外部リンク:「1人で死ね」ではなく~川崎19人殺傷事件で当事者でない1人として言えることできること
川崎市の19人殺傷事件、《死にたいなら一人で死ね》と言えば、《そんなことは言うな》という意見があり、またそれに対して《「きれいごとだ」と言うな》といろんな意見が出ている。
《ある日、突然、理由もなく殺される、そんな理不尽なことがあっていいのか》という点では、反対する人はいないだろうし、また、《死ぬなら人を巻き添えにするな》という点でも異論はないだろう。
日本にはかなりの数の引きこもりの人がおり、その数は数百万人だともいわれている。
今回の事件は無差別殺傷であり、犯人も死亡しているから、刑事裁判も開かれない。
そのため、今はマスコミやネットで騒がれても、時間が経過すると、この事件も《そんな事件があったな》ということになってしまいそうだ。
ただ、事件の記憶が薄れても、引きこもりしている人が多数いるという事実はなんら解消されない。
しかし、私など、なぜ、引きこもるのだろう?と疑問に思っている。
社会の一員として生きていることはとても楽しいことなのにと。
その原因や治療法、社会復帰のための方法など、究明され、調査されているのだろうか。
時々、引きこもり者を社会復帰させるためのプログラムを実施している地方自治体や民間団体があると新聞やテレビで見ることがある。
そのような努力は尊いことであるが、微々たるもののように思う。
もっと積極的に予算などをつけて、調査・研究をさせ、社会復帰につなげる制度を充実させる必要があるだろう。
何百万人もの引きこもりのうち、その一割でも社会復帰すれば、現在の労働力不足も少しは改善するかもしれない。
引きこもりの人たちも当然、年を取る。
その時、この人たちはどうなる、あるいはどうしたらいいのだろう?
今回の事件はその問題を衝撃的な形で顕在化した。
さて、これからどのような動きが出るのだろうか
ちゃんと、このひきこもりの現実を見つめて、その対策を考えないと、今後、大変なことになるぞという気がしてならない。
(弁護士 大澤龍司)