あれから50年、再び大山へ㉔
約50年も前、大山に来たことがある。
頂上に登ったが、その途中で見た隣の山のすさまじい崩壊のありさまが印象深い。
ただそれより印象深かったのは、桝水高原のすばらしさだった。
目の前の光景が緑一色の広々とした草原であり、
頂上に向かってせりあがっている光景は、今でも思い浮かべることができる。
《いいなぁ、壮大だなぁ・・》などと一緒に行った妻と話し合ったかどうか、
その点のはっきりとした記憶はない。
しかし、きっと同じ思いであったに違いない。
今回、すそ野をめぐる道路を走って桝水高原まで行った。
駐車場で車を降りて、見上げた草原は見ての最初の印象は、
「えー、こんなに狭かったの?」というものだ。
おそらく、昔は、この道路は作られていなかった。
この道は、高原の中腹を開いて作られたのだろう。
昔は、はるか下にあった宿から大山を見上げていたに違いない。
もう一つはっきりと覚えていることがある。
草原の中に左斜めに上がっている一本の筋があった。
それは、途中で夏山登山道と合流する道で、頂上への短縮ルートだった。
それが、今は全く掻き消えていた。
《あー、ここも昔と違うなぁ・・》と心の中で思った。
そして、何より50年前と違うのは、
すぐ横から《ほんまやねぇ・・》と答えが返ってこないことだった。