八坂神社から知恩院の方に歩いて行った。
ここでも門はライトアップされていた。
昼みても、この門は大きい。
しかし、暗闇では光を浴びているため、さらに大きく見える。
開門を待つ人の長い行列ができていた。
この寺の有名な鐘が除夜を告げるのを聞きたい、
境内に参拝したいという人たちであろう。
昼ではあるが、知恩院にはこれまで3度くらい、来たことがある。
いつか、正確な時期は忘れたが、本堂の前を歩いているときにお経が聞こえてきたことがある。
もっと聞きたいということで、本堂に上がり、隅っこに座っていた。
本堂も大変大きな建物である。
天井が高く、手前の畳が広く敷かれており、奥には仏壇があった。
お経は仏壇の奥の方から聞こえてきた。
不思議なことだが、そのままお経を聞き続けたいという気持ちになった。
気持ちが、宗教的な雰囲気になってきたという感じであった。
しかし、お経はすぐに終わった。
私は、その後、15分くらい、そのまま座っていたが、お経が再開されることはなかった。
除夜の鐘が鳴りだすには、まだ1時間以上も時間がある。
待っているのもしんどいので、帰ることにした。
門を背にして参詣道を祇園の方に歩いて帰っていった。
足元を照らす照明しかなく、道は暗かった。
5分ほど歩いたところに小さな門があり、そこからあの巨大な門を振り返った。
遠くではあり、小さくもあったが、照明に照らされた門が暗闇の中で燦然と輝いていた。
浄土宗は鎌倉時代に法然上人によって開かれた。
善行を積んでいない人、困った人、苦しんでいる人でも念仏を唱えれば、すべて救われるという教えである。
法然上人の教えによりどれだけ多くの庶民が魂を救済されたであろうか。
私は無宗教であるが、その当時の庶民にとっては、法然上人は、この輝く門のように、暗闇の中で燦然と輝く光であり、生きる勇気を与えるものであったろう。
知恩院の巨大な門
遥か遠くに知恩院をながめる