この岩代という地名は、《海上に岩が多い》からついた名前だという。
しかし、千里浜は南の方は砂浜であり、北は約10センチほどの丸く磨かれた小石の浜である。
砂浜にも沖にも、岩などはどこにもなく、水平線が広がっているだけだ。
岩は果たしてどこに行ったのか?
ここから和歌山市寄りの《切目(きりめ)》というところがある。
列車から海が見え、沖にのこぎりの歯のような岩が2列ほど連なっているのが見えた。
なるほど、《切目》とはあれか・・と納得したことがある。
弁護士になったころ(もう50年ほど前)だが、白浜に行く度にこの岩を見るのが楽しみだった。
ある時、この岩がなくなっているのに気づいた。
最初は満潮だからだろうかと思った。
しかし、それ以降、ここを何度も往復しているが、波から顔を出している《切目》を見たことはない。
この50年の間に台風の波か、流木などのせいで壊されたに違いない。
岩代の岩も同じような運命をたどったのであろうか。
この千里浜の砂や丸い小石などはそのなれの果てということになろうか。