寂光院に行く道を歩いて行く道の右側に小さな川が流れている。
道端に石碑があり、和歌が刻まれている。
「ころころと小石流るる谷川の 河鹿なくなる落合の瀧」
建礼門院の作ったものらしい。
寂光院の庵主であったこの人は、平清盛の娘であり、高倉天皇の后であった。
うまい歌とも思われないが、とても無邪気で素直な感じがする。
もっと言えば、幼いという感じさえする。
そんな人柄だったのだろうか。
《落合の瀧》は人の背丈程度の小さなものだった。
数奇な運命をたどったこの人にとっては
小さな滝、小さな石に思いを寄せるのが心落ち着くことであったろうか。