先日(3月28~29日)、和歌山県の周参見(すさみ)に行った。
白浜温泉からJRの特急で20分ほどにある海辺の町だ。
釣りで行ったのかと言われそうだが、目的は地層見学だ。
海岸の断崖にあるフェニックス褶曲という《180度、折りたたまれて「つ」という字の形の》地層があり、それを見に行ったのである。
残念ながら、波が高く、肝心の地層の見える場所にまではたどり着かなかったので、後日、再チャレンジとなった。
周参見に一泊して、翌日、駅周辺を歩いた。
全体としてはどこにでもあるさびれた海辺の町であった。
いつもそうするように細い路地を歩いていたときに
見覚えのある花を見つけた。
花の形や茎、葉など、私の自宅にある、あの《あつこの花》と全く同じで、
ただ、家のはほとんど肌色にちかいピンクだが、ここのは鮮やかな橙(だいだい)色だった。
3月の末、桜も咲いており、もう春だというのに
その日は少し風があり、うすら寒かった。
路地にも、花の咲いている庭にも人影はなかったが、
もちろん勝手に取っていくわけにはいかない。
イソップであったろうか、
ブドウを取れなかったキツネが
あのブドウは酸っぱいのだと自ら慰めている話がある。
私も、同じように、
《ここの花は色がけばけばしいしなぁ・・》とか、
《家のピンクの花とは調和しないわな・・》とか、
そんなことを考えながら、その前を通り過ぎて行った。
その後、周参見の駅に向う途中の
線路沿いの土手に
ぽつんと1本だけ、
同じ色の《あつこの花》が咲いていた。
持って帰ってもよさそうであった、持ち帰らなかった。
さて、次回、地層を見に来たとき、果たしてどうするか。
あんなにも、《けばけばしいし》とか、
《家の花の色とは調和しない》とか
思ったんだけれども。
カメラの露出のせいで朱色にも見えるが
周参見では橙色に見えた