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「最後のご縁」-相続財産管理人という仕事

外部リンク:孤独死、身元不明、高額財産…相続財産管理人の現場

相続財産管理人という仕事がある。
法定相続人がおらず、また遺言もないため、残された財産の引き取り手がない場合に、その財産の管理や清算をする仕事である。

記事で紹介されている事例を見ると、様々な人生があるなと感じる。
相続財産管理人というのは、故人の人生を知り、この世に残していったものを綺麗に整理してあげる仕事なのかもしれない。

身寄りのない方が財産を残して亡くなり、相続人や特別縁故者を探す、というのは、相続財産管理人の仕事としては一般的なものであると思われるが、記事によると、亡くなった方がどこの誰なのか、調査をしてもわからないというケースや、遺品の一部が研究材料になるために、記録保存するべきケースなどもあるとのことである。
このようなケースを見ると、「相続人を探して、見つからなかったら国庫に」という単純な話ではなく、相続財産管理人には、ケースに応じた対応が必要とされるのだということがよくわかる。
また、事例としては一般的なケースであっても、残された遺品から、生前の故人の生き方を想像し、できる限り個人の意思を尊重した遺品整理になるよう配慮することが、相続財産管理人の仕事には求められるのだろう。

時代はどんどん変わっていて、今後は、結婚をして子供が産まれて…というのがポピュラーではない時代が来る可能性がある。
記事では、2017年の選任数も2万件を突破したとの記載があり、年間に2万件も相続財産管理人が必要となるケースがあるのかと驚いたが、今後はこの何倍にもなることが予想される。
将来に備える意味でも、弁護士としては、相続財産管理人の実務について、もっと学んでおく必要がある。
また、それだけではなく、故人の意思を尊重した柔軟な対応ができるよう、自身の人生経験やスキルアップも図っておかなければならないだろう。
(弁護士 岡井理紗)

(弁護士コメント)
北野:
 弁護士でも、相続財産管理人という仕事にはそうそう関わらない。
 相続財産管理人というは記事にもあるとおり相続人がいない場合に登場するのだが、戸籍を調べていけば大抵の方は(遠縁であっても)相続人が見つかるからである。
 相続人がいることがわかれば、あとは住所や連絡先を調べて手紙を送り、遺産分割協議をしたいという意向を伝えて話し合いをすればよい、と思われるかも知れない。
ところが、戸籍等書類の上で相続人が判明しても、数十年にわたって年賀状のやりとりさえなく連絡を取っていなかった遠い親戚の住所地や連絡先電話番号を調べるのは至難の業である。
たとえば、亡くなった父親の通帳の隠し場所を探すだけでも結構大変な作業だというのはみなさんも想像つくと思う。しかし、相続財産管理人は、誰も家族がいないところで仕事をスタートするため、全くヒントがなく一からその人の財産を調査することになる。
これはとんでもなく大変な作業だろう。
 しかし、誰かが整理をしなければ、この人の財産は永遠に埋もれたままになってしまい、空き家を整理することも土地を誰かが使うこともできない。その意味で、孤独死やお一人さまなど家族関係が多種多様になる現在では、日本という国の資源の多くが埋もれていってしまう事態になりかねない。
 当職は先日、大阪弁護士会館で行われた相続財産管理人に関する研修を受講してきた。
 当職の印象では200名近くの弁護士が受講していたように思うが、これから増えていく相続人不在という事態にも対応できるよう当職も研鑽を心がけたい。

大澤:
相続財産管理人の仕事は大きくは2つに分かれる。
一つは遺産内容の確認であり、もう一つは相続人探しである。
遺産内容の確認としては、預貯金通帳から始まる遺産探しであり、弁護士が得意の分野だ。
相続人探しも住民票から始まり、戸籍や除籍謄本を取り寄せするものであり、弁護士が日常的に行っていることだ。
いずれも技術的なもので、個人の生前に思いを寄せるというような場面は少ない。
もちろん、死亡された方の家に入り、財産などを調査するから、生前の姿を垣間見ることもないわけではないが。
人と人とのつながりが薄れた現在の状況から言えば、相続財産管理人が増加するのはやむを得ない。
しかし、もし可能であれば、自分の財産がどこに行くかぐらいは自分で決めればいいのにとは思うし、法的に言えば遺言書などを書いておくべきだということになる。
ただ、一番思うのは、それ以前の問題として、血縁でなくとも、何らかの人間関係を築いて、老後の生活を少しでも楽しくする工夫が必要なのではなかろうか?
弁護士の仕事ではないかもしれないが、少しは、何らかの役に立ちたいなとは思っている。
最近、同年齢かやや年上の方(どういうわけか、すべてが女性だけれど)に、私が掲載したブログ記事を印刷して、郵送している。
もらった人が喜んでいるのかどうかわからないが、気にかけていますよというシグナルだ。
手紙というより、印刷物の郵送だが、それでも少しでも元気で長生きの役に立つかもしれないと思って、現在、頑張ってブログを書いている。

 

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