しばらくは緩やかな尾根道を快調に歩いて行った。
そのうち、再び傾斜が厳しくなりだした。
前方に見えていた尖がった頂きを下蒜山の頂上だと思っていたが、
しかし、どうもそこは少し手前の単なる高みのようだった。
そこを超えたところが頂上だったが、その直下に
きつい登りが待っていた。
それがどの程度の厳しさであるかを
私のつたない表現で説明するのはむずかしい。
その代わりに写真を見ていただけたらわかるだろう。
分度器で測ったら、45度まではいかないにしても、
それに近い角度だ。
こんな所は足で行けなくはないが
(とまぁ、強がりを言っておこう)、
手懸りがあると登りやすい。
というわけで(?)、岩に鉄鎖が打ち込まれていた。
こんなところは《鎖場》という。
手でもって体を支え、
それで体を引き上げることもした。
20カ所ぐらい連続して登っただろうか。
つくづく思った。
山は足だけではなく、手でも登るものだと。