日本海、竹野浜の秋⑤
僕たちの旅は裏道を歩く
先日の依頼者の話は面白かった。
好きな四国へ、姉妹でバイクでよく行ったという。
私もバイクに憧れたことがあったので、聞いてみた。
《どんなのに乗っていたんですか?》
《YZR・・・》
《ヤマハですね》
そんな旅は颯爽として、すてきだなぁと思う。
(四国好きが高じて、高知の山奥に移住したらしい)
これと違って、私と長男の旅行は歩きまわる。
行きに、車の行きかう表道を行けば、
帰りは、一筋離れた裏道を歩く。
その土地特有の匂いがある。
取り残され、放置されたものがある。
昔をしのばせるものに出会うかもしれない。
竹野でも裏道を歩いた。
黒い板壁の家が続いていた。
まっすぐに行けば、5分ほどで竹野浜に行きつく。
ふと、思った。
冬になれば、この道を海からの風が吹き抜けていくだろう。
《ここは夏はいいけれど、冬は寒いやろうな》
と弟に話しかけたが、うなずくだけ答えがなかった。
通りはひっそりしていて、人の気配がなかった。