京都はどこに行っても観光客で一杯だ。
大原でも同様で、三千院など有名寺院では
歳の暮れでも人が絶えない。
しかし、閉門時間の4時近くになると、観光客はほとんどみかけない。
寂光院へ向かう道の右側は山だが、左側に広がる景色がすてきだ。
このとき、まだ緑の山々を背景に、葉を落とした木々が空に枝に広げ、
その中に色鮮やかな紅葉が残っており、まだ秋のようでもある。
山里とまではいえないものの、田舎の懐かしい景色がある。
ほとんど人のいない道を歩くとうれしいし、
何より行きかう人に気を使わなくってほっとする。
『心なき身にもあはれは知られけり 鴫立つ沢の秋の夕暮れ』
という和歌がある。
ここは沢ではないし、鴫などもおらないけれど、
心のリハビリにはこんな道を歩くのもいいかもしれない。
そんな西行の歌の雰囲気だった。