平成24年3月1日付朝日新聞デジタルから
http://www.asahi.com/national/update/0229/SEB201202290015.html
(記事の要約)
成年後見人として高齢者の財産管理を行っていた元県司法書士会会長の男性が、高齢者の預金1000万円を横領したとして、逮捕された。
(所内の雑感)
事務員:最近、後見人制度の悪用に関するニュースをよく見るような気がしますが、他人の財産を預かる制度なのに、悪用を予防する対策はなかったのでしょうか。
弁護士:難しいですね。後見人は、年に一回、家庭裁判所に財産管理業務を報告しますので、不正な預金の引き出しなどがないかどうかチェックされます。このチェックがあるからこそ、後見人も不正ができないよう未然に圧力をかけられているとも言えるでしょう。
事務員:でも、後見人がその気になれば財産を持って逃げることもできてしまうのではないですか。
弁護士:後見人は財産をそれこそ預かって自由に動かす権限を持っていますからね。ただ、会社の経理担当者でもなんでもそうですが、後から持ち逃げを見つけることはできても、未然に予防することは制度上不可能なんですよね。
事務員:しかも、今回は元県司法書士会会長だそうじゃないですか。法律家がこんなことをしていいのですか。
弁護士:専門家が後見人になるのは、近親者に後見人をさせてトラブルが起こることを未然に防ぐためです。だからこそ、今回のような専門家の権限悪用が事実だとすれば、我々法律家に対する信頼が揺らぎかねない大問題ですよね。専門家でなくともそうですが、このような事態はあってはならないことです。