黒糖をくれたおばさんが上って行った後、しばらくして私達も歩きだした。
20分くらいで吾妻山の頂上についた。
東側の大膳原から見た吾妻山山頂
独立峰であることがわかるだろう。
山頂のところどころに岩が露出している。
これでは寝転べない。
そこは20畳程度の広さで、ところどころに土から岩が顔を出している。
独立峰であり、しかも頂上付近には木がないために、ものすごく見晴らしがよい。
吾妻山頂 西北の方角の眺め
首をぐるっと廻して360度、周囲はほとんどが山、山、又、山である。
宿泊しているロッジと、そのちょうど頂上を中心にして反対側におそらく川があるのだろう、2筋の薄緑の帯があり、そこに人家がまばらに見える以外は見渡す限り山とその裾野が続いている。
南側の尾根側の景観
ここも山が連なる
東には、山麓の大膳原(だいぜんばら)という草原を挟んで烏帽子山(えぼしやま)や比婆山(ひばさん)が近くに見え、その左、すなわち東北の方は山が重なり、5重、6重になったその向こうにひときわ高く、影のように2つの峰を持つ薄灰青色の山が見える。
頂上にある丸い石造の案内板によると、鳥取の大山(だいせん)のようだ。
昔、エベレストをめざして、途中で遭難した英国人のマロリーが、《なぜ、山に登るのか?》と聞かれて、《そこに山があるからだ》と答えたという有名な話がある。
例えるべくもないけれども、私が山に登るのは、ただ、頂上からの景色が見たいということに尽きる。
登る途中でいろんな草花を見ることもうれしいし、どんな岩石や地層があるのかも興味があり、加えて登りきったときの達成感もないわけではないが、やはり、このぐるっと周囲全部の景色を眺めて時間を過ごすのが何よりものご褒美だろう。
その日の空は晴れており、風もなく、しかも汗をかくほどは暑くはないという快適な状態であった。
景観というご褒美に、絶好の気象条件というおまけがついていたということも報告しておこう。
はるか遠くに大山が。
薄くかすんでいるが、おわかりだろうか