(自分以外には誰も立たなかったという、前回の話の続きである)
その後、私からこの《事件》の話をすることもなかったし、
友達がこのことを口にすることもなかったように思う。
その当時は、担任の先生が私に怒ったのも当然だと思っていた。
しばらくして、クラスの代表となる学級委員の選挙があった。
その投票の前である、担任がわざわざ言った。
《いい加減な投票はしないように。学級委員はちゃんと選ぶように》と。
私が選ばれそうなのが、雰囲気でわかったのだろう。
たしかに「騒いだ者は立て!!」の言葉に従ったのは私一人であった。
しかし、一人で大騒ぎができないことは誰だってわかるじゃないか。
それを根に持って(と私は思った)、わざわざ投票の前に言うか。
黒板に票が集計され、私が選ばれた。
同情して、教師へのささやかな抵抗をしてくれたのだろう。
前回の記事に対し、《それでええと思う》というコメントをくれた人がいた。
クラスメートもきっとそれに近い気持ちだったのだろうか。
今でも心に深く刻みこまれている小学生時代の想い出である。