(記事の概略 読売2011.10.11夕刊)
11日に大阪地裁で行われた裁判員裁判で、死刑(絞首刑)が残虐な刑罰として憲法違反かどうかが争われた。憲法判断は職業裁判官だけが判断することになっており、裁判員の参加は自由とされていたが、裁判員6名は、全員が審理に参加した。
(弁護士の雑感)
事務員「『死刑が憲法違反かどうか』なんてとても難しい問題に、一般市民の裁判員が参加するんですね。驚きました。」
弁護士A「法律では、プロの裁判官だけが憲法問題を判断することになっている。しかし、裁判員裁判はそもそも市民感覚を活用するための制度だから、裁判員も、その点に関する公判に参加したり、裁判官の協議を傍聴したり、意見を言ったりすることができる制度になっている。」
弁護士B「しかし、最後はプロの裁判官の多数決で決めるので、裁判員が意見を述べたとしても、結局は無視されて終わりではないのですか。」
弁護士A「極端に言えばそうだね。でも、裁判官も目の前の裁判員が述べた意見も参考にして、市民感覚を踏まえた判決を書こうとする一つのきっかけになる意味はあるんじゃないかな。」
事務員「でも、死刑制度のような重い問題まで裁判員が踏み込むのはどうでしょうか。いくら市民感覚とは言っても、専門家に任せないといけない部分もあると思うのですが。」
弁護士A「裁判員に一人一票を与えるかどうかは意見は分かれるだろうが、今の憲法ができた経緯やこれまでの判例の集積も無視できないところがある。そういう部分は、ちゃんとプロの裁判官がリードする必要があるんだろうね。」
(H)