古道かもしれない道を折り返し、
踏切を渡って元の三差路に戻った。
そこに木製の簡単な道標があった。
ここ数年で作ったらしい安っぽいものだが、
これには歴史が一杯、詰まっている。
日本書紀によると中大兄皇子やその母の皇極天皇が白浜温泉に行っている。
それは658年のことというから、約1400年前のことになる。
《岩代王子》をとおり、その南にある《千里王子》を通って行った。
自動車などない時代だから、
歩きか、馬かあるいは輿にのってだっただろうか。
それにしても、遠くまで歩いたもんだ、
すごいなあと、本当に感心する。
さて、有馬皇子の話だが、前の天皇であった孝徳天皇の子である。
謀反の疑いで岩代を通って、白浜まで連行されていった。
白浜で尋問を受けた皇子は、すぐ処刑されてしまった。
道標の有馬皇子とは、連行途中で彼が和歌を詠んだ場所である。
万葉集に2首、その歌が載っている。
これから、その石碑のある場所に行く。