(毎日JPから)
http://mainichi.jp/select/jiken/archive/news/2010/06/19/20100619ddm012040012000c.html
(記事の要約)
近年、消費者から過払い請求を受けている貸金業者が、以前は国が法定制限利息以上の金利を一定程度は適法だと定め、また指導していたことが原因だとして、国に対して損害賠償を請求した。
(新人弁護士のコメント)
少し前まで、貸金業者は法律上の利息制限(最大20%)を超えた無効な利息を契約しても、一定の条件を満たせば利息を取ることができ、処罰されることもなかった(違法だが処罰されないグレーゾーン)。そのため、グレーゾーンに踏み込んで違法な利息を取り続けた貸金業者は、取りすぎた利息を返せという過払い請求を多数受けているのが実状である。
貸金業者は、このような事態になったのは国がおかしな規制を放置したからだと国を訴えた。このような訴えはどんな社会的意味を持つのでしょうか。
(先輩弁護士のディスカッション)
弁護士A「一体、何を根拠として、国に損害賠償をするのだろうか。グレーゾーンのまま放置したのがおかしいと言っても、そのおかげで高額な利息を取って利益を受けていたのでは貸金業者だろう?」
弁護士C「違法な利息も任意に支払われれば有効という『みなし弁済』規定が、最近、判決で見直されたことや、業者が支払の履歴を債務者に開示する義務が判決で認められ、過払い請求がやりやすくなったから、過払い請求が増えたんですよね。」
弁護士B「その利益も、税金でかなり国に納めているのでしょう。違法な利息でも税金まで無効にはなりませんからね。」
弁護士C「業者や代理人弁護士はこの訴訟で何をしたいのでしょうか。」
弁護士A 「過払訴訟の不当性をアピールしたいというのかもしれないね。でも、この会社は廃業したらしいが、過払金をちゃんと払いきって、廃業したのだろうか。そんな訴訟をする金があるのなら、過払金を少しでも払えといいたいね。」
(新人弁護士のつぶやき)
過払い請求がこれだけ多発する事態になるまでは複雑な経緯がありますが、記事からすると、かなり難しい訴訟ではないでしょうか。今後展開があれば、また触れてみたいと思います。