踏切を渡り、そのまま15メートルほど歩けば、
右手に《岩代王子(いわしろおおじ)》がある。
王子といっても人間ではなく、小さな神社みたいな祠(ほこら)で、
昔、旅人が旅路の安全を願った場所らしい。
驚くのは、飛鳥時代、というと今から1400年ほど前になるが、
この岩代が白浜にいく道(紀州路)の途中であり、
中大兄皇子や皇極天皇もここ岩代を通って白浜にいったらしい。
彼らはそのときここで旅路の無事を願ったのであろうか。
さて、話を戻して、岩代王子、砂浜からはわずか1.5メートルの高さしかない。
眼の前のはるか沖には水平線が広がっている。
島もなく、岩礁もなく、浜には岩もなく、
津波を遮るものは何もない。
南海トラフ地震は約100年に1回ぐらいの頻度で発生する。
今までに何回、いや何十回、流されたであろうか。
あるいは、人の願いを聞く神のようなものであれば、
津波は王子を避けて行ったのであろうか。