堂々たる庭である。
左側に平たい岩を重ねている。
右側には岩を立てて高さを出し、
中央に小さめの岩を多数、配している。
左右を迫り出し、中央を下げて遠近感を出す。
手前は白砂を敷き詰めている。
枯山水には違いないが、
左の石組みの亀石の上に枯れかかった樹木を
又、右の石組みには枝ぶりのよい松を載せ、
石組みの背後に刈り込んだつつじを配している。
無機質な石組みに、緑あふれる木々が調和して
渾然一体となった見事な庭だった。
縁側に座っているとかすかな風が吹いてくる。
水音も聞こえるが、小川などは見えない。
庭の左奥に滝があるが、木々に隠れており、
流れ落ちる涼やかな音のみが耳に届く。
この庭を造ったのは小堀遠州である。
岩組によるがっちりした庭園の骨組みは
鎧を着て床几に座る戦国武将のようだ。
木々や水音の使い方からは
無骨ではなく、豊かな人間性が伝わってくる。
岩や木々、水音という素材の持ち味を
オーケストラの指揮者のように遠州が
石組みと木立を一体として
見事にまとめあげた庭という印象だった。
金地院の場所:京都市営地下鉄東西線の蹴上駅から徒歩約10分、
南禅寺山門の手前左側にある。
てくてく旅行記