京都の《無鄰菴》に行ってきた。
駅で言えば、地下鉄東西線の蹴上駅から徒歩約5分、
東山の麓にあり、南禅寺からも近い。
明治維新で活躍した長州(山口県)奇兵隊出身の政治家の
山形有朋の別邸であり、
造園家小川治兵衛の作になる庭園として有名である。
いざ、入ってみると、やはり広い。
池があり、庭園の奥には三段の滝がある。
緋毛氈の敷かれた座敷に座って、抹茶を飲んだ。
疎水から導かれた水が小川となって音を立てて流れていく。
《逝(ゆ)くものはかくの如きか、昼夜をおかず》※注1という言葉がわき出てきた。
テレビでは何度も見たことがあるが、
現地に行くとやはり違う。
テレビでは自分の見ている景色の一部に画面として庭があるが、
その場にいれば、自分の体や心を包み込んで庭がある。
梅雨の合間の蒸し暑い日ではあったが
座敷を吹き抜ける風が爽やかで
これこそ現地でしか感じ得ないものだ。
明治の元勲であった山形有朋はこの風を涼みながら
何を感じていたのであろうか。
※注1.孔子の言葉・・「過ぎ去るものはみなこの川の流れのようなものである。昼も夜も、休むことはない」という意味です。