秋の伊豆半島、山と石、海を見て歩く④
大室さんの頂上からは富士山が見えるという。
登山した日(10月7日)は曇りで、
楽しみにしていた富士山が見えなかった。
海の方も視界が悪く、伊豆七島も見えなかった。
ただ、沖合に島影がうっすらと見えていたが、
それが伊豆大島らしかった。
この時、《伊豆大島も夢に出てきた!》
ということを思い出した。
島の道を歩いて、赤い花咲く椿の下に自分がいた。
伊豆大島には行ったことがない、
(絶対間違いないとは言えないけれど・・・)
三島由紀夫の小説「豊饒の海」の最終章に次のような部分があった。
奈良の小さな寺の女庵主が、
昔のこと、自分が未婚で妊娠したことを聞かれて
《そんなことがありましたか、忘れました・・》
と答えるところがあった。
最若いころだったが、その部分を読んだとき、
《そんなことは絶対忘れることはない、小説だなぁ》と思った。
それから月日が流れ、今、この歳になって思おうが、
ひょっとする・・という気持ちが、しないでもない。