私の事務所では相続事件が多い。
法律相談で遺言書を持ち込まれることも多い。
「遺産をすべて、長男に相続させる」という遺言は
まず争いに発展する。
弁護士は「遺留分請求ができます」という。
遺言書には何にも相続させないと書いてあっても
法定相続分の半分の遺産を取得することができる。
それなら、最初から遺言書に、
遺留分程度は相続させるということを書いた方がよい。
いや、どうしても書きたいというのなら、
次のようなことを書いておくといいだろう。
①他の人に相続させない理由を書く。
たとえば、「長女には結婚のときに現金3000万円を渡した」
②長男に全部相続させる理由も書いた方がよい。
「私の老後の面倒も見てくれ、又、残された妻の面倒も見てくれているから」
などと。
③最後に、「他の子供たちには遺産が渡せずすまないが、許してほしい」
という謝罪も書いておくといいだろう。
これだけ書けば、このお父さんの意思を無視して争いにくいものだ。
「自分の財産をどうしようと自由だ」いう声が聞こえそうだ。
でも、死ねば、あなたの財産ではなくなるのですよ、お父さん。
ここが相続の勘所