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児童相談所機能強化を図る改正法が成立

虐待家庭への児相介入強化=親の体罰禁止明記-改正法が成立

児童相談所の機能強化を盛り込んだ改正児童虐待防止関連法が、19日の参院本会議で全会一致で可決成立したとのことである。
改正法の中心は、虐待が疑われる家庭から子供を一時保護するなどして引き離す「介入」と、保護者を支援する機能を明確に分け、また、親の体罰禁止を明記したという点だということだ。

子供が虐待を受けており、SOSに気付く余地があったのに対応が遅れ、最悪の結果になってしまったという事件は、最近たびたび耳にする。
児童相談所が保護者に圧力をかけられて、虐待を訴えている子供を家に帰してしまったというケースもあったが、そのようなケースは児童相談所の対応が適切ではなかったと言わざるを得ない。
今回の改正は、これまで「介入」と「支援」を同じ職員が行っていたのを、まったく別の職員が行うようにすることによって、上記のようなケースを防ごうとする趣旨で行われたものである。

それだけで問題が解決されるのだろうか?
児童相談所内の体制は整っているのだろうか?
児童相談所の職員の人数は足りているのか?ケアは十分か?
親の体罰禁止を定めても、結局実際に虐待のある事案で保護者の圧力に負けていては、規定があろうと意味を持たないのでは?
など、疑問は多々あるものの、何とか児童相談所にかかわる問題を解決しようと問題提起されていること自体は評価すべきだ。

事案によっては、保護者が育児ノイローゼになったり、そこまでいかなくても何らかの理由で追い詰められていたりして、保護者自身に助けが必要なケースも多々あるだろう。
そのような事案でも、「介入」と「支援」を分け、「支援」の担当者が専門に行うことによって孤独な保護者を救えるケースが少しでも増えれば望ましい。

いずれにせよ、改正して終わりではなく、児童相談所の抱える問題を少しずつ解明し、今後も対応を続ける必要がある。

(弁護士 岡井理紗)

 

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