《石碑に取り上げられたのは》
山上の墓を少し行ったところに十数段の階段があった。
そこを上がったところに「樹下の二人」の石碑があった。
この詩は長く、約40行近くもある。
到底、全部を石に刻むことはできない。
どの箇所を切り取って石に刻んだのか興味があった。
詩の冒頭の《静かに燃えて手を組んでいる喜び》でもなく、
《不思議な仙丹を魂の壺にくゆらせている》智恵子の魅力でもなかった。
「ここはあなたの生まれた故郷」から始まり、
「あの小さな白壁の点々があなたのうちの酒蔵」が続く一節だった。
《郷土愛》がこの箇所を選考させたのであろうか。