(記事の要約)
名古屋市内の業者が、弁護士ではないにもかかわらず、インターネットで客を募り、顧客に代わって家主との敷金返還交渉を請け負い、報酬を受け取っていたとして、名古屋地検特捜部は弁護士法違反(非弁活動)の疑いで捜査している。
(記事URL)
http://www.asahi.com/national/update/1220/NGY201112200033.html
(所内の雑感)
事務員: 敷金なんてほとんど返ってこない、という印象が強いのですが、最近は敷金を取り立てる商売なんていうものがあるのですね。
弁護士: 最近は消費者被害に関する法改正が進んでいて、その影響もあってか裁判所も敷金の返還や更新料について、賃借人に有利な判決を出すことが増えていますからね。そこをついた商売なんでしょうね。
事務員: でも、記事を見ると、敷金を返してもらうのを業者さんに頼むことはいけないことなんですか?
弁護士: そうなんです。敷金の返還でもめるのは法律事件ですから、弁護士でないと紛争処理に介入することはできません。
事務員: でも、敷金なんて10万円くらいの金額ですし、身近な問題じゃないですか。どうして事件処理の代行は弁護士しかできないのですか?
弁護士: だれでも事件処理の代行ができるとすると「事件屋」とか「示談屋」などといった代行業が横行して、知識や倫理のない人がトラブル処理に介入して依頼者の利益を損なったり、あるいは違法な取立をして相手方の人権を侵害したりすることがあるんですよ。それを防ぐために、事件処理を代行する人は弁護士の資格を取りなさい、という制度があるんですね。
敷金でも、返すか返さないかでもめていれば立派な法律事件ですからね。敷金にもそれを取りまく法律や判例がありますし、なんの規制も受けていない業者が介入するのはトラブルの元になりかねないと思いますよ。
事務員: 厳しい規制の下で活動するからこそ、弁護士も信頼されるんですね。