大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

相続放棄後の分譲マンションの管理費【№620】

【質問の要旨】

相続放棄したマンションの管理費も支払義務があるか

記載内容   不動産 相続財産管理人  管理責任

【ご質問内容】

夫が死亡し、親族全員相続放棄しました。

マンションの管理会社が弁護士を通じて 夫の死後から現在までの マンション管理 費、修繕費(150万ほど)を支払って欲しいと連絡がありました。

応じない場合は 訴訟を起こすとのことです。

この場合、私たちは支払わなければいけないのでしょうか?

相続財産管理人は私たちが申立てするのでしょうか?

(きらり)

 

 ※敬称略とさせていただきます

【全員が相続放棄した場合は最後の相続人が責任を負う】

 相続人は不動産などの相続財産の管理責任を負いますが、法定の申述手続を行い相続放棄した場合、次順位の相続人が管理を開始した段階で管理責任を引き継ぎ、前順位の相続人は責任を免れます。

もっとも、最後に相続放棄した相続人は、相続放棄後も責任を免れることができません

(民法940条)

1.相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。(後略)

 

相続放棄すれば全ての責任を免れると思っておられる方は多いのですが、不動産など管理を要する財産をお持ちの場合、相続放棄後も管理責任が続きますので要注意です。

※注:本件のような全員が相続放棄をした場合に、管理責任を負うのは最後の相続人であるかどうかについては、当事務所内で異なる意見があります。

 

【管理責任を免れるには管理人選任の必要がある】

では、最後に相続放棄をした相続人はどうすれば管理責任を免れるのでしょうか。

実際には、家庭裁判所に相続財産管理人を選任する申立をすることで、管理責任を免れることができますので、この方針を弁護士など専門家に相談することが必要となります。

しかし、大阪の場合であれば裁判所に90万円~100万円程度の費用を申立時に予納する必要がある(弁護士費用は別途必要)ため、非常にコストがかかります。

また、遺産である預金などからこの予納金や弁護士費用を安易に支出したりすると、遺産を処分したということで相続放棄が認められなくなる(民法921条1号 法定単純承認)可能性もあるため、あまりお勧めできません。

(民法921条1号)

第921条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。

一  相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条 に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。

 

【今回はマンション管理組合と調整すべき】

では、相続放棄をしたあなたとして取るべき方針は何でしょうか?

少し見方を変えれば、あなたと同様に困っているのはむしろマンションの管理費を請求する管理組合側です。管理組合の側も、不動産を換価処分して費用を回収するため相続財産管理人選任の準備を進めている可能性があります。そのため、費用のかかる管理人の選任手続については管理組合と相談し、費用負担などについて調整してから検討されてもよいでしょう。

この点も専門的な知見を元にした方針の立案と交渉が必要ですので、相続案件や相続放棄に詳しい弁護士などに相談されるのがよいでしょう。

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