(2018.5.5)
イモリ池から続いていた林を抜けたところ、視界は一気には広がった。
右に妙高があり、道ははるか前方の黒姫山に向かって伸びている。
道の周囲は進行方向に向かってゆるやかな斜面で、一面に畑が広がっている。
杉野沢の集落だ。
斜面を水が流れ落ちているが、自然の小川ではなく、畑に水を取り入れるための用水路だ。
幅約30センチほど、コンクリートで固められた水路だ。
青のTシャツを着た少年が、そこで魚釣りをしている。
釣りの邪魔をするのも悪いので、一旦、通り過ぎたが、やはり気になる。
10メートルほど行ったところで、誘惑に負け、Uターンした。
《何が釣れます?》と聞くと、《イワナ・・・》と答える。
イワナと言った言葉の語尾が消えかかるようで、小さな声になった。
私の、《そんな狭苦しいところで岩魚なんか釣れるはずもないだろう》という表情を見たからだろう。
その後、20分ほど後に、同じ少年が目の前を歩いているのを見かけた。
どこか近道があったのだろう。
もちろん、手にはイワナなど持っていなかった。
しかし、悪いことをしたかもしれない。
私は《イワナ》と言えば、尺―30センチ程度の大きさの《岩魚》というイメージがある。
しかし、たとえ5センチであったとしても、それもまた、《イワナ》である。
あの少年は、そのような《イワナ》を釣っていたのかもしれない。
その程度なら、あるいはあの水路にいたのかもしれない。
しかし、それならリールなどは大げさすぎていらないとは思うけれども。
林を抜け杉野沢集落に入る。
空は青く道の両側には畑が広がる。
魚つりをしている青シャツ少年。
一旦通り過ぎたが、気になって写真だけは撮ってみた。
しかし、その後バックしてみた。
イワナ、いるかなぁ…
右下にリール付きの竿が見える。
ベンチがあった。一服する弟(右)と息子(左)。
後方は黒姫山。