耳成山の話が出てきたので、少し、横道にそれた話をする。
今から45年近く前の話だが、妻の父が耳成の社宅にいた。
長男が生まれたころで、家族3人でよく泊まりに行った。
その社宅は耳成の駅で降りて名古屋方向に5分程度歩いたところだった。
反対方向に同じ程度、歩くと耳成山があった。
万葉集の中に、大和三山で争いがあったという話が記載されている。
男の山である畝傍山をめぐって、女の山である香久山と耳成山が争ったというように理解されているようだが、異なる解釈もある。
耳成山は男の山だという説さえある。
しかし、耳成山はその形がこんもりと丸いことから、《乙女の乳房》と例えられているから女の山で、香具山は平べったい感じで、男性的な感じはしないので、どちらかというと男の山と思うけれども。
三山の争い、いずれが勝ったのか、又、勝ってどうなったのかはわからない。
義父の社宅に行ったついでに、耳成山に登ったことがある。
頂上に向かって細い道があった。
途中からは樹木が密に生えていて、景色がよく見えなかった。
頂上についたが、同じように木にさえぎられて、東西南北のいずれにも展望がきかなかった。
《乙女の乳房》に登ろうなどという大それたことはしてはいけない、周囲から眺めるのが一番よいということであろうか。
中央に耳成山。後方は三輪山が見える。