(asahi.comから)
http://www.asahi.com/national/update/0610/SEB201006090049.html
(記事の要約)
宮崎県内の公立小学校で、男性が校庭の一部にミカンの苗を植えた事件に関連して、日向市は、男性とその親族に対して、土地の登記名義を市に移すことを求める訴訟を提起した。
問題の土地は、苗を植えた男性の父親(故人)の登記名義であり、男性は、父から相続したので今でも自分の所有地だ、と主張する。
他方、同市側は、市が大正4年に男性の父から買い受け、同年7月に着工したことから、市が所有者だと主張している。
(新人弁護士のコメント)
この裁判では、まず、市が買い受けたかどうかが争われます。
しかし、市側にも売買契約書など決定的な証拠がなければ、市がずっと校庭として使ってきたことから、時効で市が所有者になったということも主張するでしょう。
男性側からすれば、今まで税金を払わせて土地だけ取り上げる、という都合の良い話は受け入れられないでしょう。
(先輩弁護士のディスカッション)
弁護士A「市は、約100年前の売買を証明できるのでしょうか。また、男性側も、長い間校庭として使用させる理由が何かあったのではないでしょうか。」
弁護士B「市は、長期間使用していたのだから、時効で市のものになったと主張するでしょうね。」
弁護士A「しかし、市が土地の税金を取っていたとすれば、男性を所有者だと認めていたと思われかねない。市の所有地だとは扱っていなかったと言われかねませんね。」
弁護士C「どちらもどちらですね。裁判所は和解を勧めるのでは?」
弁護士A「市が改めてお金を出して買い取る解決になりそうですね。」
弁護士B「校庭ですし、男性もそれなら応じるかもしれませんね。」
弁護士B 「それにしても、重機で校庭を掘り返すのはどうでしょうか。弁護士としては実力で、というのは賛成しかねます。」
弁護士A「男性が、もし、他の人に問題の土地を売っていたら?」
弁護士B「名義が他の買い主さんに移っていれば、市の立場はもっと悪くなっていたかもしれませんね」
弁護士C「ただ、校庭になった土地を見て買う人も少し怖いですね。」
(新人弁護士のつぶやき)
かなり昔のことなので、どちらの主張も証明は難しそうです。
しかし、この百年間、市はなぜ登記をしなかったのでしょうか。仮に市が和解で解決金を支払うとすれば、それは税金です。地域住民としては、市の怠慢で余計な出費をするということになりますね。