平成24年1月20日読売新聞朝刊から
(記事の要約)
自転車を運転して車の前に飛び出して事故を誘発したとして重過失致死罪の有罪判決が確定した受刑者に対し、大阪府公安委員会は、この罪のほか、受刑者の当時の供述からも、「日頃から事故現場で信号無視や無謀な横断をしていた」との話があることから、車の運転により交通の危険を引き起こすおそれがあるとして、自動車の運転免許を停止処分にした。自転車の運転を理由に自動車の運転免許停止は異例。
(弁護士のコメント)
今回の処分は、刑事裁判を通して、公安委員会としても、このような交通ルールを守る意識のない人に車を運転させるわけにはいかない、との判断に至ったものと思われる。
本来、自動車の運転免許停止は、自動車の運転によるでなければならないことは疑いない。また、今回の処分も捜査段階での供述に基づくことなどから、供述の信用性や、公安委員会の処分に行き過ぎがなかったかどうか、慎重な判断が求められる。
ただ、交通秩序が保たれるには、自動車だけでなく、自転車、さらには歩行者も、互いに意識しあうことが欠かせない。その気になれば、自転車を使って自動車事故を引き起こせてしまう。車の使用を認める以上、事故が起きることは避けられないが、交通ルールは車だけでなく全体としてつながっていることを改めて思い直した記事であった。