最近、虐待の世代間連鎖が、おおよそ40%の確率で起こるとの研究結果を耳にした。
これを高いとみるのか低いとみるのかは、人によって体感が異なる。
私は、高いなっと思った。
遺伝によるものなのか・環境によるものなのか、という専門的な議論はできない。
一つの仮説として、こういうことも考えられないか。
人は、(肉体的にも・精神的にも)人を痛めつけてはいけない、度を越えてはいけない。
それは、当初、家庭生活で習得する一つの規範である。
しかし、生まれ落ちた家庭で虐待を受けた子供に、このような規範は育たない。
いわば、<底が抜けた>状態で、家庭を出ていくのである。
多くの人は、家庭の外でその穴をふさぐことができるだろうが、人によってまちまちだろう。
こうして、世代間の連鎖が起きるのではないだろうか。
しかしこれについて考察すると、むしろ良い面もある。
人生の可能性は、無限大である。
子供のころ、料理人を目指していた私は、今、弁護士になった。
型破りな生き様は、親譲りだと思っている。
いい意味で、<底が抜けた>家庭を作っていきたい。
(弁護士 岡本英樹)