秋がもう、そこに・・
小学生のころだったか、
夏の甲子園が終わるころには
なぜか悲しかった。
もうすぐ、夏休みが終わるからだ。
ただ、それにしても
《もう少しだが、夏休みがある》と思う人間と
《もう、夏休みは終わったのだ》という人間と
2種類あるが、自分は後の方の人間だった。
40年以上も前であるが、
夏、長野の野沢温泉に長期滞在したことがある。
学生村という制度で、
安い金額で民宿に長期間宿泊させてくれた。
《池分》という民宿が気に入り、
司法試験の勉強をするということで
大学時代の数年間、野沢で過ごし
妻知恵子とも知り合った。
野沢温泉は山の中にあり、スキー場で有名だ。
学生村には多くの学生が集まっていた。
しかし、お盆を過ぎると、途端に学生の姿が消えた。
涼しい風が吹くようになり、
どこから出てきたのか
多くの赤とんぼが飛びまわるようになった。
ああ、山村の秋はこのようにしてくるんだと思った。
さて、今、大阪では、連日、35度を超す暑い日が続いている。
しかし、日差しにもやや疲れが見える。
夜、帰宅するときに風も吹くようになり
心なしか、涼やかなように思える。
コスモスの種を撒き、その苗を庭に植えた。
そのうちの1本がすでに2つ目の花を咲かせている。
秋明菊の白いつぼみも膨らみだした。<
秋は、もう庭の隅っこでもう始まっている。
(大澤龍司)