外部リンク:消費者庁、イオンペットに措置命令=宿泊で「屋外散歩」行わず
記事によれば、イオンペットのウェブサイトでは、220店舗の約半数である107店舗で、宿泊サービスのため預かったペットを屋外で散歩する内容の広告をしているが、実際には屋外で散歩することはなかったようだ。
自分の愛する家族(ペット)を預けた側は怒り心頭のことだろう。
いろいろ言いたいことはあるが、今回は「広告と現場サービスの一致」という視点で書いてみたい。
まず一般に、このように実態とはかけ離れた広告を「誇大広告」とか「虚偽広告」と呼ぶことがある。
たとえば、卵の安売りチラシを見てスーパーに行ったが、レジの側で新しい値段が反映されていなければ買い物客ともめ事になりかねない。
このように、実際に存在しないサービスを広告することがダメなことくらい、子どもでも分かるはずである。
しかし視点を変えれば、日々変わっていく現場でのサービスに対し、普段はスタッフが気にしない広告まで一寸の狂いもなく合わせることはけっこう難しいと思う。
スーパーのチラシならスタッフがみんな店内にいるのですぐに気づくだろうが、イオンのような大企業では、サイト作成部門と現場管理部門とはおそらく全く違う部署だろう。
現場のサービスをきちんと知らない担当者だけが集まって、このような「看板に偽り」のあるサイトを作ってしまったのではないだろうか。
(もちろん、故意にこんな広告を作ったなら詐欺とも言われかねない大問題である。)
しかし、これだけインターネット上の広告が力を持つ時代に、広告を現場サービスと合わせなければ今回の様な問題が起きることは明らかであり、イオンペットは管理を怠った責任があるといわざるをえない。
「散歩をしない」という程度の場合、直ちにペットの健康被害など実害が生じることは少ないのかもしれないが、企業は自身の広告と現場のサービスに責任を持ってもらいたいと思った記事であった。
(弁護士 北野英彦)