大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

【コラム】法定相続の概略と具体例その4:特別受益

生前に多額の財産を贈与されている者がいる場合の不公平除去・・・特別受益について

【特別受益とは?】
 生前に法定相続人が被相続人から贈与等の利益を受けていた(これを特別受益といいます)ような場合があります。
 遺産分割では、このような生前の財産贈与分を遺産額に上乗せ(繰り戻しといいます)した上で、相続人の相続分を計算して、相続人間の公平を図ります。
 この説明だけではわかりにくいでしょうから、具体例で説明しましょう。

【具体例】
質問
父の遺産は合計6,000万円でした。
母は父より早く亡くなっており、相続人は長男と長女の2人です。
なお、長女は生前に父から住宅建築費用として3,000万円を出してもらっていましたが、長男は高校を出てずっと働きづめであり、何ももらっていません。
長男、長女の相続額はどの程度になるのでしょうか?

回答
まず、生前の受益分を考えなければ、相続人は長男及び長女の2名ですので、それぞれが均等に金3,000万円をもらえるはずです。
 しかし、長女には生前の特別受益がありますので、相続分割対象の遺産額にこの受益分を加算します。
 そうすると、分割の対象となる遺産額は9,000万円(計算式:相続財産(6,000万円)+特別受益(姉受益3,000万円))となり、長男長女の各相続分は4,500万円になります。
 この額を前提に、特別受益がある者についてはその額を差し引きますので、結局、長女の貰う額は1,500万円(計算式:4,500万円-3,000万円(特別受益分))となり、長男の貰う額は4,500万円(特別受益がないので控除分なし)となり、長男は特別受益をもらった長女よりも多く財産をもらえることになります。


【コラム】遺言執行者について

あなたがお書きになった遺言書は、あなたが死んだときに効力を生じます。
よく気がつく人なら、こんな疑問を持つかもしれません。
私の遺言は果たして実行されるのか?・・・・ このような心配に対する対策が遺言執行者の制度です。

大澤photo6【遺言執行者とは?】
 遺言執行者とは、遺言の内容を実現(執行)するために行動する人です。

【誰が遺言執行者を決めるのか?】
 遺言執行者は遺言者が遺言で指定します。
この指定をするには、遺言執行者になって欲しい人の承諾をとる必要はありません。
しかし、指定された人が、遺言執行者になることを拒否することもできますので、事前に了解を得ておくほうがいいでしょう。

【誰を遺言執行者に指定するのが望ましいか?】
 相続人の一人を執行者に指定すると、他の相続人から反発がでる場合もあります。
 遺言の内容を実行することが内容ですから、法的な知識があり、登記等の手続きに精通している弁護士を遺言執行者に指定するのが望ましいです。

【遺言執行者が動いてもらうために・・】
 遺言執行者は、あなたが死亡したことを知って、遺言の執行をします。
そのためには、遺言執行者はあなたが死亡したことを知る必要があります。
あなたの死亡をどのように知らせるのかを、遺言執行者と協議しておく必要があります。
又、遺言書を遺言執行者に預けておかないと、いざ、遺言執行という場面で肝心に遺言書がどこにあるかわからないという悲惨なことにもなりかねません。この点も要注意です。

【遺言執行者が先に死亡する場合もある?】
遺言執行者が遺言者よりも長生きするとは限らないので、1番目としてAさん、もしAさんが遺言執行者になれないようであればBさんというように指定しておくこともできます。


親の面倒を見た兄・財産をもらった姉の相続分【Q&A №7】 0007


先日、父が亡くなりました。
父は自宅と複数の駐車場や土地を持っており、自宅以外は他の人に貸して不動産収入を得ておりました。
私は次男で、私以外には兄と姉がいますが、遺産は兄弟3人で3等分することになるのでしょうか?
なお、長男は父と同居しておりましたし、姉は結婚する際、父から土地を貰っていましたが、これらは遺産分けに影響することはないでしょうか。

記載内容  相続分 特別受益 寄与分

(匿名希望)


【原則としては・・】
ご相談の件では、特に遺言書にも、また、お母さんのことにも触れられていませんので、遺言書なし、お母さんは既に死亡したとして回答します。
まず、原則としては、相続財産を兄弟がそれぞれ3分の1の割合で相続します。

【特別受益】
ただ、相続人のうち、生前に被相続人から財産を譲り受けていた人がいる場合には、この財産受けを相続の前渡しとしてカウントします(これを「特別受益」といいます)。
具体的には、今回の相続財産総額に、過去、お姉さんに贈与された土地の価額を加算して、相続分をそれぞれ計算します。

【具体的にもらえる遺産内容】
今回の質問では、具体的な遺産内容や贈与の額が記載されていませんが、仮に死亡時の相続財産総額は金4500万円とし、生前贈与分の土地は譲渡当時で1500万円とした場合、各相続人のもらえる遺産は次のとおりとなります。

