(Yahoo!ニュース)から
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100602-00000114-jij-soci
(記事の要約)
福岡市内の不動産会社が、内々定を出した学生に対し内定通知前に内々定は取消しとした扱いが違法だとして、福岡地裁は合計195万円の慰謝料請求を認める判決を出した。
(新人弁護士のコメント)
内定にしろ内々定にしろ、取り消された学生がその後卒業までに就職先を探すことはかなり難しく、問題は深刻である。
実は、内定とか、内々定という言葉自体は、法律上の用語ではない。裁判ではどの時点で雇用(労働契約)が成立したかが問題となる。雇用が成立すれば、(働き始める前でも)内定取り消しはいわゆる「解雇」と同じような扱いがなされ、そう簡単に取り消せない。ただ、今回の判決では、雇用が成立していないとしながら、学生側の深刻な現状に鑑みて内々定を取り消したことに大きな意味がある。
(先輩弁護士のコメント)
弁護士B 「最近では、内々定をもらった段階で就職活動をやめるのでしょうか。」
弁護士A「仮に会社側が就活をしないよう釘を刺していたりすれば、内々定と言っても、内定に近い扱いをすべきでしょうね。」
弁護士C「聞いた話だと、内定をもらうときに、他の内定先に断りの電話を入れさせることもあったとか。」
弁護士A「今回の事件では、入社承諾書まで取って、就職活動を止めたというのだから、内定とどこが違うんでしょうか」
弁護士C「そもそも、内々定なんて制度自体がおかしいですよね。優秀な学生を囲っておきながら、いざとなれば『内定ではない』と言って入社を断る口実を作っておくなんて図々しいですよね。」
弁護士B「学生側にすれば、『新卒』という一生に一度ステータスを失うことを、もっと考えないといけませんよね。」
弁護士A「企業が実質的には「内々定」という形で学生をしばりながら、自分の方はしばりを受けずに自由に採用を中止することはできないのだ、ということを明らかにしたというので、今回は妥当な判決というところでしょう。」
(新人弁護士のつぶやき)
学生側は、新卒のステータスを重視する企業の傾向にも疑問はあります。しかし、現実に新卒であることが重視される以上、学生側の就職活動のチャンスを守ってあげることが大事なことですね。