(2018.5.5)
歩いて行くと、林の中ではあるが、片側が開けた野原になっているところがある。
陽がさし、明るく爽快である。
私は歩くのが好きで、旅行や出張に行けば、ともかく歩く。
東京に出張し、時間があれば、新宿や浅草の雑踏にも行けば、東京駅八重洲口から海を目指して、月島や佃までも歩く。
しかし、人の多いところに行ったときに、必ず《人酔い》をする。
人間というものは、周りに人が歩いているだけで、それなりに気を使っているらしく、特に私はそれが激しいようだ。
他人の顔を見、服装を見、動きを観察し、二人連れの人だとどんな関係だろうかと、どうでもいいことを考えたりすることもある。
と同時に自分も見られているという意識が常に働いている。
そんな対人関係の意識が心の中に勝手に往復して動くために、街を歩くと、心の芯になにかがまとわりつき、オリがたまる。
自然の中を歩いていればそのようなことを考えることはない。
スミレがあれば、きれいな紫色だ、シダが生えていればなんと元気よさそうなと思う。
《あれ、こんなところに!》といううれしい発見がある、ただそれだけのことであり、意識が一方的に向かっていくだけであり、心安らかである。
その日、空は晴れ、風は吹いてはいなかったが、温度も適温でここちよい。
街にも尽きない興味はあるけれど、やっぱり、自然の中で歩くのは、爽やかで心地よく、体は疲れても心はほぐされていくようだ。
イモリ池とは少し違った妙高が
黒姫山を息子と弟が行く
(弁護士 大澤龍司)