平成24年5月10日朝日新聞デジタルから
http://www.asahi.com/national/update/0509/TKY201205080770.html
(記事の要約)
巨人の球団代表を解任された清武英利氏らが記者時代に書いた記事をまとめた著書の復刊をめぐり、読売新聞社が発行元の七つ森書館に対し、社会部次長名で契約された出版契約の無効を求める訴訟を東京地裁に起こした。
(所内の雑感)
事務員:社員が会社をやめた場合、元社員が書いた本を出版するかどうかは、会社が決めるのですか?
弁護士:読売新聞社は、出版契約の解除を申し出ていますが、契約は一方当事者が自由に解除できるものではなく、法律の定めによる解除のほかは、当事者間で解除できる場合を定めているものです。
本件で読売新聞社が理由の一つとしている清武氏と係争中であることは、法律の解除事由にも当事者間で定めた解除事由にもあたらないと思われます。
事務員:今回のケースでは、社会部次長で契約をしているようですが、その契約を読売新聞社がキャンセルできるのですか?
弁護士:権限のない社会部次長が読売新聞社を代表して契約を結んでいたという点について、権限のない者がした契約であれば、その契約の効果は読売新聞社に及ぶものではありません。
ただし、社会部次長に権限があるかのような外観があり、その点について読売新聞社に責任があれば、七つ森書館と読売新聞社との間で契約が成立しているという結果になります。
ただ、本件のような書籍の出版については、話題性というのが売上に大きく影響する場合がありますので、もしこの書籍が出版となった場合、読売新聞社と清武氏と係争中であることや今回の契約無効の訴訟がどう影響するのか興味あるところです。