・・片山事件に見る弁護士のあり方・・
この弁護士、えらい気合が入っているなぁ。
今週の月曜日(5月19日)、朝ご飯を食べながらテレビを見ていた。
パソコン遠隔操作事件の片山被告の弁護士が画面に出ている。
《片山被告の無罪を確信している》と断言している。
率直にいえば《違和感》を感じたが、その反面で《すごいなぁ》とも感じた。
《違和感》は事件の流れからいえば、無罪というような事件ではないのに、この弁護士はなぜこんなに断言するのだろうかという疑問から来ている。
《すごいなぁ》というのは、にも関わらず無実であると断言しているというところから来ている。
私(大澤)は民事事件しか扱わない。
事件を扱う際、依頼者の言うことは間違いないかもしれないが、記憶違いもあるだろうし、場合によれば嘘かもしれないということも考慮しながら動くことも多い。
しかし、この佐藤博史弁護士は依頼者を全面的に信頼し、その無実を確信している。
民事弁護士と刑事弁護士との違いが鮮明に出ているということだろう。
ところが、翌20日、片山被告は、犯行をしたことを全面的に認めた。
佐藤弁護士は騙されたという事だ。
世間の人の目から見ると、みじめなピエロ役を演じたことになる。
佐藤弁護士の心中はどのようなものだろうか。
翌日(5月21日)の朝刊によると、片山被告が犯行を自白した後の弁護士のコメントは「私は完全にだまされていた」といものであったという。
だが、その後がすごい。
「ただ、裏切られたとか、否定的な感情はわきませんでした」ということで、片山に対して、一切の文句や非難、苦情は言わなかったようだ。
更に夕方のテレビを見ていると、弁護団としては、片山の精神鑑定を求めるという。
ここまで徹底していると一種、感動すら覚えることになる。
今、私の心の中では、《あんな弁護士には到底なれんなぁ》という反発と《そこまで徹底できるのか》という羨望の気持ちが複雑に入り混じっている。
でも、もしなんらかの機会に、佐藤弁護士を見かけることがあれば、少し離れたところからでも、小声で、次のようなことをと言いたいような気持になっている。
《先生、よく頑張りますね・・・》