計算上の相続財産:6000万円 計算式=相続財産総額:4500万円+生前贈与分:金1500万円を加算した金6000万円を前提に遺産分けをします。
各人の相続分は3分の1ですから、各相続人はそれぞれ2000万円をもらえることになります。
ただ、生前に贈与を受けた分は差し引いて計算しますので、今回の遺産分けでもらえる具体的な遺産内容は次のとおりとなります。
兄及び次男:金2000万円、姉:500万円

☆ワンポイントアドバイス☆ なお、お兄さんがお父さんと同居されていたとのことですので、お兄さんが親の面倒を見たので遺産を多くもらいたいと主張(これを「特別寄与」の主張といいます)してくることも考えられます。
お兄さんの関与で、お父さんの財産を増加させる或いは減少を食い止めるという具体的な事実がある場合には、お兄さんの寄与分が認められることもあります。
この場合、寄与分として認められた金額は、お兄さんが取得し、その額を差し引いた残額を前提として遺産分けがなされますので、ご注意下さい。


★隠された遺産を見つけることはできるか【Q&A №6】 0006


現在財産分割協議中なのですが、喪主側が提示した相続財産総額について、本当にそれで全てなのかを調べる方法はあるのでしょうか?

預貯金の場合は提示された資料に載っている分に関しては銀行名と口座名の記載がありますから、問い合わせれば確認が取れますが、もし別の金融機関に隠し財産があった場合、確認するには全ての金融機関に対して調査しなければいけないと思うのですが・・ 弁護士さんなどにお願いすれば可能なのでしょうか? それと、判明している金融機関であっても、被相続人が死亡した時点での残高証明は取れると思いますが、過去に喪主側が財産を勝手に引き出していなかったのかを調べる為に、
過去に遡って数年前~数十年前のある時点での残高証明も取れるのでしょうか? また、今後家庭裁判所への調停をお願いするような事態になった場合、個人的に前述のような調査をしなくても、家裁の方で自動的に?財産調査をしていただけるのでしょうか?

記載内容  遺産調査 弁護士の調査 裁判所の調査

(争族したくないけれど・・)


【提示された遺産が、それで全部なのかを調べる方法はあるのか?】
隠された遺産を一挙に探す方法はありません。
個別に可能性のあるところを根気よく調べる以外に方法はありません。

【別の金融機関に隠し口座があるかどうかの調査について】
 同じ銀行でも各支店毎に照会に応じますので、ご指摘のとおり全金融機関の全支店に照会を出す以外に方法はありません。

【弁護士に確認すれば全ての金融機関の調査が可能ではないか?】
弁護士の調査でも、各金融機関の支店毎に照会を出しますので、その点では個人でする場合と相違はありません。
ただ、今までの経験と勘、それまでに出ている資料に基づき、どこの支店にありそうなのかを弁護士が判断していきますので、該当する支店や預貯金口座を見つけ出す確率が高いという違いがあります。

【過去の取引履歴について】
質問では「過去の残高証明」の取寄せということですが、喪主が財産を勝手にひきだしたかどうかを確認するなら「取引履歴」(入出金の動き)を取り寄せするほうがいいでしょう。
取寄せできるのは、郵便貯金は保存期間の関係で過去5年分のみです。他の金融機関でも通常は過去5年間ですが、特段の事情がある場合には過去10年くらいまでは遡って照会することが可能です。
なお、金融機関の合併等があったために、過去の履歴を探すのに時間がかかるという回答をする金融機関も多いことや、照会文書の回答のコピーということで多額の費用を要求する金融機関もありますのでご注意下さい。

【遺産分割調停での調査について】
遺産分割調停をした場合、家裁の方で自動的に財産調査してくれるのではないかという質問ですが、そのようなことはありません。表面に出ている以外の遺産があるというなら、そのことを主張する人が自分で探し出してくださいというのが、家裁の基本的な対応の仕方です。

☆ワンポイントアドバイス☆ 全部の預貯金口座がでているかを判断するためには、ライフライン関係(水道光熱費の引き落し口座があるか)、また重要な財産(例えば不動産等)の売却金が口座に入金されているかどうかを取引履歴で確認すればいいでしょう。
これらを記載した口座がないのであれば、全部の預貯金口座が提示されていない可能性が高いと判断していいでしょう。


【コラム】実例で見る相続問題:遺言書作成のヒント

なぜ、兄弟間の激しい争いが起こったのか?大澤photo6
前回(実例で見る相続問題:深い傷を残さないように)は遺言書偽造の事件が兄弟間の深刻なトラブルを引き起こした事件のことを記載しました。
なぜ、このような兄弟が憎みあうというようなことが起こったのでしょうか。
遺言書が偽造でなかったと前提とした場合、問題は次の点にあったように思われます。

1 偽造防止のために・・自筆ではなく公正証書遺言にする。
問題のケースでは、遺言書は自筆でした。
もし、公正証書遺言であれば、公証人が作成し、かつ保存するのですから、遺言書の偽造ということは考えられません。
自筆の遺言書だから、偽造ではないかという疑いが生じ、訴訟にまで発展しました。
遺言書を残そうと思う人はそれなりの財産を有しておられることと思います。
遺言者の作成のために公証人に支払う費用は、そのような財産に比べれば少額です。可能であれば、是非、公正証書遺言をされることをお勧めします。

