産を維持させた

などがあります。

 寄与分の割合は、相続分のように法律で定められているわけではないので、個々のケースによって、その割合が異なります。

 では、寄与分の割合はどのように定めるかといえば、まずは、相続人全員での協議によります。
 つまり、遺産分割協議の中で、「親父と商売をやっていた兄貴には、店舗不動産を渡して、残りの財産を分割しよう。」など話し合って決めていくことになります。
 相続人間の協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に調停や審判という手続を申し立てます。

 なお、相続人同士で仲が悪くて協議できない場合などは、相続人間での協議をせずに家庭裁判所に申し立てることも可能です。


★家を買ってもらった妹の相続分【Q&A №8】 0008


現在、家庭裁判所で遺産相続について、争うところです。兄弟は3人です。
妹は6年前に、生前贈与で、親に約4,000万円のマンションを買ってもらっていますが、このマンションは遺産相続の金額に含まれるでしょうか?
通常、生前贈与は5年以内に買ってもらったマンションなら、遺産相続の金額の対象に入ってくるようですが、家庭裁判所で争うということで、特別な理由?として、金額の対象に入ってくるものか知りたいです。

記載内容  特別受益 価格評価

(ぽんた)


【特別受益として相続財産に入ります】
妹さんが受けた生前贈与は、結婚または独立するためのものだと思われますので「特別受益」にあたると考えられます。
 この「特別受益」にあたる生前贈与は、遺産分割の際、相続財産とみなされますので、妹さんが被相続人に買ってもらったマンションの価格も相続財産に含めて計算します。
この制度は、相続人間の公平を図るために認められたものであり、贈与の時期に関係なしに認められますので、贈与時期が5年前か6年前かということは問題とはなりません。

【遺産に算入されるマンションの価額】
 ただ、マンションの価格は、贈与当時の約4000万円ではなく、また、遺産分割したときでもなく、相続開始時(被相続人の死亡時)の価額で算定されるということです。この点はご注意下さい。

☆ワンポイントアドバイス☆
わかりにくいかもしれませんので、具体例で説明します。
相続人が兄弟3人の前提で相続開始時の相続財産を6,000万円、特別受益のマンションの相続開始時価額を3,000万円とすると、各相続人の相続分は次のとおりです。
特別受益を加算した相続財産:9,000万円 計算式=(相続開始時の相続財産:6,000万円+特別受益:3,000万円)

【各相続人の相続分】
妹の相続分はなし(0円)です。
計算式 9,000万円÷3=3,000万円(各人の取り分)
《次にこの各人取り分から特別受益分を控除します》
3,000万円-3,000万円(特別受益分)=0円 他の兄弟は各人の取り分の3,000万円全額をもらえます。

 なお、お兄さんがお父さんと同居されていたとのことですので、お兄さんが親の面倒を見たので遺産を多くもらいたいと主張(これを「特別寄与」の主張といいます)してくることも考えられます。
 お兄さんの関与で、お父さんの財産を増加させる或いは減少を食い止めるという具体的な事実がある場合には、お兄さんの寄与分が認められることもあります。
 この場合、寄与分として認められた金額は、お兄さんが取得し、その額を差し引いた残額を前提として遺産分けがなされますので、ご注意下さい。


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