安達太良山の麓、岳温泉を歩く⑩
地面に椿の花が多く、落ちていた。
上を向いたもの、下を向いたもの。
最近、落ちたもの、かなり前に落ちたもの。
褐色になって縮んだもの、花弁の黄色をとどめているもの。
これも配置を変えれば壁紙になりそうだ。
椿は不吉だから植えないという話をどこかで聞いたような気がする。
花がまるごと、ぽとっと地面に落ちる、
それが首を打ち落とされることを想像させるから。
昔の武士の家の話だったろうか。
家の庭に椿を植えていたことがある。
しかし、抜いてしまった。
不吉だからではない。
葉の裏にチャドクガ《茶毒蛾》の毛虫が発生し、
そのせいで腕が腫れたからだ。
この花はギラギラときつすぎる。
純白な花もあって、それには心動かないでもないが、
あの葉のぼってりとした分厚さも、
照葉でテラテラと光っているのも気にいらない。
嫌いとなるといろんなところでケチをつけるようになるなぁ。