2 紛争防止のため・・相続人には、最低限の遺産を与える。
遺産のすべてを特定の人に与えるということになると、当然ですが、もらえなかった相続人の側から不満が出ますし、場合によれば訴訟等の紛争が起こることになります。
このような相続人の不満をどのように対処するのかが、遺言書作成の大問題です。
まず、財産を全く(あるいは少ししか)もらえない相続人としては、財産をもっと欲しいという申し出が可能です(慰留分減殺請求)。
そうだとすれば、遺言で特定の人に遺産を多く与える場合にも、他の相続人にも法律上認められる慰留分程度の遺産を残してあげるべきでしょう。
相続人としても、自分も遺産がもらえるという事実があるために、遺言書を作成した人の相続人に対する配慮を感じることができますし、しかもそれ以上は法律的に請求できないとなれば、遺産をめぐる紛争は起こしたくてもできないということになります。

3 相続人の納得のため・・遺言による財産分けの理由を説明する。
遺言書は、遺言者が後に残された相続人に対する最後の言葉というべきものです。
遺産の分け方を記載すれば十分だという考えもあるでしょうが、なぜ、そのような遺言をしたのかという理由を記載することも紛争防止に役立つことがあります。
例えば、結婚した長女や次女には多額の持参金を持たしたので、家業を継ぐ長男には余分に遺産を分けるというような説明があれば、相続人の方でも納得できる場合があるでしょう。
特定の相続人に多くの遺産を相続させるのであれば、他の相続人が納得するような説明を記載して、少しでも紛争の種をなくしておく、これが遺言をする人の最後の仕事というべきものでしょう。


【コラム】実例で見る相続問題 :深い傷を残さないように

ここまで憎しみ合うものか・・

亡くなったお父さんの遺言書が偽造かどうかが争われた事件を担当したことがありました。
35年も前のはなしです。
結局、この事件では遺言書は偽造ではないという判決がでました。
ただ、その訴訟の最中に、遺言の偽造者と言われていた相続人(次男)が急死しました。
相手方の長男が述べた一言は次のようなものでした。
「ざまぁみろ、バチがあたったんだ!」
兄弟間の相続争いで、実弟が死亡しても、悲しみを感じるどころか、むしろそれを喜ぶという、そこまで憎しみを持つものかと深く印象に残りました。
この事件は、遺言書を作っても、トラブルは発生し、兄弟間に深い傷を残す場合があるのだということを教えてくれます。
せっかく遺言書をつくるのであれば、後にトラブルが出ないようにする必要があります。
次回に、この事件を例にどのようにすればよかったのか、問題点を検討していきます。


【コラム】遺留分とは

遺産をもらえない人の対抗策・・遺留分

【遺留分とは遺産の一部を受け取ることを保障する制度です】
 遺留分とは、遺言書で財産を全くもらえない場合や、遺言書でもらえる遺産が少ない場合に、一定の相続人に遺産の一部を受け取ることを保障する制度です。

 例えば、お父さんの遺言書があり、その遺言書に、「全ての財産を妻に相続させる」と記載されていた場合、長男と長女は、遺産を全く受け取ることができないように思われます。
 しかし、長男も長女も、同じお父さんの法定相続人ですので、長男や長女にもある程度の財産を受け取ることができます。これが遺留分という制度です。

【遺留分を認められる相続人の範囲と割合】
 遺産の一部を受け取ることが保障されているのは、被相続人の配偶者や子供、被相続人の父母等の直系尊属のみです。したがって、被相続人の兄弟は法定相続人ではありますが、慰留分は認められていません。
 また、遺留分の割合は、相続人が誰かによっても異なります。

 冒頭の例をあげると、長女の遺留分については、
遺産÷2(相続分は2分の1)÷2(子供が2人)÷2(遺留分割合2分の1)となり、
結局8分の1が遺留分となります。
長男も同様に8分の1が遺留分となります。

 別の例として、被相続人に父母はいるが、配偶者も子供もいないケースでの父、又は母の遺留分は、
遺産÷3(相続分は3分の1)÷2(父母が2人)÷3(遺留分割合3分の1)となり、
18分の1が遺留分となります。

【遺留分の請求時期・方法】
 慰留分は、当然にもらえるものではなく、遺留分を害されたこと(要するに遺言書により財産が全く、或いは、少ししかもらえない)を知った時点から1年以内に、慰留分を害する者に対して(冒頭の例であれば、お母さんに対して)、請求しなければなりません。これを遺留分減殺請求といいます。
遺留分を害されたことを知ってから、1年以上何もしなかった場合には、遺留分減殺請求は認められません。
遺留分減殺請求は、裁判によらないですることができますが、請求したことを証明できるようにしておく必要があるので、内容証明郵便のような書類で送付されることをお勧めします。


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