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あの法律はここに注目!

さて、くら寿司、どんな裁判をするか、果たして効果は?

外部リンク:「バイトテロ」は訴えても抑止できない、3つの理由

くら寿司が《ゴミ箱に捨てた食材を、もう一回拾い出した》アルバイトに対して、《法的処置の準備をする》と発表した。
このゴミ箱捨て動画を見たが、どこが面白いのか、幼稚園か小学校の1年、2年生の子がするような悪ふざけにしか見えない。
悪ふざけであろうと、くら寿司は《安く、新鮮でかつ安全》を売りにしているから、そのイメージが大きく傷つけられたのだから、怒るのは当然だろう。
さて、刑事上は別として、民事訴訟で損害賠償をするという手がある。
アルバイトといえども、仕事を誠実にする義務を負うところ、これを怠ったとして、義務違反がある。
その違反により、くら寿司の社会的信用が損なわれたとして損害賠償請求をすることも可能だろう。
しかし、信用がどの程度落ちたのか、それをいかなる基準で判定するのであろうか。
私が相談を受けたらどうかと言われれば、訴訟をしなさいということを勧める。
具体的な損害がわからないが、訴状には次のように書けばよい。
《この行為により、くら寿司が受けた信用低下を金銭的に評価すると金1億円を下らないが、今回の訴訟では、その一部である金300万円の限度で請求をする》
訴訟を提訴すると、判決前に和解をすることも多く、その場合にはアルバイトの人からある程度の金銭の回収をすることも可能だろう(アルバイトがお金をもっていなくとも、事実上、両親や親族が支払い原資を出すことも考えられる)。
ただ、判決で勝訴した場合、アルバイトが財産をもっていなければ、強制執行もできず、費用倒れになる。
それでも訴訟をお勧めする。
訴訟の本当の目的は、アルバイトからの金銭の回収という点ではないからである。
他の従業員やアルバイトに対して、今回のようなケースがあれば、解雇だけではすまないよという警告である。
また、一般の消費者に対して、くら寿司としてはこのような厳正な対応をしたので、今後このようなことはないですよ、心配いりませんよということをアピールするためでもある。
法的手続きは逆効果という声があるが、このまま放置するわけにもいかないだろう。
また、法的な手続きをすると有能な人は集まらないという意見もある。
しかし、有能な人ならこんなことはしないだろう。
ただ、アルバイトをしている側にもたって考えた。
この人は、仕事に熱意も興味も持てなかったのであろう。
賃金を含め、低い条件、誰にも評価されることのない仕事だ、いつでも辞めてよい仕事、そんな位置づけしかされていない仕事だったのだろう。
今後、ネットには出てこなくとも、現場の働く人たちの不満は渦巻いている可能性もある。
法的手続きは必要だとおもうが、その反面、どのように仕事にやりがいを持たせるか、職場の人間関係をどのように作り上げるか、法的手続きだけではない、根本的な職場改善が必要だと思う。
もちろん、それが容易なことではないことは十分に承知してはいるが。
(弁護士 大澤龍司)

(弁護士コメント)
(畝岡)
くら寿司側に立って考えると、私としても訴訟提起という方針に賛成である。大澤弁護士記載のとおり、この訴訟においては被告であるアルバイトからいくらの賠償金を回収できるかということは劣後的な問題であり、優先すべきであることは多数存在する顧客の信頼、及びこれも多数存在する(将来の、も含めて)従業員等である。
請求する者が一個人であれば、回収可能性及び解決に至るスピードを考慮して訴訟を提起しないということもあり得るであろう。すなわち、請求する者が個人であれば基本的には1対1の関係で現在の紛争のことを中心に考えればよいことが多いが、請求主体が企業である場合には相手方との1対1での関係で考えるのではなく、企業の信用に与える波及効やひいては将来の紛争予防(同種事例が発生することの防止・抑止)など、多角的な視点で経営を考える必要がある。
その意味で、私もくら寿司が訴訟提起するという対応に概ね賛成である。

(岡井)
こんなことを投稿して、何が楽しいのだろうと思うが、それでも毎日のようにいろんな店の問題動画がニュースになる。
アルバイト店員からすれば、「バイトを辞めさせられたところで別に困らないし、他でまた探せばいい」「バイトくらいクビになってもいいから、”いいね”が集まりそうな動画を投稿して目立ちたい」というような自己顕示欲からの行動なのだろうか。
このような考えの若者がたくさんいるのだとすると、各企業としては、どのようにアルバイトの指導をすればよいのか、非常に難しい。
たとえば、ディズニーランドでは、アルバイトがみんなやりがいをもって働くため、時給はさほど高くないにもかかわらず、辞める人は少ないのだと聞いたことがある。
アルバイトであっても社員と差別せず、自主性を尊重し、責任の伴う仕事も任せるなど、アルバイト店員に責任をもって仕事をしてもらえるような教育方法が必要になるのかもしれない。

くら寿司は訴訟を提起するようであるが、これも一つの抑止にはなるであろう。
ただ、訴訟提起をされるという恐怖心で抑止するよりは、アルバイト店員が自身の仕事に責任と誇りをもって仕事を行い、こんなバカげたことをしようとも思わなくなるのが一番である。
もちろんこれは理想論で、実際には簡単にいかないのであるが。

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