あれから50年、再び大山へ⑲
自宅にホトトギスという花がある。
背丈が高く30~40センチほどある。
花弁に暗紫の斑点が散らばっていて、
内出血した傷跡のように見えなくもない。
そのせいか、知人が《陰気臭い花やな》と言っていた。
国民休暇村のホテルの周辺は散策路になっている。
スキー場の斜面の方に歩いていったとき、
道端にホトトギスが咲いているのを見つけた。
山で見るホトトギスは種類が違うのか、
高さは小さく、10センチくらいだ。
その中に斑点の全くない白い花があった。
一瞬だが、おもしろい、家で育ててみたいと思った。
その付近一帯のウグイスを見ていると
通常の暗紫色の斑点もあれば、色が薄いのもあった。
ここには土の中に特殊な成分があり、
花色の変化を引き起こしているのだろうか。
このホテルを帰る前の日に
もう一度、白い花を見に行った。
どこにもその花が見当たらない。
夕暮れで、薄暗かったせいだろう。
ただ、植物は虫に葉を食べられているという情報を
周囲に伝えているというのをテレビで見たことがある。
又、人間が花を切ろうと思っただけで、
その植物の葉っぱに取り付けられた電流計が大きく反応した、
そんなことを本で読んだこともある。
ひょっとすると、この白い花、
掘り取られると思って姿を隠したかも、
・・という、そんなことはないだろうなぁ。