外部リンク:「職場の飲み会は残業なのか」問題 人事専門家の見解は
記事では最近のドラマで出てきた話を題材に、飲み会が終わった瞬間に退社ボタンを押すシーンが議論を呼んでいる。
今でも多くの会社では退社時に会社でタイムカードを押すため、この方式では考えられないシーンだが、今後タイムカードのIT化が進めばこういうシーンも増えてくるだろう。
個人的には、上司から指示があり、職場として参加を義務づけられた飲み会であれば労働時間に含めてもよいと考えている。たとえお酒の入る場であったとしても同じである。
「残業時間」というのは、理屈をいえば
「労働者が使用者の指揮命令下におかれている時間」
といわれる。
実務でいえば、上司からの指揮命令があって業務に従事している時間は「労働時間」
これが定時を過ぎた後なら「残業時間」といえるのだろう。
ドラマのシーンでも、上司が参加を義務づけられたため「労働時間」に含めることができる可能性は十分にある。
逆にいえば、どれだけ仕事に役に立つことだったとしても、「上司の指揮命令」がなければ労働時間ではない、ともいえるだろう。
たとえば、上司から命令されたわけではないが、営業マンが自主的に取引先と仲良くなり、より大きな契約を取ろうと接待をした場合などは(たとえ仕事の役に立っても)命令がないので「労働時間」ではない。
労働時間ではないが、接待中の飲酒が行き過ぎ、傷害や死亡につながったケースはいくつかあり、これが労災だと認められたケースもわずかながら存在する。
かつては「お酒が入れば仕事ではない」とよく言われていたが、現実はそんな簡単に割り切れるものではない。実態をしっかり見つめてみれば飲み会も仕事だといえる部分があるのではないだろうか。
(弁護士 北野英彦)